平成23年月19日(月)(毎週月曜日発行)第1105号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


 
商品先物市場再生に向けて
  魅力は自ら作り出せ FXの次の一手はシステム取引?
◇"めらの目" スイスフラン退場後のヘイブン(逃避先)
◇"先物寸言" 米上場その後
◆"アングル”
 ・ラ・ニーニヤの戻りにいら立つトレーダー
 ・米、トウモロコシ生産見通し引き下げ
 ・IEA、石油の需要の伸び鈍化を見込む


商品先物市場再生に向けて
魅力は自ら作り出せ FXの次の一手はシステム取引?
  
 8月、商品先物市場は2年ぶりに出来高が400万枚台を超えた。「逆ニッパチ」(業界関係者)の勢いは9月に入っても止まらず、9月7日には1日の出来高が23万9575枚を記録するなど、13日までの9営業日中6日が15万枚超え。
 「業界全体で15万枚を超えれば、当社でも1日400〜500万円の手数料が落ちる。金額は僅かだが、底が見え始めたのではないか」(業界関係者)という安堵の声も聞かれ始めた。しかし、安心するのはまだ早い。取組も東京工業品取引所の金(13万4296枚、9月12日)を除けば、他は軒並み5万枚以下と、「金人気だけの出来高」(業界関係者)だからだ。日本の商品先物市場が本格的に再生するために何が必要なのか検証する。
(益永 研)
 「魅力」は作るもの
 「冬の時代」を迎えているのは商品先物業界だけではない。過去10年間、拡大を続けてきたFX業界でも今年、中小FX会社の撤退が相次いでいる。昨年来、顧客資金の信託化、レバレッジの縮小などの大きな制度改革があり、事業者、顧客それぞれに手かせ足かせがはめられた結果、FXビジネスに見切りをつける経営者が増えたためだ。
 それでも、FX業界関係者の「新たな魅力作り」への動きは今なお活発だ。
 9月12日、都内で、米ボストン・テクノロジーズ社(以下BT社)の営業セミナーが開かれた。話題は、同社が提供するアルゴリズム取引システム「MT4」。あらかじめプログラムされたシステムを利用して取引するアルゴリズム取引は、すでにプロの世界では一般化しているが、MT4はそれを個人投資家にも普及させる商品として、国際的に大手FX会社などで導入されている。
 日本ではまだ、提供している会社は少ないが、この日、セミナーに集まったのはFX会社15社を含む35社。この他、来日中のBT社創立者兼CEOのジョージ・ポペーック氏が訪問したFX会社数も5日間で27社に上る。むろん、単なる「カウンター・パーティー営業」だけでは、これだけのアポはとれない。日本のFX会社が「MT4」あるいは「システム取引」に、新たなビジネスチャンスの匂いを感じていることの表れといってよく、「新たな魅力作り」に対するFX関係者のどん欲な姿勢も窺われる。
 来日中、FX会社を訪問したポペーツク氏は、本紙の取材に対し、「日本のFX市場規模は、震災やレバレッジ規制などを経て、昨年より10%以上縮小していると聞いているが、FXには、将来的に株式人口に匹敵するほど多くの投資家が参加するポテンシャルがある。そのためには常に、新たな魅力作りが必要だ。MT4を利用する各国のFX会社から集めたデータによれば、システム・トレードの導入によって、投資家の月間売買金額は飛躍的に伸びた上に、個々の顧客の収益率も増加している。日本のFX会社にとっても、大きなビジネスツールになるのは間違いないと思う。わが社も今後、日本に拠点を設け、本格的に日本に進出したい」と語る。
 個人投資家には、どんな投資についても、勉強時間不足やデータ不足、あるいは瞬間的な相場変動など様々なハードルがある。24時間、リスクにさらされるボーダレスな市場では、個人投資家にもまた、それに対応したリスク管理が求められもする。
 インターネット取引で簡単に利用できるこうしたシステム取引ツールは、そんな一般的な個人投資家にもアピールする魅力がある。話題作りのためだけでも、導入を検討するFX会社は増えるに違いない。
 システム取引については、わが国の商品先物業界でも過去、幾度となく研究されてきた。取引所もまた、アルゴリズム取引に対応するシステム開発を続けてきた。それでも個人投資家に普及させるまでには至らなかった経緯がある。目下のFXのシステム取引についても、「隣の家の話」と無関心な商品関係者が多いのだが、中には、こんな声もある。
 「金の取引を見ていると、夜間取引を提供していない別の会社の顧客が、わが社に口座を開くケースも増えている。リアルタイムの情報提供が評価されているためだが、指標として使える取引システムがあれば、それもまた、顧客へのリアルな情報提供ツールになる可能性がある。商品でも、導入されていい」(商品先物関係者)。
 実際、MT4を利用している海外の大手FX会社は、すでに商品CFDを手掛けており、「貴金属やエネルギーなど商品のデータを組み込んだシステム取引も利用している」とBT社関係者は語る。同社でも、次世代型システム「MT5」では、「取引所取引を含めたシステム取引を開発しており、その中には商品先物も含まれる」(ポペーツク氏)という。
 欧米では、90年代から取引システムを使って自動売買を行う個人投資家も増えて、かれら自身も新たな売買ソフトを販売するビジネスを展開するなど、システム取引のマーケットそのものが拡大しつつある。システム取引が儲けるためのツールになるかどうかは別にして、個人投資家にも提供される理由はそんなところにもある。
 システム取引に限らず、店頭取引と取引所取引のアービトラージ利用など、次の商品や新たなビジネス・モデルの開発に取り組むこうしたFX関係者たちのエネルギーは、商品先物関係者にも参考になるのではないだろうか。
 (2011年9月19日―第1105号)
              

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