平成23年月28日(月)(毎週月曜日発行)第1078号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


 
◇香港取材=中国ビジネスの将来性を問う
  香港・台湾との協力が早道か
◇"めらの目"炭化水素、圧政、銃の結合は燃えやすい
       〜ブレンド110ドル台へ
◇"先物寸言"中小企業の為替損失問題
◆"アングル”
 ・銀、30年振り高値、造幣局は銀貨販売制限
 ・貴金属上昇渦中、金1,400ドルドル超え
 ・コーヒーとチョコの小売価格、供給ひっ迫で上がる


香港取材=中国ビジネスの将来性を問う
香港・台湾との協力が早道か
  
 世界の先物市場トップ10に中国3取引所が名を連ねるなど、先物業界でも、中国の存在感が日増しに高まっている。12億人、あるいはそれ以上とも言われる人口数に「将来性」を見て、積極的に現地進出を図る国や企業は後を絶たず、それは金融・証券業界も同じである。わが国の証券・商品先物会社の中にも今、様々な形で、中国進出の機会をうかがっている会社は少なくない。しかし、外国人にとって、そこにはどのようなリスクがあり、成功があるのか、まだ形が見えない。「中国の一部」でありがながら「中国への入り口・窓口」とも言われる香港で、今後の中国=日本のデリバティブ・ビジネスについて聞いた。
  
 中国の金・銀取引はまだまだ拡大する
 香港出身で、米国の商品投資顧問(CTA)資格を持つ、CTAネットワーク社代表のウィリアム・ウォン氏は、今後の中国での先物およびファンド・ビジネスについて、こう語る。
 「中国でのわれわれのビジネスは今後、間違いなく増えると考えています。今、香港のゴールデンタイムのテレビCMを見てください。金銀貿易場メンバーのCMがたくさん流れています。実は、このCMは香港地元の投資家のためのCMではありません。中国本土から観光や仕事、あるいは投資目的で来る人たちに向けたCMなのです。それだけ、金に対する需要が旺盛だということです」。
 香港では昨年、100年の歴史を誇る香港金銀貿易場が、新たに「従業員資格(登録外務員)」制度を導入した。その結果、1349名の「従業員」が誕生した。
 その中で、今回新たに98名の従業員を登録し、リティルビジネスに力を入れているCOCUS社は、金オプション、スポット金・銀の差金決済取引などを中心に、前述のテレビCMやネットで新規顧客を開拓、その数は昨年後半だけで2倍近くに増えているという。
 「金については、様々な投資手段が、香港にはあります。金現物、スポット取引、オプションばかりでなく、最近は、ETFも注目されています。今年の正月(2月)には、クリスマスに続いて金の装飾品の売上げも伸びています。インドの金購入の伸び率に比べると、中国人の金購入はそれほど大きな伸び率には見えませんが、だからこそ、今後まだまだ購入量が増える可能性があります。中国人にとって、金は今も、最良の資産であり、投資手段なのです」(COCUS社CEO、トニー・ファン氏)。
 ただし、残念なことに、これらの話は皆、先物取引ではなく、金のスポット取引やETF、あるいはわが国のFX会社の一部に見られるような金の価格当て(「金オプション」と呼ばれる)のようなものが対象だ。
 そして、米国や日本の取引所の金先物取引は、あまり話題になっていないのが実情ではある。

 デリバティブ普及には時間が必要
 前述のウォン氏が言う。
 「中国・香港では今、株式の人気が落ち込んでいます。というのも、昨年、証券取引所の株式価格が18%近く下落したためです。一部の上場企業の質の悪さが露呈したせいもあります。しかしそれ以上に金のETFやスポット金取引、あるいはFXが注目されているためです。上海や大連の先物取引所も、取引高が多いそうですが、それは当業者プラス一部の個人投資家だけの取引ではないでしょうか。多くの個人投資家の話題としてはスポット金やF]が多く、それに比べると、先物はあまり話題になりません」。
 投資対象としての認知度が「デリバティブ」はまだ低いということなのだろう。
 FXのアービトラージと、オプションを使ったファンドを運用しているSTlウェルス・マネジメント社のCOO、ケビン・ツアン氏も「FXは、中国でも人気がある。しかし、商品先物はどうだろうか」と首をかしげる。
 氏は、かつて6年間、米国のCTAとして活躍し、香港に戻ってからFXだけのファンドを立ち上げた。過去4年間、約50ヶ月のうち、マイナス月が1度しかないという好成績の持ち主だが、その最大の理由は「FXは市場が大きい」ことだと言う。
 その点、商品先物市場は、いくら中国本土のそれが世界のトップ10に加わったからといって、FXに比べればそれほど大きくはない。だが、今は、国内外を問わず、業者としては何もデリバティブだけにこだわる必要が無い時代でもある。
 一方で、現在の中国には、10年前に比べるとスタンダードチャータード、モルガン、シティなどの銀行はもちろん、ゴールドマンザックスなど外国の金融機関が数多く事務所を開いている。また、大手のへッジファンドも、現地の金融機関と共同で、資金獲得を始めている。そしてその背景に見え隠れするのは、中国の投資家たちにとって、実業であれ、ペーパー投資であれ、「財産を、中国本土だけで持ち続けることにはリスクがある」という声だ。中国の「金持ち」たちにとって、本土で抱える資産を海外の金融機関に分散することや不動産を購入すること、あるいは金などのモノに変えることは、潜在的ニーズなのである。
 そして、流れ出てくるこうした中国資産を誰が受けるのかが、今後の注目点でもある。
  
 香港、台湾をハブ(中継基地)に
 だが、現在の日本の商品先物会社に、中国ビジネスなど出来るのだろうか?
 マレーシアの投資銀行のある関係者は、こう語る。
 「現在、中国政府は海外からの本土への投融資を前向きに受け入れる姿勢にありますが、大手企業や金融機関は別にして、中小企業が直接進出するのはやはりリスクもかなりあります。成功例が一つに、失敗例が100といわれるのも、情報が正確でなかったり、人間関係を間違えたりした結果です。しかし、香港、台湾の企業については、中国政府は今、直接・間接的に窓口を広げてくれていますし、両国とも日本人とも交流が深い。特にデリバティブ専門業者など中小の会社は、今後、香港や台湾の企業とのジョイントベンチャーをもっと真剣に検討すべきではないでしょうか」。
 ビジネスの基本が人間であるのは万国共通であり、特にアジアにはその傾向が強いが、中でも中国は、信頼関係を大事にする。その基盤にあるのはやはり、「言葉」であり、中国語の場合、他民族、多言語であるだけに、こうした人間関係や信頼関係を構築するには相当の時間が必要だ。それは、早くから世界に飛び出した「華僑」と呼ばれる人々にとっても同様のようで、シンガポールやマレーシア、あるいは欧米で活躍する中国人たちも、現在の中国本土での言語や人間関係には一苦労するのだともいう。
 香港や台湾をハブとして、改めてアジアビジネスを考えてみることもあっていいかもしれないと思わされる。
 (2011年2月28日―第1078号)
              

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