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集中と選択というが…
杉江 雅彦
売買高の減少に悩む商品取引所が考え出すひとつのアイデアが、魅力ある新規商品の上場である。
はじめにアメリカの話をすると、現在では世界最大のスケールにまで発展したシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)も、1960年代までは老舗のシカゴ・ボード・オプ・トレード(CBOT)の陰にかくれた存在だった。
アメリカの商品取引所では、かなり頻繁に上場や上場廃止を繰り返してきた歴史があるが、CMEもさまざまな商品を上場しては廃止する点で人後に落ちなかった。ところが70年代に入って″通貨先物”という前人未到の先物商品を開発するや、運が大きく開けた。さらに80年代になると、今度は”株価指数先物“を開発し、CBOTを凌駕して世界のトップクラスに躍り出たのである。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)にしても、アメリカ産原油(WTI)を上場するまでは、関係者以外にはその名も知られない存在だった。それがいまでは、WTIが世界の原油の指標価格にまで育っている。
さて、ここで本題に入ろう。日本の商品取引所の上場戦略についてである。最近の話題としては、中部大阪商品取引所(中大取)が商いの薄いブロック状ゴム(TSR)とアルミニウムの売買を休止して、その代わりにというか、新たに金の新規上場(試験上場)を目指している。また東京穀物商品取引所〈東穀取)は年来の課題であるコメの上場に執着する一方、米国産小麦の上場にも意欲を燃やしているようだ。
しかし中大取の金は、いくら商品設計に工夫を凝らしても緒戦は東京工業品取引所(東工取)の二番煎じにすぎない。また東穀取のコメや小麦にしても、誰もがとびつく魅力商品だとは思えない。
商品業界関係者はコメが先物商品として最適性だと考えているかも知れないが、ヘッジニーズや投機魅力に富むとは考えにくい。それに上場への障害が大きすぎる。
それとは別に、現存のような市場参加者の構成を考えれば、新規上場商品が現れると目先はたしかに売買高はふえても、しばらくすると先細りになる可能性が高い。過去の経緯を調べてみても、商品取引員の既存顧客が新規上場商品に移っていく分、既上場商品の売買が減少しており、全体の売買高はほとんど増加しなかった。
個人投資家の”受け“を重視するか、それともプロ(当業者)のニーズを主に考えるか、対象を明確にした上場商品を開発すべきである。その点、東工取の軽油(再上場)、重油〈新規上場)の上場戦略は一貫しており、プレがない。 |