平成23年月22日(月)(毎週月曜日発行)第1101号
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日本テクノシステム


 
前途多難のコメ先物 「おカミの要らざる手」に負けるな
"めらの目"商品、8月第3週に需給相場に復帰 〜値ごろ買い入る
◇"先物寸言"社会的存在価値
◆"アングル”
 ・食品価格、米収穫予想低下で上がる
 ・金の独歩高続く?─他の貴金属は産業用依存高い
 ・ブレント、在庫データ消化し上がる


前途多難のコメ先物 「おカミの要らざる手」に負けるな
  
 8月8日、東京穀物商品取引所と関西商品取引所で、「最後の大型商品」であるコメの先物取引がスタートしたが、東穀取では、基準値13500円、1日のサーキットブレーキ(CB)幅600円に対して、各限月とも取引開始早々から買い気配値・売り気配値ともに18000円台となり終日、値がつかずに終わった。当日、取材に殺到したテレビ各局と大手新聞社などマスコミの多くは「コメ不足と読んだ個人投資家の買いが殺到したため、値がつかず」とある程度好意的に報じ、2日目以降は、東穀取も基準値、CB共一気に引き上げて、9日には11月限、12月隈とも17400円、2011年1月限も17280円と無事に初値がついたが、中には「準備不足」(読売新聞)といった報道もあるなど、商品先物関係者にとっては残念なスタートとなった。一方、関西取は、前場1節から11月限14320円、12月限14540円、2012年1月限19210円の初値がついたものの、期近2限月は前場2節から300円高のストップ、先物は逆に前場3節からストップ安の18910円となるなど、こちらも波乱の初日となった。(益永研)
  
 「神の見えざる手」に委ねよ
 コメ先物開始から2週間。出来高は、東穀取で9日こそ6765枚が取引されたものの、その後は10日2989枚、11日1219枚、15日546枚、17日には346枚など先細り状態。取組も17日現在4819枚と、9日の3760枚に比べてほとんど増えていない。
 一方の関西取は、8日に11289枚出来たものの、9日は4313枚、4限月になった11日以降も4000枚に届かない日が続き、取組も17日現在3386枚となっている。
 取引所関係者は、「最初はこんなもの。じっくりと勉強して貰いながら育てるべきだ」というのだが、それにしても当初の目標数字に比べると一ケタ少ない。現在までのところ、両取引所とも前途多難といっていいだろう。
 こうしたコメ先物の現状について、商品先物会社関係者からは「関西はともかくとして、東穀は官僚支配になり過ぎてはいないか」(大手先物会社役員)という批判が聞かれる。「初日に値がつかなかったのは、現物価格に比べて異常な高値をつけてくれるなという農水省の意向を、取引所が基準値に反映した結果だろう」といった声もその一つだ。
 先物市場での取引は「神の見えざる手」によって動かされるといわれる。コメ価格はこれまで「人(業者)の手」によってのみ決められてきたが、試験上場によって、ようやく多くの人々がコメを見直し、その価格形成に参加することになった。しかし、スタート直前の東穀取の動きをみていると「神」ではなく「お上」の手が感じられる。そしてそれは、少なくともマーケットには「要らざる手」だというべきだ。
 今回のコメ上場については周知のように、すでに多くのマスコミで、農水省の「思惑」が取り沙汰されている。中には、東穀取が東工取との経営統合を白紙撤回したことについて、「本社売却で前期20億円近い特別利益を計上した東穀取の前期末の株主資本は30億7297億円になった。毎年7億円近い赤字が出続けたとしても、4年間は食いつないでいける計算だ。資産を食い潰していけば天下りポストを守り続けられるという『焦土作戦』に(農水省が)戦略を切り替えたのではないか」(講談社「現代ビジネス」)といった指摘も見られる。
 その他のマスコミのコメントからも、基本的に政策的な部分が大きい「コメ」だけに、現物業界団体の動きや先物価格次第では今後も、農水省の「要らざる手」が市場の運営管理に反映される可能性があるとも思わされる。
  
 規制が市場をゆがめる
 それでなくても、商品先物業界は、これまで監督官庁の「性悪説」の下で、不可思議な規制を次々と押し付けられた結果、いびつな業界になり、市場も縮小したと指摘する声が多い。
 例えば、かつて商品先物取引業者として参入したSBlグループの先物会社も、「500万円の年収が無い個人投資家は取引させるべからず」など、当時のガイドラインに記された「適合性原則」に反発して国内商品先物市場から抜けていった。その際、SBlグループ代表の北尾氏が語ったとされる「1枚の取引をやるのなら、30万円の証拠金を入れれば十分であり、それ以上の適格要件を顧客に求めるのは過剰指導だ」という言葉は、そうした規制を甘んじて受け入れていた商品業界関係者たちの多くにとって驚きでもあった。こうしたガイドラインは今回の法改正後は明文化されていないが、その代わりに、主務省の検査官から外務員に対しては「お客から、取引を始めたきっかけが招請であったという一筆を自筆で貰ってこい」という注文があるともいう。投資家の中には、何枚もそういった書類を見せられて、あるいは書かされて「これは、私が損をした時の先物会社の免罪符ではないのか」と怒って、取引を止める人もいる。
 今、商品先物関係者の中には、コメ市場について、こういう声もある。
 「値段も分らず、流動性も低い市場を、わが社の大事な顧客に薦めることは出来ない」。
 かつての商品先物会社とその外務員たちからは聞かれなかった言葉ではある。
 実際、「以前の商品先物会社であれば、コメという大型商品の上場だから、自己玉を使ったパイカイ、あるいは他市場で取引している既存の個人顧客に新たな市場での取引を薦めたりなどして、何としてでも取引所の流動性を維持するために働いたろう」と先物会社関係者も認める。
 しかし、過去5年間の勧誘規制強化やコンプライアンスの強化のおかげで、そうした商品先物会社の価値観も大きく変わったように見える。それが勧誘規制強化の成果だとすれば、それはそれで「おカミの要らざる手」にも、相応の意味はあったというべきだろう。取引所もまた、こうした商品先物会社の変化を認識した上で、自身もまたいかに流動性を上げるかを改めて見つめ直さなければならない時代を迎えている。
 例えば、商品先物外務員の大半を占めるインターネット専門の証券・FX会社関係者は、今の時点では国内商品は手掛けないと言うが、こうした業者への参加要請も継続して続けていくべきだろう。あるFX関係者がいう。
 「個人投資家が投機として商品を取引するなら、コメもまたCFDにすればいい。サイズを小さくして、商品業者が注文をまとめる。それを、商品取引所に専門家の注文として出す。それならばわが社でも見込みがある。しかし、まずはコメ先物が社会的に認知されていなければ、インターネット投資家は参加しない。対面営業でなく対面サービスが必要になるだろう。商品先物業者はそのサービスとは何かを改めて考えるべきではないか」。
 (2011年8月22日―第1101号)
              

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