平成23年月21日(月)(毎週月曜日発行)第1077号
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日本テクノシステム


 
◇ドイツ取引所とNYSEユーロネクストも合併
  新たな競合会社の株式60%はドイツ側へ
◇"めらの目"政情判定にプロはいない
◇"先物寸言"スクリーン・トレーダー育成講座を開催
◆"アングル”
 ・原油、適正価格は100ドル前後
 ・中国の雨不足、小麦価格さらに押し上げる恐れ


ドイツ取引所とNYSEユーロネクストも合併
新たな競合会社の株式60%はドイツ側へ
  
 世界の取引所が合併・買収で揺れている。昨年10月、シンガポール取引所がオーストラリア証券取引所買収に名乗りを上げ、今年2月初めには、ロンドン証券取引所がカナダのTMXグループ買収で合意。そして2月15日にはついに、ドイツ取引所グループが95億3000万ドルを出し、米国最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所を核とするNYSEユーロネクストと共に新たに統合会社を設立し、その株式の60%を取得することで合意した。

 まだ、両国の規制当局から最終的な結論は出されていないが、この合併が実現すれば、合併会社は、先物取引ではフランクフルトのユーレックスの他、ロンドンのZYSE Liffe、ニューヨークのNYSE Liffe USを傘下に収めることになり、年間の取引高合計はおよそ31億枚(昨年)と、NYMEXとCBOTを抱える世界最大の先物取引所CMEグループとほぼ同じ規模になる。証券オプション取引も、ユーレックスとスイス取引所が所有する米インターナショナル取引所に、NYSEユーロネクストの子会社であるNYSE Amex取引所とNYSE Arcaのオプションが加わり、米国のオプション市場シェアでは、シカゴ・ボード・オプション取引所(CBOE)の29%を大きく上回る43%(昨年)となる。

 統合・合併の流れはまだ続く
 欧米では、取引所の合併・買収に拍車がかかっている。
 前述した昨年来の動きだがニューヨークのオプション市場であるインターナショナル証券取引所を買収、ロンドン証券取引所がイタリア取引所を買収、インターコンチネンタル取引所がニューヨーク・ボード・オプ・トレードを買収など、国境を越え、証券・デリバティブの垣根をも越えた大型統合・買収のニュースが相次いだ。2008年にも、カナダのTMXが同じカナダのモントリオール取引所を買収している。
 そして、そのTMXグループも今回はLSEグループに買収され、NYSEユーロネクストもまたドイツ取引所と同じグループになるなど、合併統合の動きはまだ続きそうだ。

 コスト削減とシステム支出増加のジレンマ
 欧米取引所の相次ぐ統合合併の背景として、欧米各紙は、90年代から高まる一方の機関投資家やヘッジファンドといった大口市場利用者たちの取引コスト削減ニーズ、そして国際化と流動性に対するニーズの高まりなどを指摘する。各取引所はフロアーやブローカーなど「中間コスト」を削って取引フィーを下げ、システム化を進め、取引高を増やそうと買収や合併などで大型化を進めるというシナリオだ。
 ただ中には、システム化がより莫大な支出を生み、肝心の収益を減らした取引所もあり、それが買収される側と買収する側の紙一重の違いにもなる。
 例えば、NYSEユーロネクストの場合、統合後のシステム投資が裏目に出て、株価は、2007年の統合から今年2月15日までの5年間で54%下落。これに対し、90年代前半から電子取引化を進め、コスト削減にも力を入れていたドイツ取引所グループの株価は2005年からの7年間で、57%上昇している。
 その結果、今回の合併会社設立に際しても、ドイツ取引所の株は1株で新会社1株と交換できるのに対して、NYSEユーロネクストの1株は、新会社株0.47株にしかならないと発表された。新会社の取締役についても、17名中10名をドイツ取引所が占めると発表された。

 デリバティブで収益性確保
 ドイツ取引所とNYSEユーロネクストの収益力を分けたもう一つの理由として指摘されるのは、デリバティブだ。
 発表によれば、両グループ合併によって、フランクフルトとニューヨークのグループ証券市場に上場されている会社の株式の時価総額は15兆ドルを超える。むろん、米国一、欧州一のシェアとなるがそれでも、新たに設立する「合併会社」の収入比率を見ると、昨年実績ベースでデリバティブ市場が全体の37%を占めるのに対して、現物株市場は29%と、現物株よりデリバティブ取引による収入の方が大きいことがわかる。
 NYSEユーロネクスト自身、昨年は、現株による収益が前年比10%減少したのに対して、デリバティブの収益は前年比14%増加した。ニューヨークの経済アナリストからは、NYSEユーロネクストLiffeの先物とオプションの収入が
徐々に増えていることなどから、「このままいけば2013年までに、デリバティブの収入が、全体の50%を超えるかもしれない」という声も聞かれるという。
 「取引コストの削減」を進める機関投資家やへッジファンドといった投資家は、今ではデリバティプを利用して当初投資額を減らし、その分、ポートフォリオの幅を増やす運用を学んでいる。米国内の株式会社や債券だけでなく、海外市場にも運用チャンスがあるとすれば、従来型のパイ・アンド・ホールドでなく、デリバティプ市場を上手に使う動きは今後も広がりそうだ。
 ちなみに、国境を越え、株、商品デリバティブなどの垣根を越えるこうした統合について、各国の規制当局による規制は今のところかかる気配はない。
 (2011年2月21日―第1077号)
              

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