平成23年11月28日(月)(毎週月曜日発行)第1115号
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日本テクノシステム


  
東証+大証統合正式発表 商品デリバティブは規制監督一元化が前提
◇"先物寸言" 異常気象のTPP
◆"寄稿"井上ひさし著「黄金の騎士団」に想う
     先物取引を活用して孤児院の子供たちは…
◆"アングル"
 ・新興市場国、40年来最大の中央銀行ゴールド・ラッシュ主導
 ・サウジ、石油生産拡張計画にフタ
 ・アジアの需要増、ドバイ原油を押し上げ


東証+大証統合正式発表
商品デリバティブは規制監督一元化が前提
  
 東京証券取引所グループと大阪証券取引所グループは11月22日、「2013年1月1日に経営統合して『日本取引所グループ』を発足させる」と正式発表した。統合によって、両取引所に上場する企業の株式時価総額の合計は3.7兆ドル(約280兆円、今年9月末)となり、世界第二位の規模の証券取引所グループとなる。
(益永研)
 商品市場の統合も視野に
 合意案によれば、東証が、大証株の最大66.6%を一株48万円でTOB(株式公開買い付け)。東証株一株に大証株0.2019株を割り当てて合併する。新会社のCEO(最高経営責任者)には斉藤惇東証社長、COO(最高執行責任者)には米田道生大証社長が就任する。また統合後、2〜3年後に@株式AデリバティブB取引決済C自主規制の4子会社体制に再編することも合意された。
 国内の株式取引で約95%のシェアを持つ東証と、国内デリバティブ取引で約47%のシェアを持つ大証がそれぞれの得意分野を生かし、システムの共有などによるコスト軽減を実現することで、国際的な取引所間の競争に勝ち残る市場が実現できるかどうかが今後の課題。また、東京工業品取引所など商品デリバティブ市場も併せた総合取引所が実現されるのか、あるいは海外取引所との連携をどう進めていくのかなども注目される。
 同グループの商品市場への事業拡大については、この日の記者会見で大証の米田道夫社長が「規制監督一元化が前提だが、大証としてはできるだけ広げていきたい」と答え、自見金融相も、同日の記者会見で「(株や商品を一体に扱う)総合取引所を作る客観的条件が満たされる」と述べた。藤村官房長官も、別の記者会見で、「(統合会社の名前から)『証券』が抜かれたのは、将来、証券以外の取引所を統合していく方向性ということ」など、商品取引所との統合も視野に入れた発言を残した。
 また一部報道で「東京工業品取引所は第5の子会社に」(毎日新聞)あるいは「大証と東京工業品取引所はシステムの共同運用などで提携を進め、将来の統合で大筋合意している」(読売新聞)と報じられるなど、今回の統合を契機に今後、マスメディアでも、商品デリバティブ市場に関する話題が増えると予想されている。
 国内取引所統合の環に入るか否かは別にして、今後数年間は、商品先物関係者にとっても「商品デリバティブ」普及のチャンスになる可能性がある。
  
 株式投資家にデリバティブ啓蒙を
 現在、わが国のデリバティブ市場は商品市場も含め、国際的にみてまだまだ小さい。国内の取引高シェアが最も大きいのは、前述のように大証の約47%だが、その大証でさえ、世界のデリバティブ市場の取引高ランキングでは14位(2010年)で、米国、韓国、中国、ドイツ、ブラジル他の各市場に大きな差をつけられている。
 今回の統合で先物関係者の多くが注目するのは、システムが異なる両証券取引所のデリバティブ市場が今後、果たしてどのような形で拡大していくのかという点だ。特に、国内デリバティブ取引高のシェアが約6%と、現物市場の大きさに比べて異常に小さな東証のデリバティブ市場は、2千万人ともいわれる現物市場の個人投資家の潜在ニーズに応えていく必要がある。
 東証は11月21日、デリバティブ市場に新システム「Tdex+」を導入して、平均0.005秒という注文応答時間と、秒間注文処理件数約3万6000件のハイスピードを実現した。また、TOPlXミニに23社のマーケットメーカーを揃えて流動性を確保、あるいは取引時間延長などによって、取引環境の改善に努めているが、個人投資家にとってはこうした取引環境に加えて、マーケットそのものの魅力が分るガイドやデータも必要だ。
 例えば、商品先物市場では過去5年、金が取引所を支えているが、それも「金」という商品そのものの分りやすさと、右肩上がりに上がる値動きの魅力に負うところが大きい。
 東証のデリバティブ市場には現在、TOPlX先物のラージとミニやREITなどの指数先物が6市場、国債先物がラージとミニの2市場、オプションがTOPlXオプション、国債先物オプション、そして「株オプ」(有価証券オプション)の3市場があるが、この内、どの市場が個人投資家にとって魅力的か初心者には分かりにくい。個々の市場について、どんな魅力があるかを啓蒙し続けるべきだ。
 ちなみに、11月21日、都内で開かれた個人投資家向けのあるイベントで、東証関係者と証券会社関係者数人によるデリバティブ・セミナーを開いた。その中で特に印象に残ったのは、個別株を保有している投資家が、保有株を利用してコールオプションを売る「カバードコール」(愛称「カバ子」)だった。
 年初来安値を更新している今の株式市場では、泥沼に沈んだままの株を抱えている投資家が多い。何もしなければ、ほんのわずかの配当を得るしか収益の道はない。しかし、「カバ子」を知っていれば、自分が売りたい価格のコールオプションを売ることで、仮に株価がその水準にまで達しなかった場合、買い手は権利放棄するので、買い手からのオプション料がそのまま手元に残る。逆にその値段まで上がって権利行使されたら、そのまま手持ちの株式を売却すればいい。それでも手元にはオプション料と株式の売却代金は残る──といった話である。
 個別株のオプション取引は、自分が知っている個別株の相場を応用できる取引という意味で、現物株の投資家には比較的分りやすいだろう。自分が保有している株のプレミアムがどう動くかにも興味がわくはずだ。商品先物オプション同様、少なくとも、現物株保有者が2千万人いるとすれば、より安いコストで取引できる「株オプ」は、日本でも今後流行るのではないかと改めてその魅力を見直したセミナーだった。
 (2011年11月28日―第1115号)
              

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