平成22年 11月29日(月)(毎週月曜日発行)第1066号
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日本テクノシステム


 
◇総合取引所検討チーム第3回会合
  国内商品先物市場の存続意義などで議論
◇“めらの目”北朝鮮の攻撃、安全への逃避促す 商品(金除く)売り圧力
◇“先物寸言”誰が為の統合か
◆“アングル”
 ・中国、商品価格抑え込み─下落トレンドの始まり?
 ・金、安全求めて上がる


総合取引所検討チーム第3回会合
国内商品先物市場の存続意義などで議論
商品については「国内市場の必要性はあるのか」との声も
  
 金融庁、経済産業省、農林水産省の副大臣などが主催する「総合的な取引所検討チーム」の第三回会合が11月19日間催された。この日は、増井喜一郎日本証券業協会副会長、三島裕史全国銀行協会市場国際委員長代理、茂木八洲男FIAジャパンパイスプレジデント、白木信一郎AIMA JAPAN副会長、藤本隆章国際銀行ディレクター、加藤雅一日本商品先物振興協会会長、高橋英樹日本商品清算機構社長、高井裕之住友商事理事、佐藤宏之JX日鉱日石エネルギー執行役員、安永義克ホクレン農業協同組合連合会部長、佐藤広宣カーギルジャパン統括部長、石戸谷豊弁護士など業界関係者が出席し、前回に引き続き、総合的な取引所を創設するメリット、問題点などについて意見を交わした。

 市場参加者も「一元化」を求める
 この日のヒアリングでも、前回の取引所首脳と同様、「規制の統一、税制の一本化、システムの共通化、システム・職員・事務所の共有によるコスト削減などが必要」(藤本氏)、「障害となるのは縦割り行政。また、証券ブローカーは、証券と異なる規制、コンプライアンス用件を求められる商品先物は追加的な負担になるため、商品先物を扱わない」(茂木氏)など、「一元化」を求める意見が大多数を占めた。
 商品先物取引業界を代表して出席した加藤雅一日本商品先物振興協会会長も「第一に、多様な資金を呼び込む取引業者が数多く、横断的に市場参入することが必要で、そのためには規制の一元化と監督機関の一元化が不可欠。協会アンケートでも、総合取引所構想の推進に賛成した会員は6割強、法の一元化推進に賛成したのは7割程度だった」と発言。その上で、「ただその際、財務規制を強化するにしても取引業者の撤退を招かぬよう、激変緩和措置を講じていただくこと、そして、コモディティの中には現物の受渡しを伴うものがあることなどに配慮していただきたい」と、商品先物関係者の意見を代弁した。
 機関投資家やヘッジファンドなどの「市場利用者」の意見としては、総合取引所の必要性について、「競争力の強化」に言及する声も目立った。特に、アジアの各取引所との競争については、シンガポール、香港、韓国などで取引所統合・総合化が進んでおり、日本は出遅れた感があるとの発言が目立った。実際、10月25日には、シンガポール取引所が、オーストラリア証券取引所の買収を発表するなどアジアの取引所は覇権争いが活発化している。
 国際取引所連合会(WFE)が10月にまとめた資料によると、2010年1月から9月のアジアの証券取引所の株式売買代金は、上海証券取引所が東京証券取引所を抜いてトップに立った。9月末の時価総額では、東証がアジア首位を守っているが、1年前からの増減率を見ると、東証が0.3%増、アジア2位の香港が23.2%増、3位の上海が9.8%増と明らかに競争力は低下している。こうした日本市場沈滞に関する危機感は、今回の会合でも参加者に共通して見られた。また、潜在的な大型国際市場である「中国市場」の存在も無視できない、あるいは、日本における環境整備が遅れたため、外国企業が日本市場参入を躊躇しているという指摘もあった。
 ただ、この日の会合内容を聞いたあるアジアの取引所関係者は、「日本市場は縮小しているというが、東証の外人投資家資料を見ても、米国のそれは減少しているものの、英国の投資家資金は、5年前に比べて逆に大幅に増えている。円高であることを考えれば、それほど大きな縮小ではない。それよりも、アジアのセンターとなるためには、日本市場への資金獲得だけでなく、海外市場とのネットワーク作り、あるいは、海外に投資したい日本人投資家の利便性向上のための制度整備も検討するべきではないか。一方通行では、国際化とはいえないし、そうした市場では、海外ブローカーのメリットはない」と、苦言を呈する。

 質疑応答は「商品取引」に集中
 ところで、この日の質疑応答は、「商品取引」に関する話題に集中した。
 まず、金融庁の和田隆志大臣政務官が、「日本の銀行が商品取引を行わないのは銀行法の規制に基づくものか?」また「海外の年金等の機関投資家はさかんに商品投資を行っているが、日本ではそうでない理由は何か?」と、機関投資家が国内商品市場を利用しないことについて質問すると、全銀協の三島氏が「顧客ニーズによるもであり、規制によるものではない」と回答した後、白木氏が「日本では、商品取引に対するイメージの悪さから、機関投資家が利用を避けてきた側面がある。日本の商品市場はボリュームも小さく、投資しずらい環境だ」と、従来の商品先物取引のイメージの悪さが理由であると指摘した上で、「海外では確かにコモディティーへの投資を増やしている。最近、一番増えているのはCTAに委託する投資である。実は近年、日本の機関投資家は投資信託を通じて海外のCTAが運用するマネージド・フューチャーズなどの商品投資を増やしているが、皮肉なことにこの資金の大半はCBOT、CMEなど海外の先物取引所に流れている」と、日本の機関投資家が、国内でなく海外の商品先物市場を利用している現状を明らかにした。
 また、「商品先物は日本に必要なのか、必要ではないのか。かりに中国の商品市場で価格が決まるようになると困ることがあるのか」(松下経済産業副大臣)という質問に対しては、高井氏が「最近の商品取引所は電子化しているので、国籍はどこであってもいいというのが究極の答だ。ただし中国でいいのかというと、外国人プレーヤーにとっては規制リスクも非常に大きい。われわれはアウエーで勝負するのでなく、やはりホームでヘッジしたいという気持ちが強くある」と、国内市場の充実を希望。
 佐藤(広宣)氏もまた、「農産物の場合は、品質が変化する、量的にかさばる上、モノがいつどこにあるかで価値が決まる性質がある。シカゴのトウモロコシと東京のトウモロコシは明らかに似て非なるものであり、東京で取引する意味はある」と回答するなど、「当業者」としては、国内市場の必要性があることを確認した。
 一方、「これまで日本の商品先物業界の評判は良くなかったが、これからの消費者保護について、商品取引関係者はどう考えているのか?」(松下氏)との質問もあり、加藤氏は「主務省からの指導を受け、改善を重ね、質の悪い業者はほとんど存在しない状況にある。現実に、苦情やトラブルの件数も平成15年度に比べ平成21年度は約16分の1まで格段に低下している。ただ、評判は簡単に改善するものではなく、われわれも日夜努力しているところである」と、業界の信用回復への努力を強調した。
 (2010年11月29日―第1066号)
              

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