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菊は栄える葵は枯れる
杉江 雅彦
 表題は古き昭和演歌の唄い出し部の一節である。この歌詞をもじっていえば、「FXは栄える商品先物は枯れる」といったところだろうか。それほどに昨今の両者の盛衰は歴然としている。海外ではミセス・ワタナベと呼ばれている日本の個人FX投資家には主婦やOLも結構多いらしい。それに反して商品先物はさっぱりで、とくに不招請勧誘の禁止が商品先物各社の腰を引かせているとも聞く。
 FXと商品先物のちがいというか、むしろFXのメリットを私なりに整理すると@外国為替相場は上がるか 下がるかだけの指標でわかりやすく、素人にも参加しやすい
Aネット取引だから自由に売り買いができる
B業者間の競争激化で手数料がきわめて安い
C円売り外貨買いならスワップ金利が入る
などを挙げることができる。もっとも、円安・ドル高で勝負する個人投資家が多いようだが、私はこの戦術には賛成しかねる。その理由はまた別の機会に書くこととし、先を急ぐことにする。
 何年か前までは商品先物取引会社の中には証券業のライセンスを取得して証券にも進出し(ということは社名も○○証券に変えなければならないが)、さらにFXにも参入するなどビジネスモデルを拡大する経営戦略を採用する傾向が強かった。ところが昨今では、商品先物を見限ってFXだけに特化したり、あるいは遂にFXを別会社で運営したり他社に売却するなど、戦略を大幅に修正する動きが目立ってきた。
 それには各社個別の理由もあるにちがいないが、有力なFX専門業者が次々に誕生して、企業間競争に耐えられず撤退したというケースがすくなくない。なにしろFX取引のほとんどはネット取引で、手数料のディスカウント競争が激しいだけでなく、絶えず講演会など新規投資家を吸収するイベントを行わないと、他社に顧客を奪われてしまう心配がつきまとう。あれやこれやで、収支を合わせるのが困難であろうと想像がつく。
 それでは、商品先物取引業者という業種は存続することがむずかしいのだろうか。5月に発表された上場商品取引会社6社の営業損益をみると、黒字に転換したのは第一商品1社だけだが、あとの5社も前期にくらべて赤字幅は縮小している。とはいえ、それは人件費の縮小など縮小均衡戦略の結果であり、依然として赤字体質は変わっていない。6社の中にはFXを取り扱っている会社とそうでないところがあるが、FXをどう扱うかも含めて、改めてビジネスモデルを根本的に見直す時期にきているのではないか。

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