新春特別号
平成23年 1月1日(土)(毎週月曜日発行)第1070号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
〒103-0013 東京都中央区日本橋富沢町11−15−702
TEL 03-3668-3450 FAX 03-3664-9275
購読料・月2,310円 年27,300円(税込み


日本テクノシステム




 
◇2011年変わるか、日本の商品先物市場
  「FX・証券会社と共存・競合時代」の課題
◇“めらの目”商品、スパーサイクル堅持 農産物主導でインフレ懸念も
◇“先物寸言”あきらめないで
◇ わが国の商品ファンド(6)「小額化への流れ」
◆2011年年頭所感
 ・日本商品先物振興協会 会長 加藤 雅一
 。日本商品先物取引協会 会長 荒井 史男
◆“アングル”
 ・トウモロコシ高、トリティーヤ直撃
 ・砂糖とコーヒー、そろって高値
本社移転のご案内
 新年あけましておめでとうございます。
 このたび弊社は本社を移転することにいたしました。今後は従前にも増して、皆様のご期待に添うべく努力する所存でございますので、倍旧のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

 移転日;2011年1月1日
 新住所:〒103-0006
     東京都中央区日本橋富沢町11−15−702
 電 話 03-3668-3450(従来通りです)
 FAX 03-3664-9275(変更になりました)



2011年変わるか、日本の商品先物市場
「FX・証券会社と共存・競合時代」の課題
  
 2011年1月、改正商品先物取引法が施行される。日商協の予算発表時の説明では、12月に締め切られる新規許可申請の結果、「商品先物取引業者」は現在の35社から少なくとも45社以上に増えることが見込まれている。新規参入会社の内、野村證券など数社が東京工業品取引所に新規参入すると見られており、「FX・証券会社との共存・競合時代」がスタートする。だが、一方でFX・証券会社などの新規参入業者の大半は海外先物取引、商品CFDなどを取り扱うとしており、既存取引貝の廃業、あるいは取次ぎ業者への転向などもあって、国内商品先物市場参加者が大きく増加する気配はない。これら新たな許可業者とその投資家を呼び込み、国内の商品先物市場を活性化させるための課題は何だろうか。
  
課題1.取引所・団体のコスト削減
 今回の法改正と新規業者加入について、東京工業品取引所(以下東工取)のある役員はこう語る。
 「FXや日経225の個人投資家を商品市場に導入したいですね。そのためにも、既存取引員さんだけでなく、新規参入業者にも期待しています」。
 実際に、今回許可申請をしなかった会社も含めてFX会社10社に「今後、コモディティを取り扱う可能性はあるか」と尋ねてみると、2社に1社の割合で、「あります」という答が返ってくる。
 「FXは今、一服状態。というより、レバレッジ規制の導入で、一部の投資家が離れていったのも事実です。もともと投資家というのは移り気なものですから、メニューの多様化のためにもFXの次にコモディティを…という気持ちはあります」。
 ただ、同じコモディティでも、「まずは海外の取引所取引から」あるいは「商品CFDから始めるでしょう」という答が多いのも事実だ。
 すでに国内商品先物市場の取次資格を取っているクリック証券もまた、2011年は「商品CFDをわが社が率先して盛り上げたい」という。
 FX会社が、国内商品取引所でなく、海外市場に注目する理由としてまず挙げるのは、「海外ものは、FX同様、新たなシステム投資が要らないし、取引所コストなど、余分な経費も取られない」ことだ。
 特に店頭FX関係者には「昨年末の商品先物取引業者の申請に際して、改めて国内取引所取引のコストが予想以上に高かったことに驚きました」と言う声が少なくない。
  
