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商品取引員のFX業務
杉江 雅彦
 商品取引員の廃業や受託業務からの離脱が止まらない。「ブルータス、お前もか」と言いたくなるほど、老舗や中堅取引員が商品先物から去るニュースが続く。
 廃業は別として、先物市場に留まる業者の大半が、外国為替証拠金取引いわゆるFX取引だけは手離さないのが目につく。
 商品取引員がFX取引に固執する理由として考えられるのは、その大半がネット取引であること、したがって大量の営業マンを必要とせず、また、顧客の決済スピードが早いため、未収金の滞留も起こりにくいなど、経営上のメリットがあるからだろう。
 もっとも、その反面、競争が激しく手数料がきわめて低いこと、絶えず宣伝広告を打ち続けなければならないなどのデメリットもある。FX取引中心のビジネスモデルも決して楽ではあるまい。
 当初は円ドル取引から始まったFX市場も、最近ではユーロ、英ポンド、スイスフラン、ニュージーランドドル、スウェーデンクローネなどなど、十ヵ国以上の通貨を扱うようになった。
 FX取引の顧客の大半は個人投資家であろうが、近年、海外旅行がすっかり定着して、さまざまな国の通貨を手にする機会が増えているため、投資家にそれほどの違和感は無いだろう。それにしても、所詮はアマチュアがその域をすこし超えた程度の知識の人が、顧客の大多数を占めているから、急激な相場変動が起きると、たちまち大混乱を来してしまう。
 最近のように、ユーロ圏の小国ギリシャが財政破綻を招き、EU内部に危機感が走ったため、ユーロ相場が激動するなどは、その好例であると言ってよかろう。しかし、外国為替相場の予想は、プロでも容易なことではない。日本経済新聞には、著名なアナリストやディーラーの短期予想が度々掲載されるが、ほとんどの専門家が正確には言い当てていない。それほどむずかしいのである。
 銀行や商社などは、古くから外国為替を扱っていて、そのリスクヘッジのために先物市場を利用してきた。またヘッジファンドなどプロの投資(投機)家も、この領域に入ってきた。アマチュア投資家が参加できるのは、専業もしくは兼業のFX業者が提供する市場だけである。
 さて、今日の結論であるが、商品取引員がFX取引専業になることが悪いとはいわない。追い詰められてこうなったことも理解できる。しかし、FX取引が所詮は上がるか下がるかのどちらかだから、投資家には売買機会さえ提供すればそれでよい、で終わってもらっては困る。
 業者自身が勉強して相場観を磨き、顧客には正確な情報を届けることを怠ってはなるまい。もっと言いたいこともあるが、それはまた別の機会に。
(週刊 先物ジャーナル 2010年3月29日 1032号 掲載)

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