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FX投資は外貨預金の延長ではない
杉江 雅彦
 24時間中切れ目なく取引が続けられる外国為替市場。そこは、内外の銀行や機関投資家、それにへッジファンドなどの強者達が命を削る修羅場である。最近ではその中にFX投資家が新たな主役として登場して、存在感を示すようになった。FX投資家のほとんどが個人だという。すくなからぬ数の商品取引員がFX取引をビジネスに取り入れたり、日ごとに商売がやりにくくなる商品先物に見切りをつけて、FX取引に特化する業者もふえてきた。
 新たなビジネスチャンスを模索することは、経営者としては当然の発想だから、そのことにあれこれ言うつもりはない。しかし気になるのは、これまで商品先物にくらべれば格段に規制が緩やかだったFX取引に対しても、規制当局の手が伸びはじめたという点である。その第一段がレバレッジの制限であるのは周知の通りだ。8月から証拠金率が50倍に制限され、さらに明年夏には25倍にまで強化されることが決まっている。
 FX専門業者の中には、商品取引員のようなきびしい親制に慣れていない業者もすくなくないと聞く。もし、これらの業者の一部にでも反倫理的な悪徳業者が出てきて、彼等の行動が金融行政当局をよりきびしい規制に向かわせるようなことになれば、折角市民権を得たばかりのFX取引の将来の芽を摘み取ることになりはしないかと心配になる。
 ここで話を元に戻して、個人FX投資家の投資スタイルについて考えてみたい。最近のある日、社団法人金融先物取引業協会の会員であるC社の5段抜きの新聞広告を見ていて、こんな文言が目に入った。いわく「(外貨預金の代わりとして資産運用したい)、(毎日スワップ金利を受け取りたい)、(為替取引で積極的に売買益を狙いたい)など、様々なニーズに合わせた投資、それがFXです」
 なるほど、FX取引を外貨預金の延長線上にあるものと捉えて投資する人もいるのか。それで筆者には、FX投資家が何故円を売って外貨を買うケースが圧倒的に多いのかが理解できた。しかも、円高が進むにつれてその傾向がますます鮮明になっているのである。
 これは危険である。中長期投資ならいざ知らず、ネットでのデイトレーディングは超短期取引だから、逆張りで円高に向かうということは相場の反転を見越しての戦術だと考えても、大きなリスクを伴う。現に、小さく利食うことはできても因果玉が残って、結局は回転できなくなってしまったという話も聞いた。
 今回はFX投資家の姿の一面をのぞいたにすぎないが、「為替取引で積極的に売買益を狙いたい」プロやセミプロを除けば、大部分が素人かそれに近い人を顧客にしているFX業者の経営も、決して甘くはないにちがいない。

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