手数料の15%では高すぎる
 参考までに、ある店頭FX会社がまとめた、国内取引所及び団体コストの表に基づいて、その業者の試算結果を聞いてみると、「国内取引所で取引すると、ブローカーとして一ヵ月6千万円の手数料収入を得るために、およそ1千万円のコストがかかることになります。FXならその半分以下ですみます」と言う。
 同社の具体的な顧客見込み数や売買予想は聞けなかったが、既存の商品先物会社関係者に、この数字について聞くと、「取引所については定率参加料があるので、取引規模によってコストが変わりますが、月間8万枚程度の出来高規模で、1枚750円ぐらいの手数料しかとらないオンライン会社であれば、大体そんな比率になるのではないでしょうか。わが社でも、取引所・団体経費を合計すれば1枚当り150円近いでしょう。高い対面手数料なら気になりませんが、コストを気にするFX会社にとっては大きいでしょうね」とのことだった。
 それでなくても今、大手を除く証券会社やFX会社は「新たな投資をしなければならないビジネスには参入できない環境」(中堅証券会社)にある。
 CFDは、カウンターパーティーが提供するシステムをそのまま利用するASP方式なら、新たなシステム経費はかからず、取引コストもスプレッドだけですむ。また店頭FX会社は、2010年2月の制度改正で、すでに顧客資金を国内で信託化するスキームを築いているから、CFDの顧客資産の信託化についても可能になる。「同じ商品を取り扱うならまずはCFDで」と言うFX会社が多いのは頷ける。
 これまでの「商品先物取引業界」は、この種のコストについて、取引所・団体・商品取引員ともに身内意識から「かかるものは仕方がない」と了解するケースが多かった。しかし、新規参入組にそれは通じない。。
 ちなみに欧米では、90年代、機関投資家やファンドなどの大口投資家が、取引スピードや取引コストの削減を求めて、シカゴの古いフロアー取引からヨーロッパの電子取引へと移行した。シカゴの取引所ではこの時、複数の独立系ソフトウェアベンダー(ISV)にプラットフォーム構築を任せ、既存ブローカーに「電子取引化」のマーケティシグを任せるなどして、比較的安価に、そして「身内意識」も生かして電子市場の流動性を徐々に高めながら、電子取引化を成功させた経緯がある。その結果、米国先物市場のトップブローカー上位には、大手金融機関が多く名前を連ねるようになってもいる。
 東工取のシステム改革も、こうした欧米市場の例に倣ってのことだったのだが、米国と違い、まずブローカーを資本・勧誘の両面から規制してしまい、結果的に流動性を失ったという点は悔やまれる。
 とはいえ、欧米市場同様、「プロ」も呼び込む商品先物市場を本気で創設するのであれば、ブローカーの質の転換も必要だが、そのためにもコスト削減を追求しなければならない。取引コスト削減には副作用があり、米国でも現在、FCM(先物会社)の収益悪化が深刻な問題になってはいるが、市場規模の大きさが、それを補っている。
 取引コストが下がれば、プロばかりでなく、証券・FXのオンライン個人投資家ニーズも満たすマーケットも実現できるにちがいない。
  
課題2.商品先物取引会社の新たなビジネスモデル構築
 不招請勧誘の禁止が実施されたことで、商品先物取引会社は1月から従来型の電話・訪問による新規獲得営業ができなくなった。
 ただ、法律では「初期投資額以上の損失を出さない取引」については従来型の勧誘が認められている。このため日本商品先物振興協会では昨年末、そうした商品性を持った商品を「スマートCX」と名付けて、今後、普及させる意向だが、「スマートCXではなく、電話・訪問勧誘ができる金を販売します」という会社もある。商品先物取引業者の新規顧客開拓は今後、多様化すると同時に知恵比べの時代になる。

