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ファイナンシャリゼーション下の商品相場を考える
そうは遠くない昔、アセット・クラス(資産の分類)は株、債券、現金の三つだった。現金をアセット・クラスに数えるには確信が持てないという声もあった。
だが、かつて市場が価格を決めることのなかった世界経済は過去数十年で”ファイナンシォリゼーション〈金融化)“に取り込まれた。
プレトン・ウッズ時代が1971年に終えんするまで、通貨は米ドルに固定され、ドルは金に固定されていた。それ以降、外国為替、クレジット、途上国株式、債券、商品の取引は活況を呈するようになっている。それらすべての市場に分散の妙をはかろうとする国際的投資家がすばやく出入りするところと化している。
だが、ファイナンシャリゼーションは昨年の危機以来、議論の的となっている。
英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、8日付)の「ザ・フューチャー・オプ・インベスティング(投資の未来)」という特集面の書き出しである。
見出しは「商品の投機家、感情を刺激する」
「ファイナンシャリゼーションある程度の特別の統制が政治的に避けられまい。だが、ファイナンシャル・イノベーション(金融改新)は一度市場ができ上がれば、追放することはできないという性格を持っている」
筆者のジョン・オーサーズ氏の内容見出しだけでなんとなくわかったつもりで読み飛ばしていた。
気になって読み返してみたのは原油、金、コーヒー、ココア、砂糖、ゴム…とこの1、2週、高騰商品が途切れないことがきっかけである。
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書き出し部分に続く記述を訳出してみる。
「多くの途上国株式市場で同時にバブルを生み出し、途上世界のあまたな通貨に過剰評価をもたらし、さらに最も物議をかもすところだが、商品のバブルとその破裂を招来したのは国際資金の流入なのだろうか」
「多くの影響力のある方面からこうした疑問が出されている」
国連の貿易と開発に関する委員会(UNCTAD)は貿易と開発報告の一事を「商品市場のファイナンシャリゼーション」に費やしている。
次のように書かれている─。
商品、株式の価格、通貨のレートは05〜08年の商品高騰時とそれに続く08年後半の修正安、そして09年の第2四半期の反騰局面でキャリー・トレードの影響によって同方向に動いている。
多くの参加者の“群衆心理”は値段が下がり始めると商品先物の買い建て玉を処分売りする衝動を強める。ファイナンシャル・インベスターは商品を『自らのポーフォリオのリスク・リターンを最適化するためのオルタナティプ・アセット・クラス』ととらえ、特定商品の市場での需要と供給関係という基盤にはあまり注意を払わない。買い建てに傾斜しやすく、上昇圧力を発揮するインデックス・トレーダーの影響力への懸念は強い。
UNCTADはインデックス・トレーダーの建て玉は「価格に及ぼすところが大きく、投機的バブルを生み出し、通常の取引活動と市場の効率性を損うまでに膨らんでいる」と主張している。
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「ドル、対ユーロで14カ月振り安値、ドル安がリスク志向を強める」
ドルが対ユーロで1.50ドルに低落した21日の高騰商品をFT(22日付、マーケッツ&インベスティング面)から拾い出してみよう。
▽ココア=世界最大の生産者、アイボリー・コーストのストライキが需要が回復の兆しをみせ始めた市場での供給不足懸念を高めニューヨーク・ココア先物(12月限)はトン当たり3387ドルと1980年2月以来の高値を記録した。年始来の上昇率は27%。
ココア消費は供給を3シーズン連続して上回っており、トレーダーは世界生産の40%を占めるアイボリー・コーストの生産低下を懸念している。1965〜1969年間の供給不足以来、連続年の不足は生じていなかった。エルニーニョの影響で世界3位のインドネシア、7位のエクアドルの減産懸念も浮上している。
ドル安も上昇に寄与した。
▽原油=弱い足取りで始まったが、ドルが対ユーロで抵抗線以下に沈んだのをみて、商品市場が上昇に転じたのに合わせて上がり09年の高値を付けた。ニューヨーク原油(WTl、12月限)は安値1バレル78.80ドルから80.64ドルまで上昇した。米国の精製能力の5分の1は需要減と精製マージンの低下で休止状態にある。
▽金=「ドル下落の進行と世界の主要準備通貨としての地位への疑念が金上昇の主因」(HSBCの貴金属アナリスト、ジェームス・スティール氏)。
▽ゴム=世界の大手生産国がゴムの急上昇に対応して、輸出制限を解除した。
タイ、インドネシア、マレーシアの3国は合わせて世界生産の70%以上を占めるが、12月に下落防止手段として、輸出制限措置を講じていた。
ゴムはそれ以降、約75%上昇している。世界の指標である東京ゴム先物は21日、1年来の高値を更新した。
需要改善に加え、原油高騰で競合する合成ゴムの値上り予想も上昇に寄与した東京ゴム先物(3月限)は一時、1キロ227.3円と08年10月来の高値となった)。
金はずばりドル安を受けての上昇であり、実勢悪(景気放感油種であるディーゼル油の欧米の在庫は需要減でばんばん)に逆行高の原油高騰もドル安に後押しされているきらいがある。
ココア、ゴムの上昇はいずれも需給改善効果が主役で、ドル安は脇役。いっていみれば、ファイナンシャル・プレヤーの介在は小さいのかもしれない。
FTのファインシャリゼーションの記事の結論部分の訳出は次回に回す。
読者諸氏とその功罪を考えてみたいと間をいただくために─。 |