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わが国の商品ファンド(9)
商品ファンドが支払うコスト
福島 恒雄
 商品ファンドが支払うコスト、つまり商品ファンドを組成し、管理し、運用していく各段階で関連業者が受け取る報酬には、販売業者の販売手数料の他、組成管理業者であるCPOが受け取る管理報酬、CTAの受け取る顧問報酬、そして、市場へと取引をつなぐ取次手数料がある。管理報酬は、CPOつまり当時のファンド法でいえば商品投資販売業者における運用法人が受け取るもので、基本的には定額で、年間ファンド総額の3%〜5%程度だった。CTAが受け取る顧問報酬は、定率報酬と成功報酬の二層構造が一般的で、定率が契約金額のゼロ〜5%、成功報酬が利益の10%〜20%というところだったと記憶している。取次手数料は取次業者に支払われるもので、英国から始まった金融ビッグバンの影響で、世界的には完全に自由化されており、ディスカウントブローカーが台頭してきた時期に重なる。
 当業界から新規参入してきた各社の中には、商品ファンド業者になればこれらの報酬の全てを受け取ることができると錯覚していた社もいたが、それ以上に、取次手数料の獲得こそが目的化していた社が多かった。ところが、商社やノンバンクが組成したファンドはほとんどが海外のCTAを採用し、海外市場をその投資先としており、国内の取引所を利用しているのは皆無といってもいい状況にあったから、当業界がノンバンク組成のファンドを販売したとしても、当該ファンドからは商品取引員に委託手数料が落ちることはで認識し、具体的な動きにつながるまでには相当な時間を要した。
 当時、商品ファンドとは別個のところで、当業界で投資一任業務の解禁が議論されており、商品投資顧問業とこの投資一任業務の議論が絡み合い、混乱していたことがある。また、顧問業者は、投資家から運用一任を受けて投資家の資金を運用するのであるから、投資家の利益を最優先に考えざるを得ない立場にある。その意味で投資運用する場合の委託手数料は投資コストであり、投資家にとってはマイナス要因であることから、取次業者である商品取引員と顧問業者の間には業務上の利益相反関係が存在し、当時、チャイニーズウォールと呼んでいたと思うが、人的にも資本的にも密接な関係があってはならないのであって、法もそういう構成となっており、取引員の100%出資の完全子会社では許可取得もおぼつかない制度となっていた。
 資本金を1000万円と抑えたことにより、個人の相場巧者の出現も期待されていたが、当時は、各社とも自己ディーリングといいながらも業務部門における会社としてのポジション管理が主体で、投資一任業務を請け負うだけの投資スキルとヒストリカルデータを持った人材が存在しておらず、また、取引員経営者サイドにそんな人材を育成しようという意識が希薄だったという現実がある。このことは今現在まで日本においてプロップハウスの存在が数少ないことにつながっていると思っている。
 なかなか上がらないパフォーマンスながら、ヒストリカルデータを蓄積するなどこのような制度的、環境的制約を乗り越え、主要な商品取引員では投資顧問業者を設立、許可取得の上、稼働し始めるまでに2年程度かかったのではないだろうか。

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