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取引所理事長のつぶやき
杉江 雅彦
最近、とみに取引所の統合問題が話題にのぼる。とくに商品取引所が深刻だ。経営に行き詰まった東京穀物商品取引所が、膝を屈して東京工業品取引所に統合を申し入れたと思ったら、その一方で、民主党政権の新成長戦略の目玉商品である総合取引所創設に向けての関係省庁の検討会議が始まった。
このような動きの中で、証券・金融・商品各取引所の思惑も見え隠れするが、取引所社長のつぶやきを主に日経新聞の記事を中心に拾い上げてみた。
単独での存続がほとんど不可能に近い東穀取の渡辺社長は、現在上場中の七品目の引継ぎを東工取に求めているようで、「すべての商品を前提にしている」と言っている。受けて立つ側の東工取・江崎社長は、「どういう統合かということは何とも言えない」と言葉を濁すだけでなく、「企業価値にマイナスになるようなことはしたくない」と腰が引けている印象を受ける。東工取では低迷を続ける売買高の底上げを狙って夜間取引時間の延長に踏み切ったばかりで、「統合どころではない」が本音だろう。
それでは、政府主導で推進しようとしている総合取引所についての取引所側の反応はどうかといえば、監督官庁が旗振り役になっているため、面と向かっての反応は難しい。それに世界の趨勢は証券・金融・商品の各取引所を統合する方向にあるため、その流れに遅れないよう価格の発信機能を持つことが、今後の取引所政策にとって極めて重要であることは誰しも異論はあるまい。そこで、「世界を相手に競争するには理想的には一つの取引所があればよい」(東証・斉藤社長)、「条件が整えば取り組みたい」(大証・米田社長)とは言うが、東京金融取引所の太田社長のように、「統合したからといって利益が出たり、マイナスがプラスになるわけではない。利益がなければ株主の理解を得られない」と、かなりはっきり物を言う社長もいる。
なにしろ現状は、取引所はそれぞれ金融庁、経済産業省、農林水産省の三省庁の縦割り行政であり、法律も三種類が存在している。そうかんたんにすべての取引所を統合することは考えにくい。実現するにしても相当の時間がかかりそうである。それにしても、金融庁所管の証券、金融取引所からみれば商品取引所はまったく異質の存在であり、しかも、東穀取、東工取の両所とも赤字経営で経営困難な状況にあるため、「赤字取引所を押しつけられるのは困る」と逃げ腰であるのが透けてみえる。
最後に筆者のつぶやき。「東穀取と東工取は統合せず、東穀取は是非米(コメ)の上場を実現させて、米穀取引所の原点に立ち戻ること」 |