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後悔先に立たず
河野 龍男
 商品先物市場は何のために存在して、誰のために機能すべきなのか?商品市場を支えてきた一般委託者と商品取引員、登録外務員が事実上排除されようとしている。
 当業者を中心に市場をプロ化し、24時間いつでも売買できる利便性が確保されても、東京工業品取引所の「軽油」をみれば一目瞭然。「こんな筈ではなかった」と言いたいのだろうが、実は想定内のこと。流動性のない市場は単なる仮想空間でしかない。
 さて、「損失限定商品」なる世にも不思議なものが生まれようとしている。それができると、「不招請勧誘」の禁止対象から外れるらしい。だからといって、(1)勧誘適格者か否か調査し、判断した上で勧誘に入らねばならないことに変わりはない。(2)無差別勧誘が許されるわけでもない。(3)「損失限定」とは言っても、損の最大は出資額の全てがパーになることの定義であって、世間様の常識とは大幅に乖離している。「一生懸命努力したのですが、元金は1円も残っておりません。誠に申し訳ありません」では許されるとは思えない。
 「勧誘」とは、かつて経済産業省や金融庁が、「先物取引の委託締結または締結後の個々の取引の委託の意思形成に影響を与える程度に勧める行為をいう」と定義している。「先物取引を始めませんか」、「取引数量を増やしませんか」、「先物取引は少ない資金で大きな利益を得ることが可能な取引です」など、先物取引のメリットを強調するなど、客観的にみて顧客の意思決定に影響を与えていると考えられる場合は「勧誘」に含まれる。また投資への理解度や関心度をアンケートで聴取する場合でも、アンケートだけで終わらずにアンケートと称して先物取引のメリットを強調したりすると、「勧誘」となるし、それは勧誘の告知・確認の義務違反となる。不招請勧誘の禁止対象であるなしにかかわらず、外務活動は「先物取引とは何か?」を理解していただく、いわゆる「啓蒙」活動からスタートしなければならない。
 先物取引とは一体どんな取引なのか、その仕組や制度、歴史など。他金融商品との比較、メリット、デメリットを事実ありのままに説明する。知識を有しない人に正しい知識を得ていただいた上で、投資に対する理解度、関心度をアンケートで聴取する。そして、これらのコミュニケーションを通じて適格性を判断し、次なる勧誘活動に進むか否かを決める。このプロセスは省略できない。欺瞞的手法ではなく、先物取引の王道を徹底すればよい。それと永年取組み継続してきた取引員も決して少なくない。
 市場存続には流動性の回復が焦眉の急。自浄力を信じて、手足の伽をすみやかに緩和すべきではないか。

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