ネットだけでは開拓出来ない
 その一つ、オンライン取引についてはしかし、苦戦が予想されている。理由は、「ネット取引では、仮に顧客数が増えても、コストの割に収益が少ないから」だ。実際、先行しているオンラインに特化した商品先物取引会社は、口座数、顧客資産ともにトップになっても、収益が伸びず、苦戦している。事情は異なるが、ネット取引で注目されてきた三菱商事Fの撤退や、フジフューチャーズの取次ぎ転向なども、オンラインFX・証券会社が、積極的に国内商品市場に参入意欲を示さないもう一つの理由となっている。
 もともと、今回の不招請勧誘禁止が決まった背景の一つには「同じ証拠金取引である店頭FXや日経225先物・オプションなどが、オンラインでも十分な顧客開拓力を示している」ことがあるのだが、これについても、あるFX会社役員は、首をかしげてこう語る。「実はFXも、広告やアフィリエートにお金を使える会社だけが生き残る構図になりつつあり、ネッ展開だけで新規開拓ができるわけではないのです。その点、テレビCMにかける費用が回収できるかどうか分からない商品先物は売りにくい。コールセンターでの対面サービスの充実が求められます。しかし、商品先物は、マスコミ情報が不足しており、有料情報を買わなければなりません。それを解説出来るスタッフも必要です。その点、残念ながら当社は準備不足です」。
 要するに、商品先物は、ネットで新規顧客を開拓できるだけの環境がまだ整っていないということだ。
 この話はFX会社を通じてFX顧客の導入を期待するためには悪材料といえるのだが、すでにFX顧客と外務員を抱えている商品先物取引会社にとっては、既存のFX顧客への勧誘は、不招請勧誘禁止の適用除外である点も併せて、先行者優位があるという意味で参考になるに違いない。
 もう一つ、今回、不招請勧誘が決まった背景には、顧客トラブルの多発がある。それも含めて、商品業界を歩いているとよく「国内商品はイメージが悪い」という声が聞かれるのだが、これについて、別の大手F]会社の役員はこう語る。
 「当社のアンケート調査によれば、商品業界の人が考えているほど、コモディティのイメージは悪くありません。今回の不招請勧誘の禁止によって、FXがそうだったように、むしろ安心してコモディティを取引するお客様も出てくるはずだと当社は考えています。」
 米パークレイ・リポートが12月に発表した資料によれば、2010年11月末までに、マネージド・フューチャーズ(商品ファンド)などで「コモディティ」に投資されている資金額は3400億ドル(約34兆円)規模に達したという。一服気味のFXに代わって、「旬」を迎えたコモディティをどうPRしていくか、国内商品取引所と、新たに許可を得た商品先物取引業者の手腕に期待したい。
(益永 研)
取引参加者の取引に関する諸経費
(関西・中部大阪商品取引所を除く)
(単位:円)
東穀取
定額参加料
(年額)
定率参加料
 
受託取引参加者
市場取引参加者
(標準)売買枚数
(一大、粗糖)売買枚数
(上限)
(上限)
('11/1〜3)キャンペ−ン
('11/1〜3)キャンペ−ン
300,000
200,000
55
27
東工取
定額参加料
(月額)
定率参加料
 
受託取引参加者
市場取引参加者
(標準)売買枚数
(ミニのみ)売買枚数

60,000
50,000
55
14
JCCH清算手数料
売買枚数('11/4〜6円)
日商協 定額会費
(年額)
 
 
 
 
 
定率会費
 
 
特別会費
(年額、H22のみ)
 
均等割
純資産割
(H21/9月時点)
 
外務員割(同上)
 
 
(標準)売買枚数
(一大、粗糖)売買枚数
(金、白金ミニ)売買枚数
外務員割(同上)
 
 
 
50億円以上
20〜50億円未満
20億円4未満
150名以上
50〜150名未満)
50名未満
 
(×1/2)
(×1/4)
150名以上
50〜150名未満
50名未満
819,000
1,071,600
803,700
535,800
1,158,400
868,800
579,200
10.8
10.8
10.8
1,874,700
1,047,600
777,500
保護基金 定額会費(年額)
定率会費
 
 

(標準)売買枚数
(一大、粗糖)売買枚数
(金、白金ミニ)売買枚数
 
 
(×1/2)
(×1/4)
200,000
2.85
2.85
2.85
振興協会 定額会費(受託)
 
 
定額会費(取次)
定率会費
資本金額
 
 
一律
(一律全商品)売買枚数
20億円以上
10〜20億円未満
10億円未満
 
 
30,000
20,000
10,000
10,000
1.00
 (2011年1月1日―第1070号)
              

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