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むずかしい取引所統合
杉江 雅彦
NYSEユーロネクストとドイツ取引所の合併に「待った」がかかりそうな雲行きである。
それはEUの欧州委員会が、EU競争法(独占禁止法にあたる)に基づき両取引所の合併を否認する方針を固めたとの報道が流されたからだ。欧州委員会は両取引所の合併により欧州市場でのデリバティブ取引のシェアが90%を超えることになることがEU競争法に抵触する点を問題視して、同部門の大半を売却しない限り合併を認めないと強硬な態度を取り続けているらしい。
しかしこの点は、米独両取引所にとって首肯できないところであるに違いない。
というのも、NYSEユーロネクスト側ではドイツ取引所の傘下にあるユーレックス(デリバティブ市場)が大きな魅力であり、またドイツ取引所はユーロネクストのデリバティプ市場(旧ロンドン金融取引所)が欲しい。
デリバティブ市場の最大の魅力は取引コストが現物市場に比べて格段に低く資本生産性が高いことであり、ドイツ取引所はかねてユーロネクストと統合することに執心して、2003年には両取引所間で詰めの協議にまで進んだことがあった。しかしその時も欧州委員会が横槍を入れ、ユーレックスかライフ(ロンドン金融先物取引所)のどちらかを手放すことを合併の絶対条件として譲らなかったため、ドイツ取引所は涙をのんで破談にしたという因縁がある。
報道によれば、今回のケースも2月9日までには欧州委員会から結論が出されるということだが、またまた前回の轍を踏むことになるかも知れない。どうも欧州委員会には官僚的、教条的発想が強いという印象を私は持っている。
ところで、東京証券取引所と大阪証券取引所の経営統合はこの先、どう展開するのだろうかと気掛かりになってきた。もちろん日本にも独占禁止法があり、公正取引委員会ではこのほど一次審査に入った。東証と大証の統合で問題になりそうなのは、東証が株式の現物市場で全国の約90%を占めているから、大証との統合により100%近くを独占することになるという点であろう。国内にはいわゆる地方証券取引所が三ヵ所存在しており、これを公取委はどう判断するか。もし地方証券取引所を新「日本取引所グループ」に取り込めば問題はなくなるだろうが、そうでなければ異論が出る可能性もある。またEUの欧州委員会の結論がどのように影響するかも気になるところだ。
それにしても商品取引所はどうなるのか。東京工業品取引所は最後まで“置いてけ掘”にされてしまう公算が高い。東工取は大証とのシステム共同化を見送り、現行システムをバージョンアップして契約を更新する方針だという。これは大証が東証との統合を前にしてどのシステムを採用するのか未決定のため、止むをえず見切り発車せざるをえないということだろうが、結局はシカゴマーカンタイル・グループ入りを想定しているのではないか。 |