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まだコメントは早過ぎるが
杉江 雅彦
表題の通り、コメの上場からまだ50日足らずしか経っていないので、ここで結論めいたことは言えないが、すでに課題は見えている。それは上場前からも懸念されていたことであるが、少なくとも私がずっと心配してきたのは次の3点である。
@毎日の売買高が安定して増えるか──これは参加者の問題
A生産者、流通業者などのヘッジャーの参入が早期に実現するか──とくに農業協同組合の問題
B価格変動が激しくなりすぎないか──コメが投機の対象にされる懸念
以下これらの点について考えてみたい。
まず第一に、毎日の売買高が上場前の予想(楽観的目標)をはるかに下回る惨めな結果になっていることである。車京穀物商品取引所と関西商品取引所の売買高の推移を見ると、東穀取は上場2日目以外(上場初日は取引成立せず)は低下の一途をたどり、関西取に大きく水をあけられる日が続いた。現在でも1日平均の売買高は1千枚に達せず、当初目標の5分の1以下の水準にとどまっている。一方の関西取も、開始直後の勢いはどこへやら、東穀取より売買高が多いことに自己満足しているだけだ。
売買高が極端に少ない理由は、市場参加者の大部分が個人と商品取引会社(自己売買)だけであり、ヘッジを必要とするはずの生産者や卸業者が参加していないからである。肝心の農業協同組合はそっぼを向いたままで関心を示していない。
また個人も不招請勧誘禁止規制で新規顧客の参加が少ないのが、これまでの新規上場商品のケースとの大きな違いになっている。
第二点は@とも関連するが、農協(全農)や卸業者が何故コメ先物市場に参加しないかという問題である。全農はもともと「コメの先物取引は投機資金によって支配され価格変動が激しい」との姿勢を持ち続け、早くから市場不参加の立場を表明してきた。
上場初日の動きをみるかぎり、コメの供給不足を見越した投機筋による想定外の高値注文が殺到して、当日は売買が成立しなかったから、これをみて全農はさらに首を縮めたに相違ない。
その後は先物価格も現物価格に近付いた値動きを続けているため、かならずしも投機資金によって市場がかきまわされるとはいえないことが、全農関係者にもある程度は理解されたと思われるが、やはり第一印象の悪さは容易には拭い去ることができまい。したがって東西両取引所とも、売買高の著しい増加は当分見込み薄であると言わざるをえない。
第三点もAと関連するが、取引所関係者はコメの先物市場に大きな幻影を求めていたのではないかという気がしてならない。たしかに、かつてのコメ先物市場には隆盛を極めた時代もあったが、それはほとんどが投機目的のプロの集まりであり、現代とは条件が異なる。コメはもはや国内の花形商品ではなく、まして国際商品でもない。
東穀取はコメにトウモロコシの再現を託したか知れないが、現代のコメはもっと地味な商品であり、投機の対象とすべきではないことを知るべきだ。
むしろコメの先物市場の存在意義をヘッジに求め、生産者・流通業者中心の市場として育成することに目的を切り換えて再出発することをすすめたい。 |