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アジアの金融センター
益永 研
 今年に入って、アジアで商品取引所が設立される話が相次いでいる。
 今年6月には、韓国政府が2012年に韓国商業取引所(KMX)を設立し金の取引を開始する計画を明らかにした。同取引所は、韓国取引所(KRX)の一部門として設立され、2014年には原油や穀物を含む商品の先物取引も開始する予定だ。
 報道によれば、韓国では、年間120トンから150トンほど(約5兆ウォン)の金が取引されているが、そのうち60〜70%は非合法もしくは記録に残らない取引だという。というのも韓国の商品の流通チャンネルは複雑で、中でも金は品質や価格についての情報が乏しいからだ。一方で、製造業の活況から、原油や非鉄など輸入原料の需要は高まっており、今後、取引所の必要性は高まるだろうと見られている。
 一方、8月31日には、シンガポールでシンガポール・マーカンタイル取引所(SMX)がスタートした。SMXはインドの取引所運営会社フィナンシャル・テクノロジーズ・グループ(FTG、本社ムンパイ)が出資して開設した取引所で、上場商品は当初、金と米国産標準油種WTI原油、ユーロ建てプレント原油、ユーロ・ドル為替の4先物。元ニューヨーク・マーカンタイル取引所東京事務所長だったトーマス・マクマホン同取引所社長は「2年から2年半で33商品に拡大するつもりだ」と意気軒昂だ。
 韓国にもシンガポールにも、実は以前から商品取引所はあった。釜山商品取引所とシンガポール商品取引所(SICOM)がそれで、韓国では金、シンガポールでは天然ゴムが取引されていた。ただ、これまでその話題はほとんど聞かれなかったし、現地を訪ねても「商品先物はビジネスにならない」という関係者が多いのが実情でもあった。それがここへきてにわかに話題になっているのはやはり、アジアで商品取引の需要が高まっていることやアジアヘの投資資金の移動が顕著な今、商品取引所には未来があると見られているということだろう。
 加えて、こうしたアジアの新市場を眺めてみると、デリバティプ市場の流動性はまだまだ低いものの、それを補っているのが、国のバックアップ体制だ。FTGもシンガポールに取引所を開設した理由を、「政府機関がシンガポールを商品取引の域内ハブ(拠点)にする政策を進めていること、そしてシンガポールの税制(商品先物のキャピタルゲイン税はゼロ)」だと語っている。韓国政府もまた、KMXの開始後、取引高が軌道に乗るまでは、キャピタルゲインの税金はゼロ、手数料も控除対象とするそうだ。
 ひるがえってわが国はどうか。政府は今、日本の取引所を統合し、「アジアの金融センター」を目指すプランを打ち出しているが、監督官庁や税制面でのバックアップは果たして十分であるといえるだろうか。

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