平成22年 1月1日(金)(毎週月曜日発行)第1020号
新 春 特 集 号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3−7−13−503
TEL 03-3668-3450 FAX 03-5695-1686
購読料・月2,310円 年27,300円(税込み



 
◇“新春に思う”今年半ばが正念場か
    行為規制と取引員のやる気 このままでは市場存亡の危機
◇“めらの目”商品(先物)この10年 2010年は商品選択いかん
◇“先物寸言”拝啓 小沢幹事長殿
◆“年頭所感”日本商品先物取引協会 会長 荒井 史男
◆“特別寄稿”天王山は10年7月 許可更新時がポイント
◆“アングル”
 ・2010年、石油需要の回復は鈍い─トップとレーダーの予測
 ・OPECのシグナル、「原油70〜80ドル」が価格目標 
◆金相場を考える 1000jはバブル? 正常軌道への復帰途上?
─ お断り ─
 編集の都合により、1月4日付を休刊します。
 11日より通常通り発行します。ご了承ください。


新春に思う”今年半ばが正念場か
行為規制と取引員のやる気 このままでは市場存亡の危機
  
 昨年は名のある取引員が相次いで受託業務を廃業し、年末には東証1部上場の小林洋行が受託廃止を決め、業界をア然とさせた。まさに商品先物業界は存亡の危機に迫っている。
 今年は新法(改正商品取引所法)の政省令の細目が決まり、11年1月の施行に向けて準備が進められている。勧誘規制の強化が懸念される中で、落ち込んだ営業の志気をどう駆り立てていけばよいのか、その思いをまとめてみた。 (高橋 伸幸)

 昨年12月8日に行われた日本商品先物取引協会と日本商品先物振興協会共催による会員代表者懇談会の席上で、経済産業省の高島竜祐商業課長は「行為規制は一切緩めない」(出席した取引員経営者)と断言したことから、いろいろな波紋が広がっている。
 行為規制の背景にはコンプライアンスの問題があり、なかでも投資家保護は新法の柱のひとつになっていることを重く受け止めなければならない。委託者紛議の完全撲滅である。低次元のトラブルメーカーの存在は許さない、と断が下されたわけだから、もう昔には戻れないし、「親戚に名刺の1枚も渡せられない」(団体職員)という業界には戻っても欲しくない。
 問題はその解釈の仕方にある。何でも一点を見据えて、特定売買(直し商い、両建て、途転など)だからいけない。入口にまで遡って再勧誘禁止に抵触しているから処罰の対象にするといった具合で、いわゆる結果だけで判断されて道中の流れをみていないところに業界側の不満があるのではないだろうか。
 相場という生き物を相手にしているわけだから、その時、その時の状況判断で結果が大きく左右する。その経過をもっと重視してほしいと願っている。
◇行政不況か、検査不況か
 世界の商品先物市場が活況を続けているなかで、日本だけが一人取り残された状態にある。市場流動性の担い手である個人投資家の市場離れが続いて、彼らに依存していた取引員の9割が赤字経営に追い込まれた。かつての取引員経営は既存顧客の減少を新規顧客の獲得で補ってきた。それが勧誘規制の強化で、新規開拓が思うように出来なくなった。そこから行政不況を口々に叫ぶようになった。
 これまでの営業は電話セールスが主体であったが、そのやり方そのものがピークアウトしていたのではないかと思う。いま業界関係者は新たな営業手法の模索の途中にある。セミナー営業もそのひとつだが、新規に取り組んだところからその成果がまだ聞かれない。止めてしまえばこれまでの投資はゼロになるから、継続している間に新たな戦術を練っていく必要がある。外務員を多く集めての人海戦術よりも高額の営業費用を必要とする時代に入っているのかもしれない。
 新規開拓に苦労しているのに、検査官の一言で全てが覆されることがある。外務員日誌から同じ見込み客を3、4回訪問しているのをみて再勧誘の禁止とみなされる。このケースは前任の検査官といまの検査官の解釈の相違があった。一人は常識の範囲、もう一人は1件でも違反は違反との決定であったという。
 いま検査官は両省あわせて50名を有に超えているはずだ。先物業界に精通した検査官がどれくらいいるのか、検査マニュアルにそって教科書どおりの検査をすれば解決するとは思えない。いまの業界不況はシビアになった検査にあるのではないか、といった取引所トップのもらした呟きがわすれられない。
◇構造不況は行政の指導が命
 改正商取法の審議で、産業構造審議会は国際派メンバーの発言が重きをなしたように感じられたが、東京工業品取引所はどうやらその方向に突き進んでいるようだ。そして国会での審議。議員の先生は商品取引所の必要性は認めたが、個人投資家の勧誘には「初回の投資金額を超える損失のある取引」には不招請勧誘の禁止を盛り込んだ。ここでも投資家保護が全面に掲げられた。
 商品先物業界の方向性ははっきりと打ち出されたわけで、「取引員経営は規制の度に大きくなってきた過去の成功事例が通用しなくなったことを自覚しなければならない」(業界歴50年のベテラン弁護士)。
 プロアマ規制は一般の人たちが商品先物市場に参入することを難しくするだろうとも言われている。過保護なほどの説明義務や投資可能額に対する建玉制限などあまりにも制約が多いからだ。
 国際化は、ひとつには顧客の質の転換である。日本の商品先物市場はプロ1、アマ9だった。米国はこの比率が逆であり、日本もその基準に近づけようとしている。だが、その戦略をどこも持っていないことが今日の低迷につながっている。「過去の戦術が通用しないことは先物業界が構造不況に陥っていることを暗示している」(前述の弁護士)という。
 構造不況は経営努力だけではどうにもならない。法律の基準をつくつたならば、次はこの業界をどう育てていくかが行政の仕事になる。育てるから潰しに入ッたとまでいわれ、スタンダードな部分を押し付けられてきた先物業界。今度は、指導する行政官には実際を掌握して、何をどう指導、育成していくか、明確に打ち出していくことがいま業界に求められている。
 もう20年ほど前のはなしだが、経済評論家の長谷川慶太郎氏は「国会の先生方で、商品先物取引に最も詳しい人は公明党の渡部一郎さんだよ。一度お話を聞いてごらん」といわれたことを思い出す。拝聴する機会はなかったが、委託者紛議だけに焦点をあてずに、広く先物市場発展の議論を展開して欲しい。営業も勉強しなければならない。新しい顧客をどう開拓していくか。いつの時代も現場には永遠のテーマがある。
 (2010年1月1日―第1020号)
              

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