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パックアップシステム
益永 研
平成23年3月11日(金)の東北地方太平洋沖地震及び長野県北部を震源とする地震により被災された皆様に対し、心からお見舞い申し上げます。
今回の未曾有の大災害を受けて、3月14日、15日の東京の証券・商品市場は暴落した。その中で、一つ気になったのが、14日の東京ゴム市場で、サーキットブレーカーが何度も発動され、結果的に夜間取引でサーキットブレーカーの幅が50円まで拡大された時点でようやく連続的に成立するようになったという話題だった。
これについて、商品先物業者からは当初、幾つかの取引所批判めいた声が聞かれた。
一つは、「ゴムの場合、サーキットブレーカーが相次いだ理由として、二番限りだけ対等玉が揃わなかったことが挙げられる。二番限り以外の限月は、すべて注文が成立する売買が揃っていたのだから、二番限り以外の限月については成立させるべきたったのではないか。一つダメなら、全てダメというのは納得できない」(先物業者担当者)という、現在のサーキットブレーカーの「連動性」の是非を問う声。
もう一つは、「東工取は、14日の夜間取引を実施したが、先物業者の中には、その時点で電話が通じなくなっていたり、社員自身も家族の問題などで早退する者が多く、人員の手当てに苦しんだ。それは業者だけでなく、投資家も同じだったと思う。非常時には、夜間取引を中止する決断があっても良かったのではないか。結果的に、ゴムは夜間取引のおかげで値がついて売買できたのだが、被災地在住の委託者の中には、電話もネットも使えずに、情報もないまま、暴落によって揖失を蒙った人もいた。あそこは、被災地への配慮という意味でも中止してよかった場面だった」という取引所の立会い継続の判断を問う声だった。
だが、むろん、業者および一部の委託者たちのこうしたクレームは認められず、取引は継続された。そして、それはそれで適切な処置だったのだと、今は思われる。
東工取でも、サーキットブレーカー制度を決めた際、一部に「連動性」に対する疑問の声はあった。しかし平等の原則を考えれば連動性はやむを得ないとの判断から、現在の制度がある。また可能な限り市場を開くのは取引所の責務でもある。未曾有の大災害にも動じず、落ち着いてマーケットを継続した点で、今回の取引所対応は評価されていい。
一方で、商品先物会社にとっては今回の震災で改めて考慮すべき課題もあった。それは、バックアップシステムの不足だ。
例えば、オンライン証券のカブドットコムは、今回の震災に際して、委託者向けにこんな告知を出した。
「東京電力で予定されている輪番(計画)停電につきまして、当社では万が一に備え自家発電エネルギー利用による安定したサービスの継続が可能です。コールセンターの営業につきましても、当社は東京都千代田区大手町の本社にて人数確保も出来ており、通常通り被災者の皆様を最優先でご対応してまいります。当社は、有事の際にお客さまの預り資産と投資機会を保護する事業継続計画(BCP)機能を活用した東京本社と福岡システムセンターでの二重基盤により安定したサービス提供を実現しております。」
同社の委託者によれば、同社は、こうした「非常時の措置」について、平常時から、すべての委託者に教えているとも言う。
商品先物各社の中で今、こうした準備ができている会社がどれだけあるだろうか?各社から委託者への通知をざっと見たところ、いずれも、「本日以降、被災地のお客様からのご連絡、停電の影響を受けるお客様からのご連絡を多数いただくことが予想されます。緊急時以外のご連絡は極力お控えいただきますよう、お願い申し上げます」や「当社のITシステムに被害はなく、現在のところ正常に稼動しております。ただし、東京電力管内で実施が予定されている計画停電の影響や余震による通信インフラ等の被害などにより、今後、業務に支障がでる場合も予想されます」等のコメントが多く、少なくとも自家発電による対応は可能であると明言している会社や、バックアップのためのシステムを東京以外の地方に確保てしていると感じさせられる会社は見当たらなかった。今後、東京にも震災が起きる可能性がある限り、このままではいけないのではないかと思わされる。
また、今後ネット証券・FX会社といった新たな市場参加者を開拓することを考えると、非常時のバックアップシステムは、いずれ必要とされることになるだろう。 |