平成23年12月12日(月)(毎週月曜日発行)第1117
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日本テクノシステム


  
◇東工取=大証+東証との合併は前向き検討 試される経営手腕
◇“談話室”監督指針とその運用
       日本商品先物取引協会事務局長 中曽根浮氏に聞く
◇"先物寸言" 南京米
◆"先物文化" 自ら臨界状態を作る市場
◆"アングル"
 ・金、1トロイオンス1,750ドル以上、2週振りで維持


東工取=大証+東証との合併は前向き検討
試される経営手腕
  
 11月6日、東京工業品取引所の江崎格社長は、定例の記者会見で、先日発表された東証・大証の合併について触れ、合併の打診があれば前向きに検討すると語った。現在検討中の次期取引システムについても、従来の独自開発や現行システムの契約延長の検討に加え、両取引所の合併の推移を見ながら相乗りする可能性も検討し始めた。一方で、東工取にはかねてから、海外取引所との提携を薦める声もあり、その場合は、シカゴ・マーカンタイル取引所かシンガポール取引所のシステムを共同利用する可能性も残されている。
(益永 研)
 システムと合併は別に
 国内外の取引所との合併・提携、取引システムの選定など、東工取の江崎格社長は今後、幾つものハードルを越えなければならなくなりそうだ。
 第一のハードルは、次期取引システムの絞り込み。同取引所が現在使っているナスダックOMX社の取引システムは2014年(平成26年)5月に契約期限を迎える。開発期間やテスト期間などのスケジュールの関係で、東工取としては、来年1月までに東証・大証のシステム話が進展しなければ、独自開発か現行システムの延長使用かの方向で話を進めることになる。
 両証取を知るあるシステム関係者によれば、「先物の出来高が多く、接続している証券会社が多いのは大証のシステムだから、先物については大証システムで決まるのではないか」という見方が強いようだが、「オプション取引については、東証のシステムの方が優れている。両建てもありうる」(別のシステム関係者)などの声もあって、来年1月までに両証取のシステム話が進むことは難しそうだ。その場合、東工取は新たに独自開発するより、現行システムを再契約し、新しくバージョンアップした段階で乗り扱えることにすれば、直近のOMXとの再契約ではかなりの費用が抑えられるという。
 一方で、商品先物会社関係者からはこんな声も聞かれる。「東京穀物商品取引所の問題もある。次期システムについては、東穀取からのシステム使用料を計算に入れず予算を組む必要があるのではないか」。第一のハードルだけでも、経営課題はまだまだありそうだ。
 第二のハードルは、合併問題。両証取からの正式な打診はまだないとのことだが、この日の会見でも、江崎社長は、「打診があれば前向きに検討する。取引所の合併とシステムの統合は別の話」と語っており、まずは独自の次期取引システム決定、その後、取引所の合併等の検討に取組む姿勢のようだ。
 東工取については、かねてから海外取引所とのシステム共同利用などの話題も出ており、江崎社長も「世界最大のネットワークを使うメリットは大きい」とCMEとの提携に関心を寄せているといい、この日も、「その場合は、CMEグループかシンガポール・マーカンタイル取引所のどちらかだろう」と語った。大証・東証と合併しても、海外取引所との提携などは市場別に進めることが可能なので、こちらも、今後の大きなハードルの一つになりそうだ。
 ちなみに、日本の取引所の合併の進展を見守っていたCMEは、「最近になって再び、金などのコモディティの円建て市場創設に動き始めている」(米国先物取引所関係者)という話もある。
 国内のあるプロップトレーダーは、こうしたCMEの動きについて「CMEが円建て市場をつくるのであれば、日本のトレーダーにとってはアービトラージの機会が増えるので歓迎する。東工取にとっても、CMEと競合するという話ではなく、結果的には、その方が営業上はプラスになるのではないか」。
 商品先物市場自身の閉塞感とは別に、国内外のデリバティブ市場の動きは活発化しつつあり、東工取の経営手腕が試される。


