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落ちこぽれのない行政の英断
高橋 伸幸
09年度の出来高がついに4000万枚を割り込んだ。前年度実績の4631万枚では業界の赤字体質から脱却できない。今年は6000万枚規模の市場規模まで回復させる、と予算作成時に気を吐いていた先物協会だが、その期待はもろくも崩れ団体存続の危機にまで追いやられている。
取引の担い手である受託会員の減少、それと前後しての外務員の減少で新規顧客の開拓が難しくなっているから、必然的に既存顧客に頼らざるを得ない営業形態になってしまったのか。攻めから守りに体質改善しても、顧客は金の成る木をもっていないから相場が逆に動けば自然淘汰されてしまう。顧客管理の難しさが出来高低迷を誘っているように思えてならない。
健全な経営は顧客の新旧入れ替えが日常的に行えることを理想とする。新規顧客が定期的に入ってくると痛んだ顧客に休んでもらうこともでき、顧客の負担が軽減される。安定経営の基本は新規顧客の開拓にあるといっても過言ではない。
その肝心な問題に行政が強い規制をかけたことが6年間の出来高減少になって表れている。再勧誘の禁止もそのひとつであろう。そしてさらに強化されて不招請勧誘の禁止が導入されようとしている。それだけならともかく、特定売買の禁止など日頃の商い面にまで細かな規制がかけられている。取引員(外務員)の一挙手一投足にまで監視の目を光らせていては営業マンに何もやるな、というのに等しい。事実、廃業した営業幹部のもらしたつぶやきが忘れられない。「会社から何もしなくていい、といわれている」数字から解放された安心感は感じられず、何かもの寂しそうだった。その会社は09年に廃業した。
セールス活動全般にいえる問題は消費者保護法や金融商品取引法との関係も考慮して解決しなければならないので、簡単には結論ずけられないところに難しさがある。だが、商品取引員の経営努力は紛議件数の大幅減少で評価されてよいのではないか。相場商品を相手にしている商売で、損得は絶えずついて回るわけだから1、2件の紛議はあってもおかしくない。それが自然の現象ともいえる。ましてや弁護士などが損した人に呼び掛ける宣伝活動を続けている状況下では正当な商いもゆがんで伝えられてしまう。こんな場合でも、
業者の言い分に真正面で取り組んでもらいたいと思う。行政の検査も同じである。
さて、09年の出来高3425万枚は1988年(昭和63年)の3426万枚とほぼ同枚数まで落ちたことになる。当時は16の商品取引所が日本全国に散在し、取引員は当業者を含め120社以上が健在であった。それが4取引所、37社まで減少し、これ以上減れば市場存続の危機が危ぶまれるところまできている。落ちこぼれのない行政の英断を願ってやまない。 |