◇金融庁・農林水産省・経済産業省
「総合取引所」の検討チームを発足
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金融庁・農林水産省・経済産業省
「総合取引所」の検討チームを発足
10月28日、金融庁、農林水産省、経済産業省は「総合的な取引所(証券・金融・商品)の創設」の具体化に向け、検討チームを発足した。検討チームのメンバーは、金融庁が東祥三副大臣、和田隆事大臣政務官、農林水産省が筒井信隆副大臣、田名部匡代大臣政務官、経済産業省が松下忠洋副大臣、田嶋要大臣政務官の6名。本年中に3省の共同責任で中間整理を行い、次期通常国会での法案提出を検討する。
総合取引所創設目標年は2020年
今回の検討チームは、今年6月18日閣議決定された「新成長戦略」に基づいて、10月8日の第2回新成長戦略実現会に提出された「21の『国家戦略プロジェクト』における年内の作業工程表」に沿って創設された。
自民党政権時代から持ち越されたこの「国家プロジェクト」については、法的にはすでに、証券・金融・商品の各取引所の一部持ち株規制緩和によって取引所の相互乗り入れが認められるなど、具体化に向けて走り出している。ただ、商品先物市場の出来高低迷や、デリバティブ市場に関する証券・金融先物取引所の激しい取引所間競争が続いていることもあって、相互乗り入れは具体化していない。
検討チームは、こうした現状を踏まえて、改めて@総合的な取引所を作るメリット、および成長戦略の目標年である2020年におけるアジアのメイン市場としての地位の確立とはどのようなものか、A現状の問題点は何か、B総合的な取引所の創設を促すための制度・施策は何か等について検討する一方で、C投資家・利用者の保護を図りつつ、市場参加者や一般投資家の参加を増加させるためにはどうすればよいか、D取引所の国際競争力を維持強化するためにはどうすればよいか等についても検討するとしている。
まずは商品市場の流動性が必要
総合取引所については、ヨーロッパが先鞭をつけた。
90年代後半にドイツのユーレックスがスイス先物・オプション取引所と統合したのを皮切りに、フランスやイタリア、オランダなど5ヵ国の証券取引所が、ユーロネクスト同盟を結成。その後、ユーロネクストは英国のデリバティブ取引所であるLIFFEを買収して、さらにニューヨーク証券引所と合併(現NYCEユーロネクストLIFFE)するなど、グローバルな総合取引所作りが進んだ。
アジアでも、2000年代に入って、オーストラリア、シンガポール、香港、韓国で相次いで証券・デリバティブ取引所が総合化されている。いずれも、統合による流動性の拡大の他に、取引所のシステム・コスト削減、種類の異なるデリバティブ市場のプラットフォームを共通化することによる利便性の向上、そして取引コスト削減による市場利用者の増加などを目的とした改革だった。
さらに近年は、世界的な商品先物市場への資金流入により、NYSEユーロネクストLIFFEやシンガポール取引所などのように、新たに商品市場を拡大する動きも目立ち始めている。
その意味で、証券・金融・商品の各市場を総合化するという総合取引所創設プランは、わが国取引所の国際的競争力を高めるための手段としても注目される。
だが一方で、わが国では近年、「投資家保護」を重視した勧誘規制などが強化された結果、特に商品先物市場で、個人投資家参加数の減少による出来高の低下が顕著になっている。そのため、商品先物ビジネスに魅力を失い、撤退する業者や投資家も相次ぎ、国内金融・証券業者からの新規参入ペースも数年前に比べて落ちている。海外のヘッジャーやプロップハウスなどの取引量も、流動性の低下と共に落ち込んでいる。
証券、金融の各取引所も、現在の商品先物取引所については「政策が決まれば考えるが、ビジネスとしては成り立たないでしょう」(証券取引所関係者)というのが本音に違いない。「総合化されても、出来ない市場は出来ないまま」(同)というのがマーケットでもある。
仮に「総合取引所」に原案通り、商品先物も含めるとすれば、主務省、取引所にはそれぞれ、まずは国内商品先物市場の流動性を高めるためのシナリオ作りが先決となるだろう。 |