“談話室”監督指針とその運用
     日本商品先物取引協会事務局長 中曽根浮氏に聞く
  
 本紙12月5日号で指摘した「商品先物電子取引」の顧客適格性などについて、日本商品先物取引協会の中曽根事務局長に、自主規制団体としての現在の考え方を改めて聞いた。
※     ※     ※     ※
 ──商品先物の電子取引について、自主規制機関として現在はどのような対応を?
 「記事の中で、業者の方が、『ガイドライン』と言っておられたのは今回の法律の下では『監督指針』のことだと思うが、これは、あくまで(個人顧客を)勧誘する場合に会社や外務員自らが考慮すべき事項を指摘したものだ。電子取引はこの点、勧誘行為を伴わない取引とされており、平成18年11月16日には別に、最初のガイドラインが出されている。勧誘が伴わない電子取引であれば、例えば年収が500万円以下でも、無職でも受託して頂いて構わない。
 ただ『勧誘』には入口の勧誘だけでなく、個々の取引についても勧誘が伴うというケースがあり、その場合には、電子取引についても、対面と同様に顧客の適格性を考えて頂かなければならない。また、仮に勧誘しないにしても必要な自主規制は求められる。だから、各社とも電子取引についてはそれぞれが年収300万円以上など、独自の社内ルールを作って頂いている。
 ──記事の中で『電子取引のお客様にはアドバイスはできない』という話があったが。
 「この事例についていえば、以前、ある会社では、100%自分でインターネット取引をする投資家向けの『セルフコース』と、外務員が受注もアドバイスもする『サポートコース』の2コースを作り、サポートコースについては対面取引と同様の社内規則を作っていた。こうした工夫があってもいいのではないか。
 こうしたことは、各社の管理担当者にはご理解頂いていると思うが、現場におりると、そうした社内規制が行き過ぎる場合もあるのかもしれない。管理担当者に限らず、何か不明な点があれば、お話を聞かせて頂きたいと思っている」。
 ──監督指針は、「べからず集」ではないということか。
 「べからず集ではない。少なくとも日商協では、いわゆる対面取引についても、無職だから駄目、年収が500万円に満たないからすべて駄目とは言っていない。
 例えば商品先物の取引経験が過去3年間の内9ヵ月に満たなくても、年収や取引資金の妥当性などを組み合わせて各社で考慮して頂き、取引して頂けると判断するのであれば、それはそれで構わない。監督指針を枠組みととらえ、基本的には自分で勧誘の在り方を『考慮』して頂くことが重要だ。しいていえば、歯止めの一つだ」。
 ──そう聞くと、ある程度緩やかな運用とも聞きとれるが、現実にネット口座を開いている顧客に、対面取引同様のアドバイスを提供するだけでも不招請勧誘禁止にされてしまうと恐れている会社や外務員もいる。それだけ、営業現場では不招請勧誘禁止や監督指針が重く受け止められているのだが。
 「その勧誘実態を検査官がどう見るかにもよるという話だろう。ただ、少なくとも法律上は、同じ商品先物を取引しているのであれば、その事例は不招請勧誘には抵触しない。店頭FXのような他の金融商品の顧客についても同様とされている。
 ただ、くりっく365のような取引所取引の顧客については、商品の新規口座開設をこちらから勧めれば不招請勧誘になる。いずれにしても、自社でルールを作ったら、そのルールは守って頂く必要があるということだ」。
 ──商品先物の対面営業も変わってきたという声も多いのだが。
 「それは理解するが、まだ心配があるのも事実だ。例えばスマートCXの営業に関して『未取引』の投資家から『しつこい』といった苦情が一部に見られる。
 先日も、本人がいない間に、会社に17回も電話してきた外務員に対する苦情がきた。たまたまその人が社内にいなかったので外務員が何度も電話したところ、会社の他の社員から『うるさいと叱られた』といったことだったかもしれないし、その人がはっきりと断らなかったから何度も電話したという事情だったのかもしれないが、平成17年から実施されている再勧誘禁止違反スレスレの行為とも見られかねない。
 『しつこい』『うるさい』と思われるだけでも、商品先物のイメージにとってはマイナスだ。唯一勧誘が認められている『スマートCX』なのだから、大事に取り扱って欲しいと思う」。
(益永 研)
 (2011年12月12日―第1117号)
              

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