東工取=中京石油市場12日スタート
商品先物業者はプロのノウハウ生かす「受渡し」を
10月12日、東京工業品取引所が、中京石油市場を開設する。来年1月末で解散する中部大阪商品取引所のガソリン・灯油市場から移管されたもので、取引手法が板寄せからザラバに変更された以外、取引単位など主な取引内容は中部大阪商取のそれを踏襲する。東工取は、既存の当業者の二−ズを確実に取り込んだ上で、新規参加者も獲得し、出来高を上積みしたいとしている。
東工取によれば、中京石油市場のスタート時点の取引参加者は受託会員17社、市場会員5社、一般会員15社で合計37社。中部大阪商取時代の取引参加者数43社には達していないが、受託会員数は12社から17社へと増えている。
「中京石油」は中部大阪商取時代、取引単位が陸上物10キロリットルからと小口だったため、ガソリンスタンドなどを中心に当業者による受渡しが目立った。東工取の取引手法はこれまでの板寄せからザラバに変わるが、過去、受渡しを活発に行ってきたある受託会員は「定期市場で安い石油を手当てしたいという当業者ニーズは継続するでしょう」と見ている。
東工取が掲げる出来高目標は開設当初1口当たり2000枚、将来的にも5000枚。2004年5月14日にガソリンが16万8362枚、2001年12月21日に灯油が20万9419枚の出来高を記録した中部大阪商取の過去の出来高実績から見ると少な目だが、商品取引員の中には、中京石油市場の価値は、「実は枚数の多寡よりも、現物の受渡しにあると思います」(取引員)という声も聞かれる。
新商品取引法施行を前に、日本商品先物取引協会には、9月時点で、受託会員になりたいという会社が7社、取次ぎが12社で合計19社から問い合わせがきているというが、基本的にかれらのビジネス目的は、差金決済取引だけで、手間暇がかかる割に収益性が低い「受渡し」にはそれほど関心が無いと見られている。
「しかし、商品先物市場の基本は受渡し。それが出来るのは専業の取引員しかないというところを見せるチャンスとはいえないでしょうか」(取引員)とこの関係者は言う。
「中京石油市場」市場振興が第一の課題
目下の東工取の出来高を見ると、9月2週から9月末までの13営業日中、15万枚の出来高目標を達成したのは15日の19万6184枚だけという惨憺たる状況にある。そのため、収引員関係者からは、「人気に欠けるマーケットでは、個人投資家が参加するかどうか分かりません。そして一定の流動性がなければ当業者も参加しないのではないでしょうか」という悲観論も多く聞かれる。
また「取引所は、セミナーや公告などでPRすると言いますが、営業現場を知らない人たちがいくらPRしても無駄ではないでしょうか」という声も少なくない。
例えば、オンライン取引を担当している若い関係者の一人はこう語る。「当社には過去、FXの若い投資家たちが、ネットを通じて数多く口座を開いてくれた時期がありました。でも、主務省の検査官が来て、『年収不足、無職のフリーターから注文を取るとは、我々のガイドラインをなめているのか』と怒られて、口座を閉めさせられました。ガソリンのミニ取引は、小口のFXの投資家にも関心をもたれる商品だとは思いますが、ミニであるにも関わらず小口のFX投資家を排除するようなガイドラインがある限り、積極的に推奨する気にはなれません。会社もまた、、主務省から怒られるのが怖いから、じっとしています。今後、証券会社が新規に参人してきても、こんなガイドラインがあると知ったら、やる気を失うはずです」。
いくら新しい商品を上場しても、なかなか振興に結びつかない背景には、やはり行き過ぎた監督問題もあるのではないかと思わされるコメントではある。
東工取では今後、中京石油市場について、全国石油商業組合連合会(全石連)と共同で、東京や名古屋を含む全国各地で説明会を開催。また、業界紙や中部地区で発行されている経済紙にも広告を出すという。新法施行を間近に控えた今、新たな市場の成功に期待したい。 |