平成23年
7
月18日(月)
(毎週月曜日発行)第1097号
発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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コメ差先物、8月8日スタート!業界挙げて取り組め
「当業者の関心は高い」と先物会社
◇"めらの目"夏相場にはねる金相場─季節性無視、米金融政策手詰まりを買う─
◇"先物寸言"私、金は現物派です
◆"書評"『崖っぷち投資家ボコられ経営塾』
◆"アングル”
・中国の需要増と米中部の熱波がトウモロコシを押し上げ
・シェル、エタノール対米輸出で先導役
・エタノール清算、家畜よりトウモロコシ食い尽くす─USDA予測
コメ差先物、8月8日スタート!業界挙げて取り組め
「当業者の関心は高い」と先物会社
東京穀物商品取引所と関西商品取引所は8月8日からコメ先物取引を開始すると発表した。両取引所とも7月19日の取締役会・理事会で、正式に決定する。業界関係者の予想より早い開始日となったが、主要商品先物会社は、「全社挙げてコメを営業する」(岡藤商事)、「7月1日以降、当業者からの問い合わせが増えている」(岡地)など、「最後の大型商品」(関西商品取引所)のスタートに向けて活発に動き始めている。
当業者も「勉強」の姿勢強まる
「認可が決まる以前から全国のコメ業者には接触していたが、生産者団体の反対や、前回認可されなかったことなどから、7月1日までは訪問を断られるケースが多かった。しかし、認可が決まってからは卸業者を中心に、とにかく勉強してみようという声が一気に増えた。今は、毎日夜遅くまで各地を回っている。実際に取引につながるかどうかは不明だが、手ごたえはある」と語るのは、岡地の国際法人部米穀チーム課長の瀬戸義人氏。瀬戸氏は前回申請時からコメを担当しており、コメ先物のエキスパートでもある。
コメ上場に当業者が関心を高めているのは関西も同じ。7月10日には日本米穀小売商業組合連合会が主催する「お米マイスター大阪大会」に、関西取の島実蔵理事が招かれ、先物市場利用について説明した。氏は今月26日にも鳥取のコメ生産者団体での講演が決まっており、さらに山形、仙台などのコメ生産者団体からも問い合わせがきているという。
「お米マイスターの大会は当初100名の予定だったが、コメ先物の話と聞いて180名も集まった。先物への関心が高まっているのは間違いない。全農は今も反対しているが、個々の団体は、上場されるのであれば、勉強してみようという姿勢であり、いずれは使ってくれると思う」と島氏は語る。
個人投資家の参入については、どうだろうか。
まず勧誘面から見ると、「当社では、全社挙げてコメを営業していく」(岡藤商事)という声もあるが、現段階では「まずは既存顧客に関心を持ってもらうことから始める」という会社も少なくない。
中には、「取引所自身が個人に向けて営業して欲しい」「安心して取引できるだけの流動性が確保されなければ、顧客に積極的に薦めるのは難しい」といった慎重な声もあるが、こうした一部先物会社の慎重姿勢に対して、島氏は、「コメ
は最後の大型商品。皆で成功させなければならない。取引所もやる、業者もやるという形で、業界挙げて啓蒙する必要がある」と訴える。
とはいえ、個人投資家にとって、コメ先物はまだ情報不足だ。例えば、本屋に行っても今は『コメ先物』の本は一冊もない。金や石油などと同様、早めに出版物やデータを揃えることが望まれる。
ちなみにコメ先物の価格は、精米前の玄米価格。その指標として参考にされているのは、農水省が発表する相対価格、日経新聞の卸売価格、そして農協が生産者から委託集荷する際の「概算金」などだが、いずれも相対相場であり、発表のタイミングもリアルではない。そして「日刊米穀市況速報」など、当業者が現在利用している資料をみると、表示の仕方も、銘柄別だったりする。
だからこそ、今年3月に閉鎖されたコメ価格センターに代わるスポット価格の指標として、今回のコメ先物市場が注目されるわけだ。また、上記の各種資料を見ると、例えば東穀取が今回受渡し標準品とした千葉、茨城、栃木3県産のコシヒカリの価格はほぼ似通っている。その分、価格そのものは分りやすく、当業者にとっても利用しやすいものになるに違いない。
島氏が言う。「8月8日は『ハチハチ』といって、お米の日。しかも堂島の米会所が最初に創設されたのも1930年8月13日。コメ先物市場がスタートするには絶好のタイミングだと思う」。
業界挙げて育てることを期待したい。
東穀取=東工取の統合白紙に?
19日に開催される東穀取の取締役会を前に、商品先物関係者の間では、かねて合意されていた同取と東京工業品取引所の統合を、同取締役会が白紙に戻すのではないかという話題が広まっている。当初のシナリオでは、コメ上場から1年間は東穀取が存続。その後は東工取で引き継ぐということで、来年末には東穀取はなくなるとのことだったが、「取引所の地所を売却した代金がある間は続けたらどうかという意見はこれまでにも出ていた。今回はコメ上場も決まったので、農水省もおそらく試験上場期間中は(天下り先確保のために)存続を望むのではないかということが理由になりそうだ」と業界関係者たちは言う。
しかし、同取引所に今、望まれるのはコメ先物市場の育成であり、統合の是非を蒸し返す議論ではないのは明らかだ。余計な議論は、疲弊している商品先物会社にとって「士気をそぐ」(商品先物関係者)ことにもなりかねない。
(2011年7月18日―第1097号)