平成23年12月5日(月)(毎週月曜日発行)第1116
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日本テクノシステム


  
商品先物振興協会
  商品先物電子取引 領り証拠金は市場全体の49.5%に
◇"先物寸言" 結局、農業革命しかない
◆"談話室" 不死身の昭和2年組
◆"アングル"
 ・イラン石油のボイコット呼び掛け、価格上昇の懸念高める
 ・需要減退懸念、アルミを15ヵ月振り安値に
 ・リオのチーフ、メタルの弱気組に加わる
 ・北京、スーダン石油の争い止めよと圧力


商品先物振興協会
商品先物電子取引 領り証拠金は市場全体の49.5%に
  
 12月1日、日本商品先物振興協会が、商品先物市場における電子取引に関する定期調査結果を発表した。一般に、電話・訪問勧誘や対面での売買受託のイメージが強い商品先物業界だが、今年4月から9月までを対象にした今回の調査によれば、市場全体の売買枚数に対する電子取引の占有率は、昨年同期の30.5%から42.2%と約12%増えて4割を起え、インターネット取引の預り証拠金額も、全委託総額約1417億円の内、701億円(49.5%)と、昨年同期の615億円(39.6%)から約10%増えておよそ半数を占めた。
(益永 研)
 薄れたネット投資家の「商品アレルギー」
 電子取引の売買枚数は昨年同期に比べて約1.6倍と急ピッチで拡大した。その背景には、東京工業品取引所におけるプロップ取引の増加に加え、今年に入ってからの取引所主催イベントの増加や、ネット取引各社によるマーケティング戦略の変化があると関係者は指摘する。
 11月26日に、6取引所共催で開催されて話題となった「日本SAIKOH2011」にも、1千名以上の個人投資家が集まった。出展したある商品先物会社関係者によれば、「これまでもイベントに出展してきたが、今回初めて会場アンケートが数百人単位で回収できた。FXの倍率が低くなったり、株式相場が思うように上がらないことなどで、金を始めとする『商品』に関心を持つネット投資家が少なくないと改めて思った」という。別の関係者からも「商品先物市場の低調ぶりに、『頑張って』と声をかけてくれた投資家もいた」などの声が聞かれた。
 少なくともこの種のイベントに集まる「投資に関心がある個人投資家」たちにとって、古い「商品アレルギーは薄くなりつつある」と、各社の若いイベント担当者たちは見ているようだ。
 こうした若いインターネット投資家を対象とした商品先物各社のマーケティング戦略にも、明らかに変化が見られる。例えば「最大6千円分クオカードプレゼント」(エース交易) や「10枚まで手数料無料」などの口座開設キャンペーンは、かねてから証券会社やFX会社が展開してきたマーケティング戦略。新しい顧客を紹介すると、紹介者と紹介された顧客双方に5千円のギフト券をプレゼントする「ご紹介キャンペーン」(エース交易)なども、他市場のインターネット取引では10年来行われてきたものだが、昨年までの商品先物取引関係者であれば、そこまで露骨に「キャッシュバック」を喧伝することをためらう関係者も少なくなかったに違いない。
 FX会社で整理淘汰が始まった一方で、一部のネット商品先物会社で昨年から、FX会社のネット・マーケティング経験者たちを採用する動きが目立った。商品先物市場におけるネット・マーケティングの変化も、そうした新しい血によるものかもしれない。
  
 世代交代は道半ば
 ただ、その一方で、商品市場全体の規模縮小の中で、電子取引を取り扱う会社数は昨年に比べて16社から13社に減少。口座数も、2万7704口座(16社)から2万5875口座(13社)へと減少した。今後、ネット世代が投資家の中枢を占めていく中で、こうした既存の「ネット投資家」を対象とするインターネット商品取引には、ビジネス上の課題もあるということだろう。
 その一つが、投資家の「条件」という課題だ。
 日経225先物・オプションやFXを取引する若い投資家たちの中には「専業」、つまり「無職」の個人トレーダーや主婦もいる。決まった年収が無い投資家もいる。そして、その多くが、損をしても困らない程度の小さな金額で取引する人々でもある。
 例えば、顧客資産1千億円前後のある店頭FX大手が昨年公表した同社の顧客の平均預託金額は100万円以下。今年3月の震災で、日経225オプションで80億円以上の未収金が発生したひまわり証券も、1口座の平均預託金額は数十万円だった。
 これに対して、振興協会と同じ12月1日に、ネット商品先物会社13社のアンケート調査結果を発表・更新した商品先物ポータルサイト「faculual futures」によれば、ネット商品各社の1口座当たりの預り証拠金額は平均227.7万円とFX・証券会社のネット口座に比べて大きい。
 「実際には、証拠金はもっと小額でも取引はできるのだが、問題は、監督官庁が定めた『ガイドライン』。無職であったり、年収が500万円以下の投資家は、基本的に受託してはならないとされている点だ。当社では、例えば収入が無い専業主婦などの場合は受けないのが実情だ。しかし、ミセス・ワタマベがそうであるように、FXの個人投資家には主婦の方も多い。ネット取引のガイドラインは別に作成すべきではないか」(商品先物会社関係者)。
 「新規顧客獲得と教育」も課題の一つだ。
 対面とインターネット取引の両方を提供するある商品先物会社関係者が言う。
 「先日も、ネット顧客から電話があり、相場の動向について尋ねられたので、『実は、ネットのお客様には、そういったアドバイスは出来ないことになっているのです』とお答えしたら、サービスが悪いと叱られた」
 インターネット取引はすべて自己責任、自己判断でというのは簡単だが、仮にFXや株の経験者であっても、商品先物はまた仕組みや材料が違って戸惑う投資家が多い。だから、まずはセミナーや本などで勉強してから取組むことになるのだが、結局面倒臭くなって、住み慣れたマーケットでの取引に逆戻りする投資家も多いようだ。ヤル気がある投資家でもそれだから、それほど勉強熱心でない投資家が商品先物を初めて取引するためにはやはり、「指導」があってもいいと思わされる。
 「しかし、検査では、そんな指導も、誘導になるのだと決めつけられる」(商品先物関係者)ともいう。また「対面口座とは手数料が違うため、こちらから対面に乗り換える提案をすれば、それだけで不招請勧誘にされてしまう」(同)ともいう。
 ちなみに店頭FX各社の今年7月以降の月間新規口座開設数は昨年までに比べて大きく落ち込んだ。「くりっく365」の取組高も2割以上減っている。株のネット取引も飽和状態にある。インターネット取引自体が踊り場に差しかかっているとも見える。
 商品先物取引にとっては逆に、インターネット市場はまだ道半ば。他市場で取引した経験を持つこうした若い個人投資家たちを今後FX同様、10万人、そして100万人と獲得していくためにはまだいろいろと検討しなければならない点が出てきそうだ。
 (2011年12月5日―第1116号)
              

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