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製粉会社が小麦上場をせまる時
米良 周
 不作と需要増加(なかんずく中国の)が相まってこの1年、世界市場で食料品価格が押し上げられている。
 米国の租粒穀物在庫は15年来の低水準にある。最近の北欧の乾いた天候は製粉会社に小麦輸入をせまっている。3月までの1年にわたりコーヒー輸出は記録的水準に達したにもかかわらず、高品質のアラビカ種は不足をきたし、1ポンド3ドルを上回り、1997年以来の高値を付けた。
 2010年の供給が10年来の低水準となったあと、オレンジ・ジュースは4年来の高値に近い。タイでは甲虫がココナッツを食い荒らし、ココナッツオイルと果汁の収量が減っている。
 対照的にココアは今シーズンの生産が増える見通しの、うえコートジボワール(最大手生産国)の内戦終結以降、市場への出回りが増加し、値下がりしている。
 英誌エコノミスト(6月4日号)の「経済と金融の指針」のページにあるミニ解説欄“食料品価格”の記事を訳してみた。
 セレクテッド・フーズと題する騰落を示す図表は幅広い食料品がほぼ足並みをそろえて上昇していることを示している(大統領選挙で負けたのに居座って、禁輸令を出したため上がり、新大統領が実権を握り輸出を再開した結果下がりと、ごたごた相場のココアは例外といえよう)
 エコノミスト誌の図表を見ながら考えた。「日本の食料品先物市場が超低空飛行を続けているのはなぜだろうか」
 東京穀物商品取引所でいえば、表示12商品のうちトウモロコシ、コーヒー、砂糖、大豆と食料品の中で国際的に取引高の多い商品が上場されている。小麦がないくらいだ。大豆は一般大豆とNon−GMO大豆、コーヒーはアラビカとロブスタが別建て。きめ細かな配慮も払われている。
 コメ上場へのつなぎ役として登場したとされる小豆という独自商品もある。
 品ぞろえに欠くとはいえまい。
 国連食糧農業機関(FAO)は7臼、農産物は高値かつ不安定な推移が続き、食料品インフレの圧力はにわかに媛和されることはあるまい、と警告を発した。
 G20の議長国フランスは「我々は在庫と生産に関して信頼できる情報が必要だ」とし、農産物市場情報システム(Amis)の創設を提唱している。当初は小麦、トウモロコシ、コメ、大豆の月次データにとどまる(英紙ファイナンシャル・タイムス8日付)。
 商品先物の主要機能はヘッジと価格発見。その機能が働くためにはできるだけ多くの人々が参加し、売買を通じて意見を表明する必要がある。流動性の高い市場は同時に情報の収集・発信基地でもある。Amisをいわば先取りしているシステムだ。
 日本の商品先物の超低空飛行は裏を返せば、無理強いの顧客がほぼいなくなった(そうした勧誘行為もなくなった)ことでもある。
 変動妙味があり、自分でレバレッジを抑えることもできる(証拠金を厚目に用意しておけば)。国際市場の参加者にもなれる(広義の国際貢献)。潜在的投機家が浮上する条件は整っている。
 流動性の高い使い勝手のいい市場への再生が成れば、農業団体がコメを、製粉会社が小麦を上場せよ、と声を上げることにもなる。

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