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ギリシャ危機と金・原油
杉江 雅彦
いったん終焉したかに見えた世界同時不況が、思わぬ形で再燃しはじめた。「ギリシャ危機」がその点火線になりそうな気配である。
南欧の小国にすぎないギリシャだが、EUの一員であり、またユーロ通貨圏にも属している。そのギリシャが深刻な財政危機に陥り、苦しまぎれに発行してきた国債(つまり政府の借金)が、GDPの規模を超えてしまった。
ギリシャ国債の7割以上は外国人によって買われているため、ギリシャへの信頼度が低下して国債相場が下がり、利回りが10%にも達している。これでは追加的な発行が困難なばかりでなく、既発債を償還できるかどうかも怪しくなった。
実は、こうした状況はひとりギリシャだけでなく、ポルトガルやスペインなどEU各国にも飛び火して、ユーロ通貨の下落を招いていることは周知のところである。
それというのも、世界金融危機→世界同時不況を克服する目的で、各国の政府・中央銀行が実施した果敢な景気刺激策や補助金政策が効を奏して、経済が立ち直りかけている半面、各国で政府の財政赤字が膨らんだ結果であることは明らかだ。ギリシャはその極端なケースではあっても、決して特殊なケースではない。日本をも含め、どの国にも当てはまる。
問題はこれから先にある、と言ってよかろう。大幅な財政赤字の次に来るのは当然ながら財政収縮であり、大幅増税であるにちがいない。そうなれば、世界同時不況の再来という悪夢が現実化する可能性がある。つまり、今回のギリシャ危機が引き金となって起っている一連の経済現象は、マクロ経済の変化の表れといってよいのではないか。
このことを頭に置きながら、金と原油を代表格とする商品先物の動きについて考えてみたい。ユーロ圏諸国政府とIMFが、3年間で1000億ユーロ以上の協調融資を発表した後の金と原油の動きをみると、きわめてはっきりした両者の相違が読み取れる。
つまり、金は高騰を続けたのに対し、原油はむしろ反落気味である。このちがいの理由は何だろうか。端的にいえば、金は投資家が信頼を寄せる唯一の「通貨」であるのに対し、原油は需給関係を反映する「相場」だ、ということに尽きそうだ。
もちろん金は、厳密には通貨とはいえない。世界のどの国も公的通貨として使用していないからである。しかし、いつでもその時の価値で交換可能であり、紙幣のように紙くずと化す恐れもない。
たとえ先物で売買しても、現物化ができる。逆に原油は、投資家にとっては相場商品でしかなく、主に需給関係と資金力で動く。リスクを回避したければ近寄らないことだ。その相違が今後も現れよう。 |