|
G20とファンド規制
杉江 雅彦
先日、パリで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議では、ファンドなどに対する商品市場への過度の参入を監視したり規制を加えたりすることが、なんとか合意された。もっとも昨今では、何といっても欧州の債務問題が世界経済回復の足を引っ張っていることが最大の関心事であるため、今回の会議でももっぱらそのことに議論が集中して、ファンドの規制問題は片隅に追いやられた感は否めない。
これに先立って、世界の証券規制当局で構成する証券監督者国際機構(IOSCO)が、商品デリバティブ市場の国際規制の基本指針案を作成して今回のG20財務相・中央銀行総裁会議で了承を求め、さらに具体策作りを推進させる手はずを整えていた。その主な内容としては、
@ヘッジファンドなどに対する銀行からの融資に一定の枠を設けること
A銀行がREITやリスクの高い複雑な金融派生商品を保有する場合には、自己資本の積み増しを求める規制を作ること
Bファンドが商品市場で取引する状況を定期的に各国の監督当局に報告させるルールを設けること、などが柱になっている。
フランスの大手銀行BNPパリバ傘下のファンドが深刻な運用成績悪化に陥ったことが、リーマンショックにつながったとの認識もあって、とくに銀行を経由する投資マネーのファンドへの流入には各国とも神経をとがらせてきた。その意味からも今回のG20財務相・中央銀行総裁会議での合意は、遅きに失した感があるとはいえ評価することができる。
一昨年から続く石油・金・穀物・嗜好品など一連の商品価格高騰は目に余るものがあった。
それも主に新興国の高度成長に起因する実需要の拡大によるのであれば、ある程度は容認せざるをえないとしても、商品価格の急騰はそれに便乗したファンドなど大口投資(投機)集団による、利益のみを優先する無国籍・無責任な商品市場参入によるところが大きい。
リーマンショック以降、各国が実施してきたゼロ金利・量的緩和措置(中央銀行)、赤字財政を前提とした公的資本投入(財務当局)などにより世界中で余剰資金が生まれ、その恩恵を受けて豊富な投資マネーを手にしたファンドは、好き勝手な運用を続けることができた。
さすがに昨今ではその裏目が出て、大小多くのファンドが運用不振に陥ったり資金引き揚げに追われたりしている。自業自得といえばそれまでだが、いまのうちにファンドに対する監督・規制を強化しておかないと、さらに主要国が不況対策として資金を市場に供給すれば、またまたファンドが首をもたげてくる。
今回の合意はさらに11月のカンヌG20会議で正式に了承される見通しだというが、一刻も早く各国で適切な監督・規制措置が強化されることをのぞみたい。 |