平成22年 12月6日(月)(毎週月曜日発行)第1067号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日本テクノシステム


 
◇過渡期にあえぐ国内プロップ・トレーディング
   住商エレに続き、明治物産もプロップ・チーム解散へ
     生き残り賭け、他市場への参入図るプロップも相次ぐ
◇“めらの目”商品先物の妙、農産物にあり
◇“先物寸言”ビルの売却・取り壊し
◆冬中夏草、新たな金
◆“アングル”
 ・ロシア、穀物再輸入に近づく
 ・食品価格、食料品危機ピーク時水準にあと一歩


過渡期にあえぐ国内プロップ・トレーディング
住商エレに続き、明治物産もプロップ・チーム解散へ
生き残り賭け、他市場への参入図るプロップも相次ぐ
  
 来年3月に解散を予定している住商エレクトレードに続き、国内商品先物市場でのプロップ(自己)・トレーディングでは15年の歴史を持つ明治物産もこのほど、プロップ・トレーディング部隊の解散を決めた。東京工業品取引所は、ここ数年、海外のプロップハウスや機関投資家などからの市場参入を営業課題の一つに据えているが、国内在住のプロップ・トレーダーですら退場が相次ぐ環境で、海外からの参入が期待できるのだろうか?
  
 流動性低下と取引所システム改革で収益低下
 11月29日、明治物産は社内的に自己トレーディング・チームの解散を決定した。「市場が小さくなり、思うように売買が出来なくなって、収益も大きく減少しました。来年1月以降、ビルも売却されることになったので、自己トレーディング部隊を解散することになりました。トレーダーの受け皿探しが当面の仕事です」と関係者。
 同社では翌日から複数の商品取引員、自己トレーディング会社等とトレーダーの採用条件等についての話し合いが始まっているという。
 明治物産がフジフューチャーズからのトレーディング・チームを引き受けて、新たなビジネスとして「プロップ・トレーディング(以下プロップと略)部門」を誕生させたのは1995年。その後、小林洋行、タイコム証券、アサヒトラスト、光陽ファイナンシャルトレードなどが相次いでプロップ部門を設立。2006年には、住友商事がタイコム証券のプロップ部門を買収して住商エレクトレードを、また、米国最大手のプロップハウスであるゴールデンバーグ・ヘイマイヤーも日本ユニコムとの共同出資でユニコムGHを設立するなどして、商品先物市場でも「プロップ・ビジネス」が話題を呼んだ。一時は、東工取の売買高上位に住商エレクトレードなどのプロップ会社が名を連ねたこともある。
 過去2年間は、国内商品先物市場の流動性低下のため、各社とも減収減益が続いたものの、それでも、個人顧客への勧誘禁止で行き詰ったブローカービジネスに比べれば、各社とも収益面では健闘していた。しかし、昨年5月に東京工業品取引所が高速マッチング・エンジンを導入して以降は、一定のルール(アルゴリズム)に基づいてコンピューターに売買指示を出させる取引が可能になり、いわゆるアウトライト(片建て)で、単品の売買を繰り返す「目視型」のトレーダーが消えていったことも手伝って、数年前までの勢いは失われつつあった。
 そして、今年11月には、業界最大手だった住商エレクトレードも解散(2011年3月)することを表明した。明治物産のプロップ・チームも、そうした市場の縮小と取引システムの変化の中で、解散を決めたことになる。個人顧客減少による商品取引員の相次ぐ退場に加えて、プロップ・トレーダーたちの退場。国内商品先物市場は今後、どうなっていくのだろうか?
  
 他市場に軸足を置き、国内商品市場での取引も増やす
 プロップ関係者たちの、「今後」に対する声に、その答の幾つかが伺われる。
 「東工取のマーケットで流動性が足りなくて思うような売買が出来ないのであれば、もっと流動性の高いマーケットで取引すればいいでしょう。当社ではすでに、ニューヨークやシカゴ市場での商品先物、FX、大証の日経225オプションなどを手がける準備に入っています」というのは、プロップ部隊を抱える別の商品取引員関係者。
 「確かに、個人投資家がいないマーケットではわれわれも儲けることは簡単ではありません。だからといって、東工取のために相場を張っているわけでもありません。取引所が客を選ぶということであれば、われわれプロップ・トレーダーもマーケットを自由に選ぶ
ということです」というプロップ関係者のコメントが、今のプロップ・トレーダーたちの正直な声に違いない。
 とはいえ、他市場を利用することが、国内の商品取引所にとって一概に悪いともいえない。例えば、こんな声もある。
 「すでに、始めていますが、今後は、ニューヨークの金などを活発に取引していきたいと思います。そのヘッジとして、東京を使えばいいのです。ニューヨークで30枚建てたら、東京では100枚建てるという形になれば、国内市場の活性化にも役立ちます。国内市場だけで取引していたら、リスクが大きすぎて、売買枚数を縮小するしかありません。それでは、トレーダーたちが食えません」。
 また、「同じOMXを大証が導入するのであれば、東工取は、大証と一緒になればいいのではないでしょうか。その上で、コストも共有していただく。そうすれば、トレーダーとしては楽になります」。
 トレーダーたちの声を聞いていると、総合取引所の検討チームでは聞かれない素直な話も数多く飛び出してくる。
  
 取引所システムの高速化に対応する
 もう一つ、今後のフロップ・ビジネスの変化の一つとして、プロップ関係者たちが一様に指摘するのは、取引所システムの高速化への対応を急ぎたいという声だ。
 過去、国内のプロップ・トレーダーたちの取引形態の多くは、マーケットの小さな動きを薄く剥ぎ取り、1日に何回も売買する「スキャルピング」か、限月間の「アービトラージ」が主流だったが、10秒間で200件、あるいは20秒間で1000件ともいわれる発注スピードを提供する現在の東工取のシステムを活用するためには、アービトラージはともかくとして、人間の目で視認してから発注する古いタイプのスキャルピングでは難しい。そのため、あらかじめ設計されたシステムで運用するアルゴリズム取引が求められるのだが、親会社に縛られた発注では、何千枚の取引となると、何回かに分けて出す「順番待ち」になりがちだ。せっかくコンピューターが注文を出しても、順番待ちの間に、良い値段が消えていくというのでは勝てない──と、いうトレーダーも少なくない。
 こうしたトレーダーたちの技術的なクレームに対して、東工取は、過去1年間で、様々な変革を成し遂げてきた。システム面でも、例えばオートトレーダーに対しては、取引所の占有型ネットワークゲートウェイを安価で開放し、最新型のISVを利用するトレーダーについては「遅れ」を取り戻せる可能性も出てきている。また、かつては、「期近は注文を出すな」など、スタンダード・コンビネーション・オーダーを拒否するような取引所の発言もあったが、それも薄れてきている。また、来年「SPANマージン」が導入されれば、少なくとも、スプレッド取引については、証拠金が大幅に下がる予定であり、これも、プロップ・トレーダーたちには高い評価といっていい。
 「東工取も、グローバル展開に目覚めてから、確かに変わってきてはいます」と、トレーダーたちは言う。
 ただし、それでも、市場の流動性が必要なことには変わりはない。それが実現できなければ、退場、あるいは、国内商品取引所から海外や他の国内市場へと移るプロップ・トレーダーは今後も相次ぐだろう。
 (2010年12月6日―第1067号)
              

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