前号へ  次号へ               


商品ファンド(2)
福島 恒雄
 通産省(現経済産業省)は、商務流通審議官の私的諮問機関として「商品等の取引問題研究会」を立上げ、商品ファンドについて議論を重ねていた。同研究会の委員は三井物産、三菱商事、オリックス、住商リースなどノンバンク系の方々で構成されていたことから、当業界には「商品だから俺たちが主役のはずが」という戸惑いと不満がくすぶっていたものの、同研究会の下部組織サブコミッティーでの議論は各業界の覇権取りを素地とする激論が交わされており、当業界が主導権を取れるような状況は全くなかったといっていい。証券業界出身の業界人には「商品投資顧問の育成こそが急務」という当を得た意見を持った方もおられたものの、おおよその当業界の意見は、商品ファンドを漠然と「投資信託の商品版」としてとらえ、単に「我々の新しい営業ツール」、というだけで、米国の実状を精査し、具体的な構想、制度設計に至るまでの、業界としての構想力、知的バックグラウンドが欠如していたと言わざるを得ない。
■フイービジネス
 では、なぜ、商品取引業界ではなく、リースや商社がそれほど商品ファンドに注目したのだろう。
 商社は、「ラーメンからミサイルまで」という当時よく使われたフレーズを思い浮かべればわかりやすい。ずい分前に、米良さんより「なぜ日本にだけ総合商社が生まれたのか」というご下問を受けたことがあるが、亀山社中の発生段階から何でもありだったにもかかわらず、金融は銀行という棲み分けだったからか、金融商品だけは扱っていなかったのである。ところが、欧米における「セキュリタイゼーション・間接金融から直接金融へ」という流れを見てとり、集団投資スキームにより金融に参入しようとしていたことになる。また、三井物産が、商品ファンドだけでなく、商品市場部という部署を新設し、商品先物市場に積極的に参画しようとしていたことを思うと、商品市場をすでにこの時金融市場の一つと見なす考えもあったことをうかがわせている。
 リースについては、本紙が平成2年11月に企画した座談会で住商リースの松沢氏が横心ともいうべき理由を語っているのでそのまま記載させていただく。「リース業の主たる営業分野は、アセット・ビジネスを中心にしているわけですが、この分野はどうしても金利に大きな影響を受けますので、安定的な経営を続けるためには、金融商品の取扱いとか、金利に左右されない、一種のフィービジネスをもう一つの柱にしていこうというのが、かなり多くのリース会社の方針ではないかと思います。そういう点から見ますと、先物取引をベースとした商品ファンドは、取扱手数料があがりますから、有力な柱になるであろうと期待しています」。
 加えて、松沢氏は当時の当業界と商品ファンドの将来像を次のように語っている。「正直いいまして、我々一般の経済人、一般人も一緒だと思いますが、先物に対して、非常に暗いといいますか、シャドウというか、そういうイメージを持っているのが実態ではないかと思います。それに対して、米国では…彼らの表現を借りれば正統な投資手段という位置付けになっております…誰かが言ってましたが、1970年代はハードアセット、80年代はフィナンシャル・アセットの時代、そして90年代はおそらくフューチャーズ・アセットの時代になるという見方があります…そういう面で見ますと、将来発展のポテンシャルが高いということです」

inserted by FC2 system