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取引所の経営形態を考える
杉江 雅彦
 東京工業品取引所が昨年12月1日から株式会社組織に改組された。米欧の主要取引所はかなり以前から株式会社に移行したし、わが国でも東京・大阪の証券取引所が株式会社になっている。その点、東工品の株式会社化はいささか遅きに失したとも考えられる。それでも商品取引所では第一号である。
 もっとも明治期まで遡ってみると、江戸時代から連綿と続いた堂島米会所が一旦閉鎖され、その後若干の紆余曲折を経て、明治9年(1875)に米商会所条例によって合法化された時点で、株式会社として出発している。それはあくまで営利を目的とした組織であったから、米商会所の企業化が営利事業として有望だと判断した人たちによって、たちまち全国14ヵ所に米商会所が誕生したのである。
 その後身である米穀取引所は大小の相場師が跳梁する投機の場として、昭和14年(1939)に閉鎖されるまで続いた。米が統制商品となって取引所は市場機能を失ってしまい、戦後に商品取引所として復活した時は会員組織になった。そしていま、再び株式会社組織への回帰がみられる。しかし勿論、営利を目的とした取引所の復活ではありえない。株式会社特有のメカニズムが今後の取引所にとって必要だということであるに違いない。
 それは何か。何故いま、株式会社組織を選択しなければならないのか。
 その第一は、株式会社の方が会員組織よりも意思決定が早くできるからである。会員組租であると議論が百出して、かならずしも理事長が決定権を行使できるわけではなく、結論が先送りされるケースがすくなくない。
 その点、株式会社では代表権を持つ社長の専決が可能である。これは大きなメリットであるにちがいない。
 第二に、会員組織ではたとえば取引所のシステム化に必要な大量の資金を早期に調達することはきわめて困難である。その点、株式会社であると市場から大量の資金を調達することは、さほど困難ではあるまい。もちろん、それには取引所株の上場が前提だが。このような株式会社に特有のメリットを取引所にも導人しようとする意は、十分に理解できる。
 さらに米欧の主要取引所では、ホールディングカンパニーを持つことにより、複数の市場を保有して統治能力を高めることも、株式会社制を選択する強い動機になっているようである。東工品がどこまでこうした株式会社化のメリットを追及することができるか、そこに業界の運命が託されているともいえよう。今年はその構想を知りたいものである。新社長の手腕にも期待したい。
(週刊 先物ジャーナル 09年2月2日 974号 掲載)

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