日本商品先物振興協会=東穀取の白紙撤回に「遺憾書」を提出
それでもコメ先物市場振興に全力を挙げよ
7月22日、日本商品先物振興協会は、東京穀物商品取引所に向けて、同取引所が19日に突然発表した東京工業品取引所への農産物市場の承継と建玉移管の白紙撤回について「遺憾書」を提出した。同協会では、この書面で、東穀取に白紙撤回に至る理由の説明と撤回後の東穀取の経営計画などを求めると共に、東工取への承継については引き続き検討することを要望している。これに対し、東穀取からは近く臨時取締役会などを開き、経営計画を明らかにすると返答されたという。同協会は一方で、8月8日から開始するコメ先物取引については、「業界挙げて振興していかなければならない」としており、東穀取の解散問題と農産物市場振興とは切り分けて議論していく姿勢だ。
引き続き東工取への承継検討を要望
振興協会が22日、東穀取に提出した書面の主旨は以下の通り。
(1)このたびの撤回は誠に遺憾であり、由々しき事態と思慮する。加えて、市場の承継及び建玉移管を求めてきた本会に対し、撤回に至った事情について正式にご説明頂けなかったことは残念である。
(2)商品市場、特にコメを含めた農産物市場の存続・発展を図るとの大局的見地から、農産物市場の東工取への承継について、引続きご検討を賜り、その実現を早期に図られたい。
(3)併せて、撤回後の経営方針・計画、及び東工取の現行システムの更新が予定されている中、取引システムに係る対応の見通しについてお示し頂きたい。
今回の「白紙撤回」を、東穀取が東工取に最初に通知したのは7月11日。つまり、19日の取締役会に諮る以前に決定されていたわけで、その理由は通知書に書かれた「東工取への農産物市場移管が認可され難い」という1行。要するに、農林水産省の意向──だと見られている。
株式会社といっても、取引所は依然として認可事業であり、認可されないとなれば、スケジュール変更もやむを得ない。ただ一方で、株式会社には株主への説明義務もあり、一度は認められたはずの市場の承継を、一方的、かつ突然破約したことはやはり「異常」(東工取)と言わざるを得ない。
もともと、東穀取の解散は、過去数年間の経営不振と、今後のシステム化を含むコスト増大が理由となっている。
東工取と東穀取への取引フィーの二重払い継続は新規参入を阻害する可能性もある。
東穀取は、振興協会と株主である商品先物会社に改めて、今回の白紙撤回と今後の経営について説明すべきだろう。
コメ先物PRイベント相次ぐ
とはいえ、東穀取の「白紙撤回」に対する疑問とは別に、振興協会は、コメ先物については、「とにかく、成功させなければならない。コメと取引所の今後の問題は別の話だ」と言う。
東穀取もまた、こうした商品先物会社の期待を背景に、関係各社の協力を仰ぎながら、コメ先物セミナーを含めたPRにカを入れ始めている。
上場初日の8月8日には「72年ぶり、コメ先物取引復活記念!〜コメって最高!〜」(主催ワールドインベスターズTV。協力ドットコモディティ、東京穀物商品取引所。参加料1千円。定員50名)と題するイベントを、六本木のワールドインベスターズ・カフェで19時半から21時半まで開催する。当日は、東穀取の伊藤國光執行役員、コンチネンタル・ライスカンパニーの茅野信行氏らが講演する。
また、9月23日には、東京・八重洲ホテルで「コモディティ・フェスティバル2011」を東工取、日経ラジオ社と主催(企画・運営キャピタルエフ)する。
このイベントでは、コメや金についてのパネルディスカッションも用意されているが、当日の目玉企画はセミナー後の「大交流会」だ。
この交流会は、25名の商品相場のアナリストや専業トレーダーといった投資のプロと、120名の個人投資家とがドリンクを片手に直接、対話できるというもので、普段、プロのアナリストやトレーダーたちと交流する場の無い個人投資家にとってはマーケットの裏側を知る絶好の機会になるだろう。
有料(個人:4千円)だが、7月25日からの受付で、すでに数多くの問い合わせと申し込みがあるという。
金先物市場が創設された時には、商品先物会社のみならず、取引所理事長自身が、全国に飛び、個人投資家向けに講演会を開くなどして、「金先物時代の到来」を印象づけた。
今回も、外務員ばかりでなく、関西・東穀両取引所トップを含めて、業界挙げてコメ先物市場を普及することが望まれているから、同取引所のこうしたイベントへの協力・主催はどしどしやるべきだ。
ある商品先物会社関係者も言う。
「金とは違う意味で、コメは誰もが知っている商品だけに、新規顧客獲得に適している。ただ、損失限定取引でも証拠金が1枚30万円以上になるし、値動きも、現物市場とかい離してはマズイだろうから、それほど大きくはならないだろう。その点、どれだけ個人投資家の関心が呼べるかが問題だ。取引所自らが、新しいイベントPRの形を示してくれるのは良いことだ」。
また「コメは、おそらくスタート当初からマスコミでも話題になるはずなので、上場初日までには、ホームページを完成させたい。コメだけでもインターネット中心のビジネスに転換したい」(企画担当者)という声もあり、こうしたネットビジネス展開企業にイベントは今後も有効に違いない。
ネットといえばネット証券やFX会社もコメ市場には「関心がある」とも言うのだが、「受渡しが面倒臭い」(証券会社)、「農協のように、社会的イメージがまだ悪いと言われると参入できない」(証券会社)、「流
動性がない」(FX会社)などの理由で、これらの新規参入組の参入は当分なさそうだ。
商品先物関係者にとっては、この機会に起死回生の勝負を挑んでもらいたいものだ。 |