◇総合取引所に向け、動き出す コメ先物は「特定商品」に
◇"先物寸言" むずかしい取引所統合
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総合取引所に向け、動き出す
コメ先物は「特定商品」に
1月16日の3省合意で、証券・商品を横断する総合取引所構想が具体化に向けて動き出したが、かねてから注目されていた穀物・農産物市場については、一部商品が「特定商品」として、従来通り農林水産省管轄のまま残ることになりそうだ。消息筋によれば、経済産業省・農林水産省・金融庁は、12月に所管取引所の規制・監督権限一元化を検討した際、少なくともコメ先物については農水省所管のまま商品取引所で取引を継続することで合意。このほど、その方針を関係各団体等に通知したという。商品先物取引の各業界団体では、今月中に開催される会合等で、その詳細を報告、早急に意見を取りまとめる意向だ。
(益永研)
コメは関西で継続か
「3省合意」後の商品先物行政について、まず動き始めたのは農水省だった。そして、業界関係者の多くが注目していたコメ先物市場の行方も徐々に明らかになってきた。
消息筋によれば、今後の穀物・農産物先物市場について農水省から具体的な指示はまだないものの、複数あるシナリオの中では、総合取引所構築に向けて、東京穀物商品取引所の主要商品を東京工業品取引所に移管。その上で、コメ先物については農水省所管の「特定商品」として関西商品取引所で試験上場を継続。東穀取については、移管作業が終わった段階で解散するという案が有力のようだ。
取引所関係者など、複数の業界関係者もまた、概ねその方向に進むだろうと語る。
ある商品先物取引会社関係者は言う。
「東穀取については残念というしかない。また、昨年の白紙撤回のこともあり、東工取としても、簡単に東穀取との統合を受諾しないかもしれない。しかし、統合されるのであれば、それが一番良い道だと思う」。
別の商品先物関係者はこう語る。
「関西のコメは板寄せ。東工取でさえ自己ディーリングによる売買が市場を支えている現状で、板寄せが成功するかどうかは不明だが、コメ先物発祥の地ということで、大阪の関係者が頑張ればそれはそれでいいのではないか。それはそれとして、この段階で、コメは農水省が自身で監督すると明言するのは良いことだと思う。主務省がどっちつかずの中途半端な態度では、現物業者だけでなく、投資家も本気にしてくれないとずっと思っていた」。
中には、「規制・監督権限一元化が合意されたにもかかわらず特定商品とは何か」と疑問を呈する関係者もいる。
だが、もともと証券、金融関係者からは、「金や原油などの工業品に比べて、これだけ市場規模が小さくなってはビジネス的には難しい」(証券会社関係者)とも言われる穀物・農産物先物。
中でもとりわけ現物業者からの厳しい批判が目立ち、「政治商品」でもあるコメ先物市場については、仮に金融庁が監督するとしても荷が重いのは間違いないだろう。
農水省の今後の対応に注目したい。
総合取引所と個別取引所
コメ先物を「一元化」から除外することについては1月17日、まず鹿野道彦農水大臣が記者会見で「試験上場されているコメは今後の動向、推移を見極めていくためにもコメ等の特別なものについては除外していく」と語った。
これに対して、東穀取の渡辺社長は17日の記者会見で、「商品先物市場が単独で生きていく場合には商先法が適用され、総合取引所に入ると金先法が適用される。同一のデリバティブについて、違う法規制が適用される可能性もあり、そういう点をきちんと議論していただかないと規制の統一が実現されないことになる」と苦言を呈した。
しかし、現実には、それは鹿野大臣の言葉通り、「コメ等」については「特定商品」として今回の規制・監督一元化から離される方向で、東穀取の意思とは別に、事態は進展しつつあるようだ。
その結果、存続が危うくなる東穀取関係者にとっては納得のいかない話だろうが、渡辺社長自身も会見で指摘したように、わが国にはもともと、「実際の運用は政令、省令に委ねることが多い」という風土がある。コメを特定商品にするのも、金融庁の監督下に入らない商品取引所が残るのも、その範囲で処理される程度の話だということなのだろう。
ただ、「同一のデリバティブに違う法規制が適用される」ことについては今後、金融庁が本当の意味での「一元化」を目指す際に禍根を残す恐れもある。
仮に渡辺社長が指摘しているように、「商品先物市場が単独で生きていく場合には商先法が適用され、総合取引所に入ると金先法が適用される。同一のデリバティブについて、違う法規制が適用される」ということになるのなら、その趣旨は改めて開示する必要がある。
上場商品一つが廃止される時にも、ブローカーは顧客に事前に説明せねばならない。
総合取引所と個別取引所の監督官庁が異なるというのは、海外関係者向けには多少苦しいが、それでも、説明さえあれば納得する他ないだろう。 |