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ファイナンシャリゼーション下の
商品相場を考える(続き)
国連貿易開発委員会(UNCTD)は「インデックス・トレーダーの建て玉は価格に影響するところが大きく、投資バブルを産み、通常の取引活動と市場の効率性を損うまでに膨らんでいる」と主張している。
前号のこの欄で英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、10月8日付)特集記事のファイナンシャリゼーション(金融化)のもたらす弊害論を紹介した。
続きを訳出してみる。
「規制当局の権限拡大と監視強化は”不可避“だった。 農産物商品の価格が天井値を付けた時点に途上国の多くで、食料品不足をめぐって暴動が起き、感情的非難を呼んだ。昨年のブームとバストと金融市場の関与の間には状況証拠的には関連がある。大きな地政学的イベントなくしての昨年の石油急落は前例がない」「非難は政治家の関心の高まりとも軸を一にした。米政界で最も中庸とされる独立系のジョー・リーパーマン上院議員でさえ昨年、インデックス・ファンドと公共団体は商品先物市場から除外すべきだと提案している。米商品先物取引委員会(CFTC)は特定エネルギー市場での投資家の建て玉制限を検討し始める一方、投資家の多くも建て玉が制限された場合の対応策を考え始めている」
「この論議は重要である。個人投資家の資金は取引所で取引される商品に流入しているからだ(取引所で取引されるファンドで、商品先物の建て玉の裏付けがある)。そうしたファンドはこの10年の早い時期に出現、いまでは資産分散の重要な運用先となっている」「先物市場で建て玉を持ち、それを保有することによって、同等の力で対抗する勢力を欠いたままファンドは上昇圧力を加える、というのが批判する側の言い分である。上場投資信託(ETF)の最大の提供者の一員でもあるパークレーズ・インベスターズのデボラ・ファー氏によると、欧州の商品ETFは今年8ヵ月で倍増、96億ドルに達している。米国では商品ETFへの資金流入はこの8ヵ月間で238億ドルに及び、その半ばは貴金属」
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「だが、(金融化が商品相場を押し上げる)という証拠は状況による推定的なものにとどまる。資金の新市場への流入と価格変動の間に因果関係を見出すことはむづかしい」
ここでFTの記事は石油産業アナリス、フィリップ・ベルレガー氏のずばり反論を紹介している。
議会証言で彼は08年石油高騰時におけるインデックス投資の影響は”ゼロ“と言い切っている。
彼いわく「商品インデックス・ファンドは石油の値動きを安定化する働きをみせている。石油価格を他の価格に比べて釣り合いを取るために会社は石油先物市場で建て玉を増減させる結果、価格は安定化する」
「問題自体が問題を解決するのかもしれない。投資家は多くの場合、(商品は)株と債券と相関度が低いとして参入する。08年以降、強い相関度へと変化し、長期的には機関投資家の関心は低くなるかもしれない」(オーバー・ザ・カウンターの商品デリバティブの推定未決済残は08年6月現在値に比ベ08年12月現在値に比べ約3分の1に落ち、05年水準を下回っている)だが、今年の商品ファンドの改めての参入はこの見方に反する、とし次のように締めくくつている。
「金融化へ何らかの規制を課すことは政治上可能かもしれないが、金融化への方向を変えることができるか、となると議論の余地がある。金融革新の本質はひとたび市場が確立されると、放逐するのはむづかしいということだ」
「マサチューセッツ・インスティチュート・テクノロジーのアンドリュー・ロー氏によると『ひとたび抜け出した魔神をびんに戻すことは不可能に近い』」
「彼の警告は励みにはならない。『(金融市場化を阻止する)手だては世界的な伝染病で人口の30%を失うに似ている。その段階になれば金融取引(ファイナンシャル・トランザクションズ)は一段と単純化され、市場は複雑さが大きく解消されよう』、『私はそうした事態が生じないことを望むが、学者としては質問に答えねばならない』」
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特集記事を読んでの筆者の考えを書いてみる。
自己責任の原則に立つ人ならばだれでも自由に出入りできるのが公設市場である。公設市場である以上、市場を整理・整とんする監視機能が働かねばならない。結果的に現物需給を人為的にかき乱す行為には建玉制限が設けられている。金融化の担い手(金融投資家)はその法(のり)を越えぬよう自粛せねば市場破壊者として追放されなければならない。
08年食料品危機を増幅したのは輸出国の輸出禁止・制限であり、輸入国の買い急ぎだった。限界市場の性格を持つ商品先物市場はある意味で、そうした需給のゆがみを映し出す鏡だった。その結果として、世界的に増産が進み価格沈静化を呼んだ。増産せよと価格シグナルを発した市場に罪はない。罪があるとすれば法を越えた金融投資家をチェックしなかった市場管理にある。
逆説的だが、法を越えない参加者が多ければ多いほど市場の透明性向上に役立つはずである。
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サウジアラビアがWTIを指標油種から追放する。
FT(10月29日付、会社と投資欄)にこんな内容の記事が出ている。
「サウジは28日、広範囲に利用されているWTIをサウジ産原油値決めの地位から追放することを決めた。世界最大の輸出国であるサウジの決断は他の産出国の追随も予想される」
「この決定はWTIの値動きが、世界の石油市場からかけ離れてきた点にある。オクラホマ・クッシング(パイプラインでWTIが搬送される拠点)の在庫増が影響し、他の油種に比べてWTIが異なった値動きをみせている。通常1バレル1〜2ドル、WTlはプレントの上ザヤで取引されるが、今年1月には12ドル下ザヤとなった。こうした異常な取引は夏場まで続いた」
「サウジは1月から、米国顧客向けには英アーガス社が算出する米湾岸地区油種の新指数をベースに値決めする」
WTIを上場するNYMEXは「現金決済の新指数先物を用意する。WTIとの共存は可能」とコメントしている。 |