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コメの生産体制を見直せ
杉江 雅彦
日本経済新聞社が昨年(11月〜12月上旬)に行った商品先物市場調査によると、新規上場をのぞむ商品の中でコメが最も多かったという。
奇を衒う向きは別として、国内外の数ある商品の中では、やはりコメの人気が高いようである。なんといっても、わが国で一番早く上場された商品であるし(1730年)、それに日本人の主食とLて生活に無くてはならぬ食材でもある。とくに商品業界が渇望する気持ちはよくわかる。
しかも、コメの供給と需要の現状をみると、供給サイドは農協が牛耳っている感があるのに対して、流通業者の力は決して強くない。また、コメの公設市場である「コメ価格センター」では、むしろ相対取引で自由に価格交渉することをのぞみ、最近はすっかり機能が低下してしまったとも聞く。「それなら取引所に上場すべきだ」との声が高まるのも当然だが、果たしてそれが可能かどうかという点になると、首を傾げたくなる現実もある。
というのは、コメの生産体制を見直さずに取引所に上場した場合、売買高がふえてコメの価格形成機能が十分に働くかどうか、甚だ疑問である。これまでの新規上場商品のほとんどすべてがそうであったように、上場当初はたしかにかなりの取引高が見込まれるが、時間が経過するとともに取引高が減り、上場商品として継続するのが困難になる恐れがある。
それは、商品取引員がまず既存顧客に新規上場商品を勧めるため、最初は取引高がふえるが、いつか元の慣れた商品に戻ってしまう。そこで取引員は新規客を開拓することになり、これも何回かの取引で消えていくケースがすくなくないからである。商品取引員が一般投資家に依存している限り、この悪循環を断ち切れないのではあるまいか。
そこで考えなければならないのは、商品取引員の顧客を一般投資家ではなく、コメの生産者に切り換えることである。つまり、アメリカ式の呼び方でいうなら、インベスター(もしくはスペキュレーター)よりコマーシャルズに比重を置く営業に変えるべきである。
それには、現在のような零細農家ではなく、大規模農家たとえば株式会社組織のような生産者をもっとふやしていく施策が必要となる。つまり、コメの生産者が当業者としてへッジを必要とするような生産体制をつくらなければならない。
農水省は、来年度から実施予定のコメの個別所得補償制度の交付金算定基準として、コメの客観的指標価格が欲しいのだろうが、もっと根本的な生産体制の見直しに積極的になってほしい。 |