平成23年月8日(月)(毎週月曜日発行)第1100号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


 
東穀取・関西取 コメ取引、今日スタート!
  高い注目度を市場拡大に生かせるか
◇"先物寸言"平成の打壊令を廃す時
◆コメ先物取引、売買スタート〜コメ先物に思う〜
 ・農家の信頼を得るには 経済ジャーナリスト 増田 篤
 ・コメ上場は日本経済の原点復帰 岡藤商事総合企画部次長 郷右近 要
 ・おコメの上場に時代を想う 作家 島 実蔵
 ・農業生産者には先物取引が不可欠 斎藤 邦泰
◆"先物文化"先物市場再興のチャンス
◆"アングル”
 ・恐れに駆られた投資家、金を最高値に
 ・石油、米経済への懸念で下がる
 ・ソウル、新興国のゴールド・ラッシュに加わる

 ─お知らせ─
 8月15日付を休刊します。次号は8月22日付の発行になりますので、
 ご了承ください。


東穀取・関西取 コメ取引、今日スタート!
高い注目度を市場拡大に生かせるか
  
 8月8日、東京穀物商品取引所(渡辺好明社長)と関西商品取引所(岡本安明理事長)のコメ先物取引の試験上場が始まる。1939年(昭和14年)に先物取引が廃止されて以来、72年ぶりの復活。加えて江戸時代の堂島米会所以来の歴史がある商品の上場とあって、株式市場でも、ヤマタネ株が8月1日から3日まで高値を更新するなど注目度は高まっている。両取引所とも、出来高不振の中での取引開始となるが、今後2年間の試験上場期間にどこまでコメ市場を普及させ、日本のコメの価格指標として認知されるかが本上場移行への鍵となる。
 「おコメの神通力」を生かせ
 関西商品取引所の理事である作家・島実蔵氏は、コメ先物についてこう語る。
 「試験上場認可以来、鳥取、福岡で生産者や流通業者に対して連日講演しました。8月には京都府の職員にも講演します。こんな新規上場商品は経験がありません。『おコメ』の神通力なのでしょうか」。
 「おコメの神通力」は今や、株式市場にも波及している。
 戦前の米相場で「売りの山種」として知られた故・山崎種二氏が創設したヤマタネの株価は、8月1日から3日まで3日連続で高値を更新した。「8日のコメ先物取引スタートを前に、為替やNY株の影響を受けにくい銘柄として、値幅狙いの思惑買いが流入している」(株式関係者)のが高騰の理由だ。株式市場ではこの他にも農薬や農機メーカー関連株、商品先物取引会社株などにも思惑買いが入り始めており、株式市場の個人投資家の間でも、「コメ先物開始」への注目度が高まっているのが分かる。
 普段は国内商品先物市場とは縁の無いメディアにも、認可が決まった7月1日以降、コメの話題は数多く取り上げられた。それに伴い、インターネットの検索件数も増加しており、7月中旬には20万件台だったYahooジャパンの「米先物」検索件数は、8月4日現在、93万9000件に上っている。「石油先物」の346万件よりは少ないが、かつて中部大阪商品取引所が上場した鉄スクラップは上場廃止までほとんど
検索件数がのびなかったことを思えば、上場前からこれだけの検索件数がある商品は良くも悪くも話題性があるといえるだろう。全中(全国農業共同組合中央会)などJAグループがコメ試験上場に強く反対したことが、TPP問題や異常気象と相まって、コメ先物の話題性を逆に高めているという皮肉な見方もある。
 東穀取が8日に開催する上場セレモニーと記者会見にも「これまでに経験がなかったほど多くの取材申し込みが殺到している」(東穀取)。7月1日の試験上場認可を一斉に報じた通信社や大手マスコミだけでなく、経済・株式関連の専門メディアからの問合せも多く、産経新聞など、コメ上場に合わせて特集を組むメディアも少なくないようだ。まさに「おコメの神通力」ではある。
 話題性が大きいということは、失敗した時のリスクもまた大きいということだ。両取引所にとって、この「おコメの神通力」をどう生かし、どう市場拡大につなげられるか、8月8日の取引開始は新たな挑戦の始まりでもある。
 流動性確保が第一の課題
 両取引所にとって、第一の課題は流動性の確保だ。
 コメ先物取引市場振興策として、東穀取は今回、8月8日から12日の日中取引までの定率参加料を自己・委託ともゼロ円、12日の夜間取引から9月16日の日中取引までを自己ゼロ円・委託30円と割引し、関西取もまた予納定率会費を8月末までゼロ円、9月1日以降は31.5円とする。
 「当業者も個人も、市場がある程度の規模になるまで参加しないだろう。当面は自己取引中心のマーケットになる」(商品先物会社)という声も多いから、自己に係る定率会費ゼロ円は妥当な振興策だといえよう。
 米国では、「シカゴのCMEが日経225先物を上場した当初、特に夜間取引を積極的に売買してくれるプロップ(自己)トレーダーたちには取引所フィー免除に加えて、売買枚数に応じて報酬も与えた」(米国清算ブローカー役員)事例もある。一定の流動性が確保されたところで、同報酬制度は廃止されるのだが、コメの自己の定率会費ゼロについても、流動性が安定するまで、期限を設ける必要はないのではという声も開かれた。
 もう一つ、大きな柱となる個人投資家については、「おコメの神通力」によって、インターネットでの新規受注が増加することが期待される。半面、改めて「不招請勧誘禁止や、コンプライアンスがこのままでは新規開拓に限界がある」とため息をつく先物業者も依然多い。
 今回、清算機構が算出したコメのスパン証拠金額は、東穀取が6万円、関西取が2万3千円。東穀取では、あらかじめストップロス(20%)を定める損失限定取引(スマートCX)であれば、コメについても電話・訪問による新規営業が可能だが、損失限定取引の証拠金は通常取引の5倍程度に設定する業者が多いようだ。ちなみに関西取は、損失限定取引に対応していない。
 そのため、当面は当業者と既存顧客、自己の商いが中心になる。
 もっとも、損失限定取引で新規営業が可能な東穀取についても「当面は、既存顧客、休眠顧客にPRしていく」(先物取引会社)という声が多い。これは「コンプラが厳しいため、外務員の営業姿勢も消極的になっている。まして、コメでは、失敗は許されないだろう」(同)からだ。ネット取引以外は、慎重な営業活動になりそうだ。
 ちなみにコメ市場の1日のサーキット・ブレーカー値(CB) は東穀取が300円の2ストップの600円、関西取が300円の1ストップだが、先日、新潟が豪雨に見舞われ、コシヒカリの生産不良が伝えられる中、コメ価格も上昇する可能性がある。先3本からスタートする初日のコメ先物市場の価格に注目したい。
 (2011年8月8日―第1100号)
              

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