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投資リスクと投資家リスク
福島 恒雄
全協連で投資信託の商品版として調査研究にタッチし、平成3年4月24日に成立した商品ファンド法の制定過程では業界紙記者として関与し、同25日に設立された日本商品ファンド業協会(現社団法人日本商品投資販売業協会)に設立当初から12年ほど職員として働いたからか、商品ファンドには特別な思い入れがある。
その当時、当業界の皆さんから、よく「ファンドは先物のすそ野を広げるもの」といわれたものだが、多角的分散投資によるリスク管理を具現化した商品ファンドが、なぜ先物取引のすそ野を広げることになるのか、論旨がどうにも理解できなかった。
商品ファンドの特性は、価格変動が他の金融商品と非相関関係にある様々な上場商品に多角的に運用し、それにより投資リスクを分散、減少させるところにあるが、その包含する投資リスクの中心に先物取引の損失リスクがあり、先物取引それ自体のリスクをマネジメントすることで商品ファンドが成立する。
投資リスクの許容度という視点からみれば、商品ファンドと先物取引それ自体では投資家層は全く異なるはずで、商品ファンドの投資家は先物の末席に広がって存在するのではなく、投資リスク管理というフィルターを通して構築された全く異なるスキームの投資商品に対応する投資家層ということになり、この投資リスクの壁を投資家が乗り越えるには相応の投資経験と時間が必要であることは言うまでもない。集団投資スキームという間接投資で構築されたもので、リスク許容という意味で投資家層は全く異なるもので、とてもではないが「すそ野」的存在ではないのである。
一方、投資家のリスク、当業界的にいえば委託者リスクということから見ると、情報の非対称性からすれば個人投資家の方が絶対的弱者であるが、こと裁判となると、善管注意義務やら忠実義務やらで、弱者が強者に、強者が弱者にと立場が逆転することがままある。米国のような訴訟社会ではなおさら個人投資家の受入れには大きなリーガルリスクがあるとみていいのではないだろうか。だからこそ、商品ファンドなりマネージドアカウントなりに形を変え、ヒストリカルテータとスキームを詳細に説明し、投資リスクと許容範囲、そしてリターンの可能性について納得を得て参入してきたことを第三者的に証明でき、リーガルリスクを軽減させるシステムが出来たとも考えられる。
不招請勧誘の禁止問題で業界は大きな転換を迫られており、新しいビジネスモデルの構築が急がれている。商品ファンドにしろ、金現物取引にしろ、ロスカットにしろ、何がしかのモデルを考える場合、投資家にとっての投資リスクと業者にとっての投資家リスクをベースに据えることが肝要と思っている。 |