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先物実践家 山崎 時夫
 「相場がこんなに難しいもんだとは思わなかった。いまかなり苦労しているょ」久しぶりに会った相場仲間の開口一番のつぶやきである。
 「俺だけじゃないんだ」と、何となく安心したが人の不幸を喜んでばかりもいられない。会社を定年退職したわが身にとって、唯一の定期収入になる年金が満額支給されるまであと2年待たなければならない。それまでのつなぎ収入として40年のキャリアを生かして商品先物でひと儲けしょうと思い立ったのが3年前のこと。引退前に覚えたパソコンに基礎データ(相場表、取組、出来高、自己玉、等々)を入力して各種のテクニカル指標に置き換え、朝9時前に注文をだし、その日のうちに決済。いわゆるディトレードで日銭を稼ごうと思ったのだった。
 1年半ほど前までは上手くいった。当初は月20回ぐらい売買して10勝10敗でも月額20万円の利益を最低の目標に置き、予想通りの結果を残すことができた。自信とうぬぼれが災いしたのか、この半年ばかり出ると負けが続いている。テクニカルデータが思うように機能してくれなくなったのだ。相場新聞を購読しているわけではないので、いらん巷の噂に振り回されないで相場に専念できると思ったが、テクニカル分析もその時々の相場の勢いや日柄など、ウエートをかける指標を見つけなければならないことに気付いた。
 かつて「需給はすべての材料に優先する」の名言がバイブルのように持て囃された時代があった。いまでも相場の原点はそこにあると思っているが、需給をベースに組み立てると短期で見ても2、3ヵ月先を想定した組み立てをしないとならない。じっくり分析して取りかかれば目先の下げに「そんなバカなことはない」とばかり、迫証までつぎ込んで頑張ってしまう。それで深みにはまった苦い経験があるので、損切りはその日のうちに決済するデイトレに戦術を切り替えたわけだが、相場の難しさにきりきり舞いさせられている情けなさである。
 得意な戦術は自己玉の増減でその日の売りか,買いを決める。これだけで20戦16勝の実績があったのに、それが思い通りに働かなくなった。自己玉万能とは傍から思ってはいないが最近、取引員数の減少と関係あるのではないか、人気商品の取組高に大きな変化がみられない、または市場流動性の欠如などが関係しているのではないか、などいろいろ考えさせられた。
 東京工業品取引所は取組高表、手口表を廃止した。それだけを武器に相場に取り組んできた古参の外務員諸兄のなかにはゼロから相場分析に取り組まざるを得なくなった者もいる。時代の流れが変わったら、その流れに乗っていく以外に道はないが、張り子(相場師に到達でさていない相場ファン)の楽しみまで奪うことは許せない。情報のすべて公開を!

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