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「前門の虎、後門の狼」 二律相反廃し協力を
市場経済研究所社長 岡本 匡房
古語に「前門の虎、後門の狼」というのがある。絶対絶命の状況を表現したものだが、これを商品先物取引に当てはめると、「前門のFX(外国為替証拠金取引)、後門の商品ETF(上場投信)」とでもなろう。
FX、ETFは外患だが、内憂もまたある。これは例えれば「前門の勧誘規制、後門のコストアップ」とでもなろうか。この4つが組み合わされれば「四面楚歌」というありがたくない状況ができあがる。まさに商品先物取引はこの状況下にあろう。
ただ、この状況は実は商品取引員と取引所ではまったく異なる。
例えば、FXは商品取引所にとっては「虎」でも商品取引員にとっては、ビジネスチャンスを広げる猛進する「牛」にもなる。事実、多くの商品取引員がFXを手掛け、「経常の第2の柱」としている。
ETFはそうは簡単ではない。特に大阪証券取引所が計画している先物のETFが8月にも上場されるようになれば、これは商品取引員の経営にまともに響く。それでも商品取引員の中には証券会社を子会社にもっているところもあり、これも考えようによってはビジネスチャンスになろう。実際は、「そんな甘いモノではない」との声を商品取引員から聞いてはいるが…。
半面、商品取引所法で商品先物取引以外は行えない商品取引所にとっては「外患」は文字通り、死活問題になりかねない。金現物のETFが上場された時「いずれへッジとして先物取引を利用してこよう」との見方があったが、実際はそのような動きはないし、原油や金の先物取引のETFが行われたら、バッシングならぬパッシングにもなりかねまい。
一方、内憂の方はどうか。勧誘規制は商品取引所、商品取引員のどちらにもボディブローのように効いて来るが、売買やクリアリングに懸かる費用は商品取引所と商品取引員が二律背反になる。となると、商品取引員の取引所離れを起こす可能性もある。事実、ひまわりCXのように商品先物取引から撤退、FXに専念した社も現れている。
だが、「ピンチはチャンス」ともいう。「前門の虎、後門の狼」と、よくいわれるが、ではその結果、どちらに食われたか、それとも食われなかったか古語は教えてくれない。虎と狼が食い合って、その間に逃げ出すことができる場合もあろう。
事実、力のある商品取引員は真剣に考えていよう。
ただ、内憂はどうあっても業界内部で解決しなければならない。先日の東京穀物商品取引所の会員総会後の懇談会で渡辺好明理事長は「商品取引所と商品取引員が一緒になつて啓蒙、振興を図ろう」と訴えた。
もちろん、すぐ、出来高を急増させる妙案などあろうはずがない。だが、業界内部で足の引っ張り合いをしている時間などないことも事実だろう。
四面楚歌とはいえ1面でも、2面でも崩せば新たな展開も期待できる。業界こぞっての協調を期待したい。 |