◇インタビュー=まず流動性拡大を議論せよ
ドットコモディティ株式会社取締役会長 車田 直昭氏
◇“めらの目”食肉高ラマダーンを直撃
◇“先物寸言”堂島の知恵
◆東京工業品取引所=取引時間の延長、22社が参加
◆日本商品投資販売業協会=7月の商品ファンド実績
◆大阪証券取引所=8月のでデリバティブ取引高、過去5番目
◆シンガポール=トレーダー教育センターを新設
◆“アングル”
・綿花、15年振り高値 パキスタンの洪水響く
・銀、世界工業需要復調で上がる
インタビュー=まず流動性拡大を議論せよ
ドットコモディティ株式会社取締役会長 車田 直昭氏
過去2年間、幾つもの商品取引員が商品先物市場から撤退する中、ドット・モディティは、撤退した取引員のオンライン顧客の受け皿となって口座数を増加させ、いまやオンラインはもとより商品取引全体で最大手となった。しかし、収益は必ずしも順調には伸びていない。その最大の理由を、車田氏は「商品市場の流動性の減少にある」と語る。
(聞き手は益永研)
オンラインでも新規顧客開拓はできる
──商品先物のオンライン・ビジネスについてどうお考えですか?
車田:オンラインだから、あるいは商品取引だから新規顧客開拓が難しいということはないと思います。当社で初めて商品取引を手掛けたというお客さまも数多くいらっしやいます。また、貴紙の前号の記事の中で、「手数料値引き競争」という指摘がありましたが、当社では、手数料を値下げしたことはありません。逆に、2009年10月には取引所・団体のフィーが値上げされた分について、状況をご案内しながら値上げさせて頂いているくらいです。収益面での、ひいては商品市場全体においての、目下の最大の問題は、個人投資家の参入が減り、国内市場の流動性が著しく低下していることです。
マーケットでは、同業他社が退出することは、その会社が供給している流動性も同時に減ることを意味します。それがマーケットビジネスと普通のビジネスとの大きな違いです。ブログ(「車田のつぶやき」)にも書きましたが、例えば、2005年には東京工業品取引所の金市場では600枚の注文がすべて最良気配値で成立しましたが、2009年には600枚の買いは最良気配値では入らず、約定値が動き、最良気配値に対して不利な、いわば含み損を生じた形で約定せざるを得ない状況になりました。これでは、当業者もファンドも大きなポジションをとることができません。流動性が低下してしまった今は、まず、取引量が少なくても参加できる個人投資家を増やすことが必要です。
勧誘規制も流動性拡大の視点から
──個人投資家を増やそうにも、勧誘規制は厳しくなる一方ですが?
車田:今回の取引所取引に対する不招請勧誘禁止の導入をはじめ、ここ数年の勧誘規制の強化については、商品市場の競争力強化のためには何をおいても流動性を高めなければいけないという本質について、さちんと認識をした上で制度改正してきたのか、残念ですが疑問を抱かざるを得ません。たとえば、98年の法改正の際にはサイン憂禁止が導入されたのは、いわゆる夜討ち朝駆け的な過当な勧誘はやめさせようという趣旨であって、未来永劫勧誘禁止、個人投資家を勧誘するなという趣旨ではありませんでした。
せっかく98年の法改正で事後規制の流れになったにも関わらず、問題行為があった場合に黒(違反あり)でなくても白(違反なし)でなければ自主規制団体である日商協が制裁するとの、法改正の際に行うことが決定した自主規制について、その後に主務省が消極的になって実現できなかったり、問題行為を多発していた会社に対して許可更新拒否を含めての処分が十分でなかったというきらいがあったようです。2000年代前半にトラブル減少が達せられず、2000年代後半に勧誘規制強化を行うに至ったとの経緯は、残念なことです。問題行為は厳しく制裁して、問題行為をやったら厳しく処分されるということを徹底させなければいけなかったのです。
──なぜ規制強化なのでしょう?
車田:2006年の金商法制定に伴っての商品取引所法改正では「揖失補てん禁止」が新たに入りましたが、これについて、主務省は事前に日弁連と十分な協議をしなかった模様です。その結果、紛議が起きても商品取引会社がこの規定を盾に和解しないケースが相次ぐとの懸念から、日弁連の主務省に対する信頼感が揺らぎ、金商法改正の国会審議で脇役であるはずの商品取引についてトラブルの問題がクローズアップされたという経緯があります。このときの国会審議の経験から、行政サイドにその後、「規制緩和と受け取られることはやらない方がいい」という考えが生まれたように思います。いわゆる「羹に懲りてなますを吹く」と言えるかもしれません。
ただ、今回は、不招請勧誘禁止を導入するに際して、国会での議論に則しながら、初期の投資金額以上の損失を生じない取引については勧誘が認められるとの措置を設けることが決まっています。行政が流動性維持に意を払うようになったと期待しています。
──海外や証券・金融などの新たな参加は?
車田:机上の空論とまでは言いませんが、現実としては、商品取引所全体での出来高が1日9万枚を割る現状の流動性では容易でないでしょう。証券会社が商品を新たに取り扱うためには、システム対応やコンプライアンスのコストがかかります。コストをかけるだけの収益見込めるビジネスにならなければ参入しないでしょう。ただ、今後、総合取引所実現の過程で、法律と監督官庁が一元化されれば、参入にあたってのコンプライアンス・コストがなくなりますので、商品市場への参入を考える証券・金融機関が多数出てくる可能性があります。 |