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鉄鉱石先物が見えてきた
米良 周
 「鉄鉱石価格、15ヵ月振り安値に沈む」
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、26日付マーケッツ&インベスティング面)にある記事の見出しである。
 「金融引き締めと不動産市場の冷え込みが世界最大の鉄鋼市場に影響を与え始め、中国の製鉄所は減産に踏み出した。このため、鉄鉱石価格は15ヵ月振りの安値に沈んだ」
 「スポット(現物)市場の鉄鉱石価格は25日、2010年7月以来の低水準となった。1日当たりの下落幅は7.2%と26ヵ月以上みられなかった大幅なもので、1トン128.50ドルとなった(プラット調べ)。鉄鉱石の下落は過去6週で30%以上に及ぶ」
 「この急落は現物価格と四半期契約価格とのギャップを大きく押し広げ、中国の鉄鋼メーカーは契約の再交渉を求めている。トレーダーによると一部鉄鋼メーカーは鉱山会社が10〜12月期の値下げを受け入れなければ契約を破棄する姿勢を示している」
 中国の金融引き締め効果が浸透、信用力、資金調達力の弱い中小製鉄所が悲鳴をあげ始めた。中国経済のクールダウンの象徴例で国際商品市況のひとつの柱がぐらつき出したとも読める。
 だが、筆者がここで強調したいのは固定価格から自由価格へ、そして自由市場の行き着く先は現物商品先物市場である、というあまたの国際商品が歩んできた道を鉄鉱石もたどり始めルだろうという点だ。
 鉄鉱石下落を伝えるFTの同じ紙面のニュース・アナリシス欄は「四半期値決めモデル、現物の圧力下にゆがむ」と題して、鉄鉱石の現物市場中心への移行を占っている。
 「2008〜09年の金融危機は鉄鉱石の年間契約と長期交渉をベースとした何十年にもわたる値決め方式を葬り去った。現在の景気下降は前回方式を引き継いだ四半期契約をつぶそうとしている」
 「過去3年、バーレ、リオ・ティントといった鉱山は産出した鉄鉱石の大部分を新四半期の1ヵ月前で終わる3ヵ月の現物価格の平均をベースに四半期契約で売却してきた」
 「だが、このシステムは現物価格がトン128ドルと四半期契約価格の175ドルに比べてかなり下にあるため圧力にさらされている。製鉄所は契約を破棄、現物市場での購入にかられやすいからだ。ドイツ銀行の鉱山アナリスト、クロブ・クリッフォード氏は『2009年遅くに始まった四半期システムはいまこわれていくようにみえる』と指摘している」
 記事によると、日本と欧州の鉄鋼メーカーは現行の値決め方式を固守する構えで日本鉄鋼連盟会長の「市場がよくないとき契約を破ることは我々の信条に反する。我々は原材料価格は安定を保つべきだと考えている」という25日の発言を紹介している。
 だが、アルミ、原油と原材料が自由市場へと流れていった例に事欠かない。
 「鉄鉱石先物市場が見えてきた」という本欄の見出しは過当表示とはいえまい。

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