平成23年10月10日(月)(毎週月曜日発行)第1108号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


 
◇9月末委託者総数 前月比約133億円減少 懸念される事後の影響
◇"先物寸言" 公正な価格形成(上)
◆振興協会=東工取システムの見直しを要望
◆LME、売却を考慮
◆岡藤商事=分割準備会社名を「ファイナンシャルセキュリティーズ」に
◆コメ先物、9月の出来高、前月比減少
◆"先物文化" ミラーニューロンと投資
◆"アングル”
 ・トウモロコシ、急落後持ち直す
 ・原油(ブレント)1バレル100ドル割る ・


9月末委託者総数
前月比約133億円減少 懸念される事後の影響
  
 日本商品先物清算機構が10月3日発表した9月末の国内商品先物市場の預託金残高は、清算預託金を合わせた合計残高が約1737億円となり、前月に比べ約135億円(約9.3%)減少した。9月26日に暴落した標準金の建玉の減少が大きく影響したと見られている。目下のところ、金価格の暴落による個々の商品先物会社の経営への影響などは報告されていないが、「証拠金不足で取引を止めた顧客も少なくない。今後、金相場が上がっても、彼らが戻るのは期待薄」(商品先物関係者)など、今回の影響を懸念する関係者も少なくない。
  
 領託金不足の投資家も
 9月30日現在、商品先物市場における預託金残高合計は1737億7907万5626円(前月比約135億円減)。この内、個人投資家や非清算参加者の預託分を合わせた「委託総額」は1417億336万5672円で、前月の1550億5313万3883円から約133億円減少した。減少分の大半が委託者資産だったことになる。
 そして、その大半が、9月26日の金市場暴落によって失われたものだとも見られている。
 9月21日から26日の安値まで世界の各市場で金が売られ1トロイオンス当たり270ドル下がり、週明けの26日には、日本の金価格も暴落した。22日には4379円だった東京工業品取引所の金先物価格も、この日は200円のサーキットブレーカーが4回発動されて一時は高値から512円安、引け値も3877円と前日に比ベ502円の下落となった。
 暴落そのものは、他マーケットの下げもあったため「やむを得ない」(商品関係者)ものだったが、1枚18万円の証拠金に対して、この日1日だけで50万円前後動いたわけで、多くの商品先物会社で「前週末に戦線を縮小していなかった一部の顧客の中には預託金に足が出た人も少なからずいた」(商品関係者)という声が聞かれた。
 事実、同市場の取組は前日(22日)14万2543枚から26日には13万3058枚にまで一気に落ち込み、9月30日には12万3633枚、10月4日現在も12万2974枚とまだ上向いていない。
 ただ、日経225オプション市場で、今年3月の震災直後に発生したような「顧客資産の担保不足」による「取り立て不能」や多額の立替金による経営不安といった話は目下のところ聞かれない。「当社でも、数人の大口投資家が数百万円の揖失を出した例は見られるが、多くの投資家はもともと枚数も少なく、資金的には問題ない。経営的にも支障はないと考えている」(インターネット専門の商品先物会社関係者)。
 「運用戦略上、この時点での金暴落は想定内であり、顧客のポジションも十分に管理されていたので、委託者の破たんという事態は避けられた。中にはこれまで積み上げてきた金の利益を吐き出した人もいるかもしれないが、安くなったところで再び買って貰い、今はまた持ち直し始めている」(商品先物会社)など、「学習効果」を改めてPRする会社もあった。
  
 楽観は禁物
 今回の金暴落については、ちょうど9月23日に東京で開かれた「コモフェス」(前号で紹介)のパネルディスカッションで、あのゴールドカウンシルの元日本代表豊島逸夫氏からさえ「一時的な下げがあっても、中国・インドの需要は旺賂であり、今後も強い。下がったら買いのチャンス」といった強気のコメントがあったほど強気観が浸透していることもあって、今回の暴落後も、「安値は買い」という関係者が少なくない。そのため、商品関係者の間にも楽観的コメントが聞かれるのだが、マーケットはともかくとして、ビジネス的にはまだまだ楽観は許せないという声も一方には少なくない。例えば、こんな声だ。
 「基本的に、一度大きな損失を被った投資家はしばらくは戻れない。新規が難しい今、今回の顧客流出は今後、ボディーブローのように響いてくるのではないかと心配だ」
 「運よく今回は生き残り、安くなったところで買い直して貰った顧客についても、もう一回大きく下げたら難しいだろう。何よりも、1日に500円も動くマーケットでは、怖くて手が出せなくなる。ボラティリティを何とかしなければじり貧になりかねない」
 特に、ボラティリティについては、石油市場の例もあり、今後は金市場でも大きな課題になるという声が少なくない。
 「怖いから、しばらく取引しないで下さいとも言えない。お客によっては、今の金はそれだけ魅力もあるのだから仕方ない。可能な限りのヘッジ戦略を提供していくしかない」と先物関係者も半ばお手上げというのが実情でもある。
 ちなみに、今回の金先物市場の暴落については、FX会社関係者などからこんな声も聞かれる。「東工取は、夜間取引があるといっても休日は休むが、我々が提供している金CFDは、24時間、日本の休日でも休まない。今後は投資家も、そして商品先物会社もヘッジのために商品CFDをもっと利用すべきだ」。
 今回発表された商品別出来高比率で、9月の東工取貴金属市場は、全商品市場中80.39%を占めた。逆に言えば、貴金属市場の落ち込みは、商品先物業界全体のさらなる落ち込みにもつながることになる。改めて「ビジネスのヘッジ」も真剣に考えておかなければならない。
 (2011年10月10日―第1108号)
              

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