第一商品株価、一時急騰
強気の12年度業績予想に投資家が反応
「金への期待=商品先物会社への期待」に?
5月16日、第一商品(JASDQスタンダード市場、発行株式数1622万7千株)の株価が前週終値(13日)の225円から一気に305円まで上昇。翌17日にも、一時385円をつけるなど急騰した。出来高も、13日には5200株しかなかったのが、16日に13万8600株、17日には64万9600株へと跳ね上がった。そのため、商品先物業界内では一時、「買収話でもあるのか」との声も聞かれたが、株価はその後18日には309円、19日には一時291円まで下がり、買収話は打ち消された格好となった。しかし、低迷が続く商品先物会社が多い中で、瞬間的にせよ出来高が一気に膨らむケースはここ数年間見られなかったことではある。同社の株価急騰の背景に、商品先物市場が変わる予兆はあるのだろうか。
実績予想数字は妥当か
第一商品の今回の株価上昇について、ある証券投資顧問会社関係者はこう語る。
「第一商品が5月13日に発表した昨年度の業績結果は、売上が70億2500万円、経常益が3億2200万円と事前の会社側の予想値をクリアした。その上で、本年度2012年は業績予想を、売上高が94億800万円、経常益が34億1400万円と、一気に引き上げた。この数字だけ見れば、株価は割安だ。だから、買われたのだろう」
だが、出来高が細っているといわれる商品市場、しかも投資家心理が冷え込む中で、本当にこれだけの売上増加が見込めるのかという疑問もある、とこの投資顧問関係者はいう。
「だから、100円以上上がったところで、逆に売られたということだろう」。
こうした証券関係者の声に対して、同社関係者は、目先の株価はともかくとしてと前置きしながら、「まず、同業他社との比較の中で、金に時化している商品先物会社という点が評価されているのだと思う」と、まずは、「金」と「商品先物業者」への評価が変わってきていると指摘する。
「今回の売上高予想が過大なのではないかという厳しい声も確かにあるが、金価格は今後も上がる。とすれば、その金を懸命に取引している当社もまだまだ売り上げが増える。それを理解してくれる投資家も多い」(第一商品)と言う。要するに、金の高騰に伴って、金鉱山株や金ETFが買われるのと同様に、金を取り扱う商品先物会社が買われるのは不思議ではなということだ。
「さらに」とこの関係者は言う。「もう一つ、当社にはこれまでの資料請求による潜在的な見込み客が10万人以上いる点で、同業他社とは違う強みがある。その意味で、今回、当社株を購入した投資家は着眼点が良いとも思う。年間10億円におよぶ広告宣伝費用を削減すれば、10円の配当を20円にできるのではないかという見方もあるが、広告を続けることで、今後も売り上げが伸びると理解して貰えれば、株主も増え、株価ももっと上がるだろう」。
10万人という同社の見込み顧客数の数は、インターネットのデモ口座だけで50万口座を超えると言われる大手FX会社のそれに比べれば小さい数字かもしれないが、少なくとも「同業他社」と比べた場合、群を抜いている。
投資家が株を買う際に、同業他社との比較も一つの判断基準である以上、これらの特徴を勘案すれば、「割安」と見られるのは間違いなく、実際に、株の評価サイトを見ると、主要なサイトではすべて、同社株の目標値は350円前後となっている。
金価格と対面サービスへの注意も必要に
ただ、株価で注目されれば、それだけその会社を見る目も増える。企業として、注意しなければならないことも増えてくる。一つは、「金価格が下がった時はどうするのか?」だ。
数年前にも、2年以上かけて金価格が1200円台から2000円超まで上がり、個人投資家玉が膨らんだことがあるが、最終的に、取引所の「過熱相場」との判断で、臨時増し証拠金などを課された結果、相場は一気に暴落した。当時、買い方だった商品先物会社の多くは、その処置を商社救済、取引所の横暴と抗議したものの、失った何10万枚の玉は取り戻すことが出来なかった。
その際、投資家の中には1200円台から買い始め、本来は大きな利益を手にしていただろう投資家も少なくなかったが、途中で売買を繰り返し、利益金で建て玉を増やしていくなどして、結果的に、最後の暴落で大損したケースもあった。対面の場合、外務員の指導力も高めていかなければ、同じ轍を踏む可能性もあることを、特に金を主力とする第一商品とその顧客は知っておくべきだ。
もう一つ、インターネット上の風評も今では注意しなければならないポイントだ。ネットに重きをおかない世代は、今も、ネット上の風評を鼻で笑いがちだが、今回の震災時のネット情報の位置づけからも分るように、今の世代はネット上での情報が重要な位置を占めている。
そんなインターネットで「第一商品」と検索すると、いまだに「しつこい」という言葉があるのに驚かされる。
よくみると、そうした書き込みは3年前、あるいは5年前のものもあるのだが、中には最近のものもある。「不招請勧誘禁止」の見直し論議は今後も続けられるのだろうが、少なくとも、業界大手と呼ばれる企業は、業界の顔の一つでもある。インターネット上の風評にも常時目を配るべきだろう。
(益永) |