米国の金融規制改革と商品先物市場
SECとCFTCの統合がカギ
米国の商品先物取引委員会(CFTC)は原油先物などのデリバティブ(金融派生商品)取引の規制に動き出している。投機マネーの動きを迅速に把握して、相場操縦行為を抑制、阻止することが狙いで、取引口座と資金の流れを一括できる管理体制を構築中とか。いま過当投機の監視は世界共通の課題、金融、証券との相互協力もさけられない。最近の米国の動向を追ってみた。
(柳)
「1930年以来の大改革」といわれる金融危機再発防止に向けた米国の金融規制改革が動き出した。政府、FRB(米連邦準備理事会)の権限を強化、金融バブルの再発を防ぐのが狙い。
ファンド規制の動きが始まったのは今年初め。2月に欧州が口火を切り「ヘッジファンドをはじめすべての金融商品や市場参加者を例外なく適切な規制や監視下に置こう」と提案した。
これに対し当初、米国は難色を示したが3月末、規制に動き出した。ガイトナー財務長官が金融危機改革案を発表、その中で「一定規模以上のヘッジファンドなどについて米国証券取引委員会(SEC)への登録と情報開示を義務づける」とし、欧州に一定の譲歩を示したからだ。
その後4月2、3日に開かれたG20でも規制強化の方向で一致したが、具体案はまとまらなかった。5月には米国政府がデリバティブ強化の方向を打ち出し、ヘッジファンドの情報開示義務なども検討している。
その間、ファンドは過剰流動性を背景に再び、動きを活発化させてきた。4、5、6月と原油、穀物をはじめ各種国際商品が大きく値を上げたが、これは超低金利下で、しかも実物経済が不振で、行き場を失った資金が商品や株式市場になだれ込んできたからに他ならない。
それだけに、6月16日に米国が明らかにした「金融親制案」に関心が集まった。だが、ここでは「FRBが大手金融機関、証券、商品などを監督する」「デリバティプズ(金融派生商品)なども監督下に置く」とは決まったものの、ヘッジファンドなどへの大きな規制には踏み込まなかった。
しかも、肝心のCFTCとSECの一本化も行われ
そうにない。米国議会で両者が別の委員会に属しているためで日本の「省庁間の縄張り争い」に似た面もある。また、この案通りに議会で承認されるかは未知数。成立までかなりの曲折も予想される。
◇ジワリと漢方薬のように
それだけに、金融規制の商品先物取引への影響は当面は軽微なものになりそうだ。ただ、規制はどこでも徐々に強まっていく。
また、情報開示が行われ、金融機関がヘッジファンドへの融資を徐々に抑えたり、年金基金が商品先物市場への資金投入をためらうようになると、影響も大きい。それだけに金融規制は「漢方薬」のように、徐々に効いてこよう。
日本の商品取引所法も何回となく改訂され、1998年の改訂を除くと、すべて規制強化の方向にあり、これが商いを萎縮させた。もし、米国でも同じようなことが起こると、流動性が不足、公正な価格形成やヘッジが行いにくくなる事態も考えられる。
今回の金融規制はもっぱら銀行、保険、証券が対象だったが、遠くない将来、その矛先が商品に向いて来るかも知れない。CFTCとSECの統合が行われるかどうかが、先行きを占う大きなカギになりそうだ。 |