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ギャンブル
沼野 龍男
最近、シンガポールでカジノが解禁された。マカオ、上海、釜山などに次ぐエンターテイメント施設が誕生した。報道によれば、入場料のハードルが高く、かつ財布の中身を開示して、その範囲内でしか遊べない仕組みだそうだ。どんなに熱くなってもそこまで、頭を冷やしてまたおいで下さいということらしい。
カジノはG8諸国はじめ、世界120ヵ国以上で公認されているが、日本は明治期より非合法賭博として禁じられている。「不正を行ったり、のめり込むこと」は罪悪でも、カジノ自体は適正な管理の下で施行される限りエンターテイメントの一つとしてとらえられ、収益は教育、福祉、街づくりなど新たな財源として用いられ、多くの雇用も産み出す経済的社会的メリットもあろう。日本でも諸々検討された経緯もある。
現在日本で公認されているギャンブルは、公営5競技(競輪、競馬、オートなど)とパチンコ、及び宝くじとサッカーくじである。
1989年から2005年までのデータでみると、ギャンブルの総売り上げは年平均35兆円、うちパチンコが約27兆円(約76%)、またギヤンブルでの純損失は年平均6兆円、うちパチンコが3.8兆円(約62%)を占めている。総損失は総売り上げの17.3%に相当する。因みに、主権者や業者の租利率(寺銭率)は宝くじ54%、サッカーくじ50%、公営5競技が各25%、パチンコ12%となっている。
ギャンブルの大半を占めているパチンコの現状をみると、競技人口が約1500万人(ピーク時の2分の1以下)、将来は1000万人位まで減ると予測されている。
その理由としては、@パチスロに代表されるハイリスクハイリターン機の出現(メーカーの志向)で、顧客当たりの消費額が増大したこと。A新規客はギャンブル性が高すぎて歩留まりが小さい。パチンコを楽しむ層(ライトユーザ)は休眠中で、一発屋のヘビーユーザー中心の顧客構成になってきている。B長年のパチンコ代負担が生活をも圧迫、パチンコ依存症の多重債務者や主婦のサラ金問題等を惹起していること。Cパチンコ人口の多くが1945年前後生まれで、肉体的、経済的にヘビーユーザーに耐えられなくなってきたこと。D公明性や透明性に欠ける部分があること。換金行為やくぎ調整の違法性は大手参入を拒み、メーカーや業者の目線は顧客よりお上(警察)に向いている。E下流社会ほどギャンブル好き(一発狙い)。低所得層からいかに富裕層を取り込むかが鍵。カジノが解禁されれば上流と下流の棲み分けも可能だが、機械の許認可と業者の取締りの両方に強い権限をもつ警察との根深い関係が大きく厚い壁となっているようだ。
射幸心を追求し、かつ遊技の満足感を求めるライトユーザー(ミドルリスク・ミドルリターン派)をターゲットにせざるを得ないようだ。ギャンブルのリスクは人為的に作り出したもの。寺銭の一部が社会に還元される、それはタバコの煙税と似たようなもの。射幸心の追求次元では似ているが、先物市場でのリスクテイクはそのものが経済的・社会的行為である。カジノホールが解禁されて、先物市場が有名無実化するなら、それは皮肉なことだ。 |