平成23年10月24日(月)(毎週月曜日発行)第1110号
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日本テクノシステム


  
欧州デリバティブ市場 「投機怜取引」に相次ぐ規制案
◇"めにの目" CFTC、商品の建玉制限へゴー
◇"先物寸言" G20とファンド規制
◆「店頭FX市場」残高、口座数は前年比増、取引高は減少
◆振興協会=新会長に岡地和道氏
◆"アングル”
 ・欧州の石油在庫約9年振り低水準
 ・石油トレーダー、クッシングのなぞを解明


欧州デリバティブ市場
「投機怜取引」に相次ぐ規制案
  
 欧米先物市場関係者たちの間で今、デリバティブ取引規制に関する論議が高まっている。商品市場における大口投資家への建王制限にとどまらず、金融取引税導入、スワップ取引のクリアリングハウス清算、ハイフレクエンシー・トレードハウスの登録等々、相次いで提案される欧米政府と監督機関の規制案に対して、米先物取引業協会(FIA)や先物取引所首脳たちは反論と検討に追われている。
(益永研)
 先物業界からは反論も
 「米国当局が考えている建玉制限については今後、何人かのトレーダーたちが裁判所に調停を申し入れるかもしれない。また金融取引税の導入は、エンド・ユーザーに影響がある。愚策だ」
 10月11日、シカゴで開催中のFIA主催のフューチャーズ&オプションズEXPOで、FIAのジョン・ダンガード会長はロイターのビデオ・インタビューにこう答えた。
 2007年、2008年の小麦・原油の急騰に端を発した商品デリバティブ規制論議は、先日CFTCが発表した商品先物市場における大口投機家の建玉規制にとどまらず、別の新たな規制をも生み出す可能性がある。
 その一つ、金融取引税導入案は、今年8月にドイツとフランスで浮かび上がり、9月下旬にヨーロッパで正式に提案された。ヨーロッパ各国政府で組織されるヨーロッパ委員会の試算によれば、金融取引税によって、新たに年間およそ550億ユーロの税収が見込めるともいう。
 これに対して、先物およびFXのブローカーたちを中心に運営されているFIAのダンガード会長は、「品物を売買する時に税金がかかるのと同じ金融取引税は愚策だ」と反論。世界最大規模の先物取引所であるシカゴ・マーカンタイルInc.のトロイ・ダフィー会長もまた、12日、同じEXPOで、「もし、世界の食糧価格を上げたいのなら簡単だ。取引税をかければ済む」と反論している。
 欧米では、金融取引税は過去にも検討されたことがあり、その都度、遡上に上がる前に否定されてきたといわれる。しかし、今回はわずかだが英米政府内にも支持派がいると報じられ、米国の取引所関係者も、「これまでと違って、今回はより真剣に検討されるだろう」と見ているようだ。
 「世界のデリバティブ市場では今、僅かな数の企業が、大きなシェアを占めており、建玉規制に引っ掛かる大口投資家もまた僅かだが、金融取引税の導入は、その他の会社や農家といった市場参加者の首切りなどにもつながるだろう」と、マーケットを知る関係者は危ぶむのである。

 店頭デリバティブも対象に
 米国政府が問題視するデリバティブ市場における「投機的な取引」に対する制強化の嵐は、これだけにとどまらない。
 例えばCFTCが「来年4月までに」と、すでに導入を前提に提案しているのが、店頭スワップ・トレーダーたちの先物市場のクリアリングハウスでの清算。店頭デリバティブの清算リスクをカバーするためにリアリングハウスを利用させるアイディアそのものに問題はないが、これに伴い「清算ブローカーたちには新たなリスク管理が求められる。そのため、このCFTCの提案に対しても、FlAは「清算ブローカーたちにとっては困難だ」と反論している。
 「ハイフレクエンシー取引会社の登録」も課題の一つ。CFTCのゲーリー・ゲンセラー委員長によれば、同委員長は10月初め、ロンドンでFSA(金融庁)と会合し、「英米両国とも今後、かれらの登録を義務づけることを公式に話し合うことになる」ことを明らかにしている。
 これについて、独ユーレックスのCEOアンドリアス・プレウス氏はEXPOで、「ハイフレクエンシー取引について大声で文句を言う人ほど、それについてあまり知らないことが多い。まずアルゴリズム取引の方法について、もっと教育が必要だ」と語った。
 CMEには、大量の発注が取引システムに過度な負荷をかけることを避けるため、あらかじめ決められた発注数以上の大量発注をしたハイフレクエンシー・トレーダーに対しては一回2万ドル相当の罰金をかける規則(「メッセージ・ポリシー」)があるが、個人レベルのハイフレクエンシー・トレーダーについては、口座の特定が難しいともいわれる。「登録」によって、そんな不透明さが無くなるとも考えられる。ただその登録基準をどうするのかなど、実現はそれほど簡単ではなさそうだ。プレウス氏が指摘するように、まずは、より多くの人々が、アルゴリズム取引について学ぶことが求められよう。
 なお、ゲンセラー委員長は11日、EXPOのメインスピーチで、「スワップ取引の清算といった新しい規則作りについては、これまで長年にわたって効率的に運営されてきた先物市場の地位を辞め貶めないことに焦点を絞り、前向きに作業している」と、先物業界関係者に理解を求めた。
 ギリシャ危機などによってますます混迷が深まる世界の金融マーケット。先物市場でもまた、新たな規制が検討されるのは不思議ではないが、中には的外れな規制もあると、欧米の先物関係者は指摘する。そうした政府・監督当局の案に対して、取引所や業界団体といった「現場」がどれだけ反論できるかが注目される。
 (2011年10月24日―第1110号)
              

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