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復権の刻 森實氏の講演より
東穀セミナーが21日開催された。講師は東京穀物商品取引所特別顧問の森實孝郎氏。東穀取理事長退任後1年半の間に、主要農産物の需給構造の変化を分析、国別の生産動向などを付した膨大な資料を公開した。
講演に先立ち「復権の刻」と題した一枚の序文を寄せられた。
それには、この1年間は、農産物の先物市場にとって凋落と低迷の時期だった。事実は事実として受け止め、復権の機を伺い、そのための準備をすることが大切。いま、その端緒を伺える刻がきたとして、3つの理由を掲げた。
第一に、今回の世界的恐慌を招来する端緒となったのは金融デリバティプ商品を対象とするファンドの中身が一般投資家にとって難解であったこと、同時に価格変動要因が不透明であった。それに対し、商品先物は単純明解であり、基本的な農産物の需要と価格の動向は一般投資家にも簡単に把握できる。今こそ農産物先物市場を見直すとき。
第二に、今回の恐慌は原油の急騰が背景にある。ヘッジファンドに代表される巨額のファンドの思惑がこれを増幅させた。原油市場特有なOTCと先物市場取引の二本立てと、デリバティプ商品の複雑さが与って力があったことも明らかで、極端な原油高が金属から農産物に至るまでの資源インフレを招来した。いま原油価格は高騰前の水準に下落、農産物市場も落ち着きを取り戻した。それぞれの需給動向に即し、落ち着いて先物取引を行う環境条件が回復した。
第三に、農産物市場自体に構造的変化が静かに進行しつつあること。中国やインドに代表される人口の増大と消費水準の向上、耕地面積の増大が期待できない今日、世界の農業がどう対応していくか、国際市場における主要な輸出国や輸入国がどう変わっていくのか、基本的には強含みの需給構造の中で市場はどのような動きになるのか、大変興味ある課題であ。その意味で、主要な農産物先物市場の果たす役割は大きく、東穀取も再び飛躍のを迎えると思う。
このような気持ちで、この20年の主要農産物の需給構造や国際市場の担い手の変化を自ら解析した。思った以上に、構造変化が進行しているというのが実感だ。 |