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行政の反省と支援
高橋 伸幸
 2月15日、経済産業省(商務流通グループ商務課)は「2010年にグローバルな工業品先物市場を実現する10のアクション」を発表した。この5年間で、商品取引所の出来高は3分の1に減少、市場存亡の危機感を募らせたのか、いずれにしても市場活性化に動き出したことは確かなようだ。
 「10のアクション」については特に目新しいものは見当たらない。すでに東京工業品取引所や日本商品清算機構が取り組み、具体的な検討項目に入っている。表題に「グローバルな…」とあるように、取引形態を国際基準にあわせた方向に進むよう舵取りを明確にしたものと捉えている。機関投資家を含めた海外業者の利便性が尊重されて証拠金制度もスパン証拠金に変更される。証拠金管理では個人投資家のお守に専念してきた外務員の戸惑いが思い浮かぶ。
 このアクションを実行する上での解説文T.我が国の商品取引所を取りまく現状の(3)で「行政としては、商品取引員をはじめ業界関係者に対して厳正な法執行を行う上での説明責任を十分に果たしていないことの現われと受け止め、反省すべき点がある」と反省の弁を述べている。行政としては稀なことであろう。だからといって規制が破められることはない。投資家保護は商品先物業界だけの問題ではなく、消費者保護全般にかかわる問題だからだ。取引員のコンプライアンス重視は殆どの会社で営業の末端まで浸透していると聞く。つまらない底辺トラブルが解消したからには、もっと胸をはって外に向けて発信するときが来たのではないだろうか。
 こうしたことが評価されたのか、10のアクション3.取引員ビジネスの項で、「取引所へのアクセスにおいて、商品取引員は重要なチャンネル(取引所にとっての営業マン)であるから、取引員のビジネスモデルについて検討する」と、育成ともとれる項目を掲げている。いま業界が最も欠如していることは当業者の呼び起こしである。手間がかかる、利益が薄い、などから当業者開拓をおろそかにしてきたことが今日の出来高不振につながったと思う。いま当業者市場と呼べるのは石油市場ぐらいだ。もっと他商品に広げる運動を起したい。
 商品先物取引法では不招請勧誘が原則禁止される。必然的に取引員のビジネスモデルも変更していかざるを得ない。その例外となる「初期の投資額以上の損失が発生しない取引」については、まだ答えが見出せていない。行政としても、「本年のできるだけ早い時期に早急に具体化を図る」としているが、これこそ3月中にはひとつの明確な指針を明らかにして欲しい問題だ。先物取引の利点は証拠金という手頃な資金で取引に参加できるのだから、投資額以上のリスクは避けられない宿命にある。
(週刊 先物ジャーナル 2010年3月8日 1029号 掲載)

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