第 313回

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米良 周              
 1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 先物ジャーナル社・代表取締役。09年同社退社
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)。近著(08年6月)「商品先物取引の手引き」(同友館刊)がある。

金ブーム、先物市場の現物受け渡し機能に光を
  
 「ブリオン・バンカーはヘッジファンドより人里離れた退職ファンドについてより多くの訓練を受け始めている。その意味するところはデリバティプというより、金の買い手の関心はより広い範囲にわたってきたということだ。そうした買い手はLMEやCOMEXの倉荷証券ではなく、身近な地下の金庫室に貯えることを望んでいる」
 「その証拠のひとつはゴールド・カンファランスへの精錬業者や運輸業者の参加が増えている点だ。例えばロンドン・ブリオン・マーケット・アソシエーションの年次総会(3日)へのジュエリー業者の参加割合は2000年の16%から6%に減った。一方、輸送業者、精錬業者、警備会社、その他現物金に関連する業者の割合は11%から18%に増えた。彼らの顧客はレバレッジを効かせた買い手でもなければ証拠金を積んでの買い手でもない」
 以上のコメントはアングル欄で取り上げたファイナンシャル・タイムス(FT、9日付、ビュー・フロム・ザ・US欄)のジョン・ディサード氏の文章からの引用で、コメンテーターはアンディ・スミス氏(ベーェエ・コモディティのゴールド・ストラテジスト)。
 かれこれ20年以上前、数回筆談まじりで取材した相手で、当時はスイス系銀行のロンドン駐在だった。金業界切っての当たり屋というのが定評だった(当然弱気)。01年の9・11事件でどでん強気したのをFTで読んだ覚えがある。スミス予言は的中率が高いという記憶もあってなつかしさとともに引用してみた。
 スミス氏のコメントを受けてコラム執筆者ディザート氏は次のように要約している。
 「もし単にコスト安で金に触れたいと考え、資金のコントロールや税金に関心がないのであれば、デリバティプ、あるいは倉荷証券取引の方がはるかに効率がいい。投資家の(現物金)志向への除々とした変化は投資家とそのマネーとある政府もしくは他の政府の間に芽生えた不安に根差すものだ」
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 「一部のトレーダーはインドの市場は構造的変化に直面していると懸念する。伝統的ジュエリーメーカーは消費者の現金をめぐって新しいデザイナー・ジュエリー・ブランド(金の使用量は少ない)、自動車、白物(家電)、それと携帯電話との激しい競争に立たされている」FT(7日付、マーケッツ・ニュース面のニュース分析欄)の一部だ。
 「だが、西側世界では金への小売段階の熱狂ぶりに衰えの兆しは小さい」とし、記事は二つの例をあげている。
 ●ロンドン商店街の標識、ハロッドが10月に金の小売りを始めたことが象徴例。ハロッド・ゴールド・ブリオンのヘッド、クリス・ホール氏は「これまでのところ強い需要には大変喜んでいる。取引は早く、毎日、毎日売れている」という。
 ホール氏によるとハロッドの顧客はコインよりも地金に関心を持ち、特に100グラムバー(約2269ポンド)が最も人気を集めている「金投資の常連だけでなく、以前は金に関心のなかった新しい買い手を目の当たりにする。需要は上り坂というのが我々の見方だ」とホール氏は語る。
 ●ニューヨークの金販売代理店、MTBのプレジデント、マイケル・クラマー氏は「顧客の85%は買い手。一般の人々の間で1万〜5万ドルの買いは普通。人々“値上がりをみてごらん。いまどうして買うのを止めないきゃならんの”といっている」と語る。
 個人の金ブームは東から西へ、と移っているようだ。上がるから買う西、上がるのは見送る東というかねてのパターンの延長なのだろうか。それとも、西を震源地のする金融危機の第2波、第3波への脅えは西ほど強いということなのだろうか。
 もともと現物金志向の強い東、そこへきての西側世界での現物金志向。で、日本の金先物市場への提言である。差金決済でのレバレッジ効果が売りであるには違いないが、その現物受け渡し機能を金を中心に貴金属ではもっと前面に出してはいかがだろうか。
 ミニ金では100グラムバーが受け渡しできる、中部の500グラム建て取引では現物決済はキロバーに限る、でなく、500グラムバーを原則とする。
 国内で製造の引き受け手がなければ、海外に入札発注すればいい。100グラムバーと1キロ(500グラム)間のバーチャージは当然あっていいが、100グラムが人気を集めればバーチャージも小さくなる。それは投資家にとっていいことではないのだろうか。
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 投げるとは希望に満ちた行為にてたとえば投機、投稿、投函(八尾市)水野一也(朝日新開(8日付)朝日歌壇から)
 投機の場、商品先物市場への応援歌とも読める。
 投げるとは損を切る行為にていさぎよき投降をたたえることば(筆者の「見切り千両」を詠める)
 相場の世界ではいさぎよい投降は勝者同様称賛の的となる。
 日本で商品投機の対象が金以外に大きく広がる日を待ち望む。

 (週刊 先物ジャーナル 09年11月16日 第1014号 掲載)

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